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カテゴリー: 生物

タヌキのひとり

カテゴリー:生物

著者:竹田津 実、出版社:新潮社
 面白く、やがて悲しき物語です。森の獣医さんの診療所便りというサブ・タイトルがついています。すさまじいまでの苦労話を読むと、野生動物とつきあうのがいかに大変なことか、ノミに喰われたかゆみ・痛さとともに伝わってきます。でも、写真だけを眺めていると、カッワユーイと、つい叫んでしまいそうです。
 森に帰らなかった一人っ子タヌキの「ひとり」。子どもを連れて里帰りしたキタキツネの娘、集団入院したモモンガ、溺れたカモ・・・。いろんな森の動物たちが登場します。
 今日も森の診療所は大忙し!
 これはオビの文句です。しかも、まだまだ登場するんです。ノネズミは愛娘の布団のなかで圧死してしまいました。キツツキは朝5時なると診療所の窓ガラスを叩きます。エサくれ、とねだっているのです。野ネコ(野良猫とは違います)は、キタキツネとナワバリをめぐって熾烈な戦いをくり広げます。
 獣医師は、助けた患者から感謝されることのない職業。それどころか、助けた患者からありがたいお礼参りで、何度も痛い目にあわされる。ひゃあーっ、損な役回りなんですね。でも、それを承知でこの仕事を続けているのですから、ホント、偉いものです。森の中にリハビリセンター小屋まで建てたというわけで、すごいすごい。
 モモンガは空を飛ぶ。でもその前に、人間はモモンガのノミにやられてしまう。痒さとしつこさはたまらない。読むだけで背筋がゾクゾクしてきました。お風呂に入ると、身体のビミョーな部分ほどたまらなくかきむしってしまうというのですから、おっとっと、近寄りたくありません。それでも、飛べないモモンガをリンゴでつって飛行訓練させているところの写真なんか、つい痒みを忘れて私もしてみたくなります。
 カモのヒナが水に溺れて、本当に死んでしまった。実はカモは水に浮かない。浮くには条件がある。カモのヒナが水に浮くのは、ひとつは体を覆う綿毛といわれる羽毛が静電気を帯びていること、もうひとつは羽毛に油脂がぬられていて、それが水をはじき、結果として水面に浮く。さらに、カモのヒナは親鳥の翼の中に出入りをくり返す。このふれあい、こすりあいの摩擦によって静電気が生じる。では、親鳥がいなかったらどうするか。絹製の風呂敷のなかにカモのヒナを入れて、上下・左右にふりまわす。油脂を体中にぬりこむ作業のほうは、お手本もなく大変だった。それでも、ちゃんと空を飛べるようになって仲間と一緒に渡り鳥になっていくのです。
 うーん、素晴らしい写真ばかりで、たんのうしました。

野生のカメラ

カテゴリー:生物

著者:吉野 信、出版社:光人社
 オビに動物写真家の世界冒険撮影記と書かれていますが、まさに納得のキャッチ・コピーです。すごい迫力の動物写真のオンパレードです。これで1900円とは、実に安い。
 クマが出没する地域でキャンプするときには、食料は車の中か、特別にもうけられた食料貯蔵庫に入れておかねばならない。そんな規則は分かっていたはずなのに、友との久しぶりの再会を祝って、夜遅くまで語りあってマグカップを机の上に置いたままテントに入りこんで寝てしまった。そこへ夜中、グリズリーが登場した。危機一髪。その友というのは、1996年にシベリアでヒグマに襲われて亡くなった星野道夫氏のこと。いやあ、いつも危険と隣りあわせだったんですね。
 トラの写真をとりに行ったとき、一番近づいたのはわずか3メートル。このとき、著者はゾウに乗っていました。オープンのサファリカーに乗ったときには5〜6メートル。いずれも襲われる心配はしなかったということです。トラがジープのすぐ横を通り過ぎながら、軽く口を開けて、「やあ」といわんばかりの顔で著者に挨拶していったこともあるそうです。えーっ、そうなんですかー・・・。でも、やっぱりトラって怖いですよね。
 この本には、ジープの屋根の上にチーターが乗っかっていて、著者がその脇に頭を出している写真までもあります。こうなると、何メートルどころではありません。何センチという近接した距離です。チーターがひょいと爪を立てたら一生の終わりです。
 ネコ科の動物は基本的に水を嫌う性質があるが、トラは例外で、暑い夏の日などには好んで水に入る。なるほど、それででしょう。インドでベンガルタイガーが水浴びしている瞬間をとらえた迫力満点の写真もあります。
 アフリカでもっとも恐ろしい動物は、なんとアフリカスイギュウだというのです。驚きました。ライオンやトラ、そしてワニではないんです。ホントなのかなあ、思わずつぶやいてしまいました。
 好きなことをやっていて本人はとても幸せだと思うのですが、臆病な私なんかにはとても真似できない話のオンパレードです。でも、このような冒険写真家がいてくれるおかげで、野生動物の生態が茶の間で居ながらにして楽しめるのですから、感謝、感謝。大いに感謝しています。

