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カテゴリー: 生物

犬語の話し方

カテゴリー:生物

著者:スタンレー・コレン、出版社:文春文庫
 人は、強い犬よりも、怯えた不安な犬にかまれるほうが多い。
 犬から威嚇されたときは、どうしたらいいか。まず第一に、背中を向けて走り出してはいけない。犬の追跡本能を刺激してしまうから。第二に、視線をやや横斜め下に落として、一、二度まばたきをする。これは服従を示し和解を求める反応だ。そして、口を少し開いて、犬が攻撃をしかけたら受けて立つ構えを示す。次に、ゆっくり二、三歩うしろに下がる。そのとき、犬とは絶対に目を合わせない。なんとか呼吸を整えられたら、顔を少し横に向けてあくびをするか、高い声でなだめるように何か話しかける。犬とのあいだに十分な距離があいたら、犬に対して横向きになるように体を回す。このとき犬が近づいてきたら、ふたたび犬と向きあい、大げさに何度かまばたきをし、横斜め下に視線を落とし、もう一度ゆっくりうしろに下がる。犬に対して横向きになったときに、犬の興奮や威嚇の度合いに変化がなければ、ゆっくり、犬と視線を合わせることなく、自然な足どりで遠ざかる。
 いやあ、難しいですね、これって。できるでしょうかね、こんなことが自然に・・・。
 犬のオスはセックスに常に関心があるものの、実際に性欲をかきたてられるのは、発情期のメスを目の前にしたり、その匂いをかいだときだけ。メスは交尾の態勢が整って積極的になるのは、年2回の短い発情期のときだけ。
 メスの発情期は、21日間続き、3つの段階がある。第一の段階は、発情前期で、9日間ほど続く。この時期のメスは、ひどく落ちつかなく、さかんに歩きまわる。水を飲む量がふえ、歩く先々で放尿する。この尿の匂いがオスをひきつける。犬の場合、出血は排卵の前に起こり、膣の壁に変化が生じて排卵の用意が整ったあかしとなる。メスは性的魅力たっぷりの香水を尿と一緒にあたりに振りまき、膣分泌物の匂いを風とともに運び、だれかれかまわずオスを誘う。だけどメスは、夢中になったオスたちをはねつける。
 メスは、オスをじらせているのではない。まだ排卵していないのだ。排卵は本当の意味の発情期に入って2日目くらいに起こる。分泌物の水分が多くなり、色が透明になると、交尾に対して膣の準備