子犬のカイがやって来て

カテゴリー:生物

著者:清野恵理子、出版社:幻冬舎
 犬好きの人にはこたえられない本です。スソアキコの絵もまたいいんですよ。ワンちゃんが実に愛らしく生き生きしています。まさに、犬に笑い、犬に泣く本なのです。
 イギリスからラブラドールの子犬が届きます。ひょろっとしていて、お世辞にも可愛いと言えない妙なおっさん顔。目は小さい。たちまち寝息をたてる天使のようなカイ。
 ところが、初対面のカイが殊勝におとなしくしていたのは、長時間の空旅による疲労のせい。ぐっすり眠って、お腹いっぱい食べて元気を取り戻したカイのパワーは、予想をはるかに上まわった。
 まあ、その腕白ぶりをこれでもか、これでもかと紹介していくことになるわけですが、それがまた犬好きにはたまらないんですよね。たとえば。防犯システムの特別なリモコンを見つけてガシガシかじったばかりに、パトカー6台が出動する騒動を起こしてしまう。
 やんちゃ盛りの犬たちが日々繰り広げる悪戯に、ついついご近所に聞こえそうな大きな声も出す。そのたびにカイたちは、「大変なことをしてしまって、本当に申し訳ない」とばかりに、がっくりと首をうなだれ、殊勝な様子で尻尾を落とす。それでも、声を張り上げる飼い主の興奮がおさまるのを、しばらく我慢して待ちさえすれば、何事もなかったように甘えられることをちゃんと知っている。上目づかいで見つめられれば、それまですごい剣幕で叱っていた飼い主も、ついほっぺたが緩む。そうなると、カイたちの思うつぼ。あっという間に、ターボエンジン全開の腕白小僧に逆戻りしてしまう。
 犬も人間の幼児のように、特定の縫いぐるみを気にいることがあるというのに驚きました。熊の縫いぐるみに執心したワンちゃんがいたのです。
 著者は八ヶ岳のふもとに別荘をもち、冬と夏などを犬と一緒に過ごす。犬たちは生まれつき人間を友だちと思っているふしがあり、ためらうことなく体当たりで甘えてくる。
 犬種による性格の違いはたしかにある。柴犬やハスキーはシャイで、少しだけ距離をとってこちらを観察している。時折、気が向けば遠慮がちにやって来て、人間に背中を向けてお座りし、なでてと健気な様子で催促する。眠るのは、リビングのソファーや部屋の隅においた座布団の上で、あくまでも慎ましさを忘れない。
 しかし、「待て」をさせられていたレトリバー犬たちは、「よし」の号令で、ベッドに飛び乗ってくる。暗黙のポジション決めがなされているらしく、それぞれの定位置に落ち着くと、安心したように寝息をたてて眠る。掛け布団の上だから、40キロの体重の犬たちに囲まれて眠ると、からだ中に布を巻かれたミイラの状態で、寝苦しいことこの上ない。
 犬たちは言葉こそ話はしないが、目や尻尾、からだ全部をつかって饒舌に思いのたけを私たち人間に伝えようとする。なかでも目がすごい。私たちを信じきった無垢なまなざしに勝てる術はなく、いつだって勝利をおさめるのは、彼ら犬たちである。
 うーん、そうなんですよね。福岡の斉藤副会長も3歳のラブラドールを飼っていて、毎朝、早朝から海岸を散歩させているそうです。いいですよね。うらやましいです。

擬態、だましあいの進化論(2)

カテゴリー:生物

著者:上田恵介、出版社:築地書館
 魚類に限らず一般に、体の大きな雄は小さな雄よりも競争に強く、より繁殖場所を占有したり、多くの雌を独占したりして高い繁殖成功を得ることができる。では、小さな雄は繁殖から締め出されているのかというと、必ずしもそうではない。小さな雄は小さいなりに、さまざまな手段を駆使して繁殖成功を上げようとしている。その手段のひとつが雌への擬態である。なわばりをつくらずに雌に擬態している雄は、なわばり雄よりも小さく、年齢も若い。このような雄は体色などが雌にとても似ているので、なわばり雄からさかんに求愛を受ける。ときには誘われるまま巣の中に入って、なわばり雄と産卵行動にいたってしまう。そのとき、雌擬態している雄は、もちろん卵を産むわけはなく、あくまで産卵しているふりをしているだけ。そして、本物の雌が巣にやってきて産卵しはじめると、そこへ割り込んで精子を放出し、本物の雌が生んだ卵に授精する。産卵後、雌擬態している雄は雌とともになわばりから去っていき、残された卵は、なわばり雄が面倒をみる。つまり、雌擬態している雄は、なわばり雄に対して、巣の維持や雌の勧誘などの面で寄生しているだけでなく、子の保護まで寄生している。
 小さなオスの魚がメスのふりして、大きなオスの魚をだましてちゃっかり自分の子孫を増やすのに成功してるなんて、面白いですよね。
 ランの花、オフリスは、ハチをだまして誘いこみ、受粉の手伝いをさせている。
 オフリスの賢いところは、まだ本物の雌バチが発生する前に花をつけて雄バチを誘うこと、偽交尾はさせるものの、本当の交尾(射精)まではさせないこと。 したがって、ハチは性的興奮状態を保ちながら、次なる花を求め、次々に他花受粉させていく。
 うーん、植物の花がハチをだますなんて・・・。
 チャバラニワシドリの鳴き声を聞いてみよう。建築現場からの実況中継だ。ベルトコンベアーか何かの機械がまわり、ガラゴロと建材が運びこまれ、何かが組みたてられているような音や、現場で働く大工たちの話し声や合図のような音まで聞こえてくる。まるでトランジスターラジオが勝手に鳴りだしたかのようだ。
 カッコウのヒナも同じようなだましの音をたてている。
 カッコウのヒナは、ヨシキリのヒナと同じ「シッ」というねだり声を出すが、鳴き方はまばらに繰り返すのではなく、「シシシシシ・・・」と詰めて、まるでたくさんのヒナがいるかのように鳴く。つまり、カッコウのヒナは、たった一羽でも十分に食べて成長できるように、そのねだり声をヨシキリ一巣分のねだり声に擬態させる仕組みを生み出し、宿主の行動を操っている。これは前提として、カッコウのヒナが、ヨシキリのヒナを巣から全部け落としてしまい、巣の中は自分一人だけで占有しているということがあります。あつかましくも、ヨシキリの親をだまし続けるわけです。
 残念なことに、私はまだこれらの小鳥の鳴き声を聞いたことがありません。ぜひ一度聞いてみたいものです。それにしても、これって、大自然の神秘そのものですよね。

パンダの育児日記

カテゴリー:生物

著者:中国パンダ保護研究センター、出版社:二見書房
 子どもパンダが、あっちゴロゴロこっちゴロゴロ。ウヒャー、可愛い。パンダって、こんなに愛らしかったんだー・・・。パンダ好きのあなたに必見の写真集です。安い値段(1400円)で、至福のひとときをあなたは手にすることができます。まさに、パンダは地球自然の至宝の一つです。
 パンダの初乳は緑色。免疫力があって、栄養もたっぷり。初日から4日間は黄緑色で、5〜9日間は薄い緑色。10〜11日にクリーム色となり、12日から乳白色となる。それでも笹を食べるから緑色になるということでもない。これもパンダの神秘の一つ。
 一時期、中国のパンダは1000頭にまで減ってしまったけど、今は1600頭に回復した。それでも絶滅の危機にある。
 パンダの飼育は試行錯誤を経て、今では、なんと100%の成功率。しかも2005年には16匹のパンダの赤ちゃんが誕生して、全部、無事に育っている。ワー、良かったー・・・。2007年には、さらに17匹の赤ちゃんが誕生。飼育員にだっこされて勢ぞろいしている姿の可愛らしいことったら、ありません。パンダ幼稚園があり、盛大な入園式まであるんです。すごいですね。現地に行って本物を見てみたいですね。
 ところで、日本書紀には、唐の女帝・則天武后が685年に生きた雌雄の白熊(ペアのパンダ)を日本の天武天皇に贈呈したと書いてあるそうです。ちっとも知りませんでした。本当でしょうか。
 ちなみに、今、日本では、和歌山のアドベンチャーワールドにパンダが8頭もいるそうです。ぜひ見に行かなくっちゃ。あと、上野動物園に1頭、神戸の王子動物園に2頭。合計11頭のパンダが日本にいる。
 パンダの妊娠期間は平均5ヶ月。出産は夏の7月から9月にかけて。生まれた赤ちゃんは100〜200グラム。肌は全身ピンク色で、白い体毛におおわれている。口を開けて鳴き声は大きいが、臭覚もなく、目も見えない。
 1ヶ月たつと白黒の模様がはっきりしてくる。2ヶ月たって、やっと目が見えるようになる。前足で上半身を支えることができるようになり、遊びはじめる。
 パンダは人間の子と同じように、とても繊細な感情をもっている。人によくなついてじゃれるし、すきを狙って報復したりする。
 細やかな感情を表すように、パンダの鳴き声は11種類もある。羊の声、鳥の声、犬の声、牛の声、泣き声、叫び声、呻き声、舌打ち、呼吸の音、鼻を鳴らす音そして吠え声。
 パンダは大人になるまで木登りが大好き。幹に抱きついて、枝を上手にお尻にはさんで、じっとしている。お昼寝タイム・・・。
 ひゃー、えかった、えかった。かわゆーい、パンダのオンパレード。たんのう、たんのう。

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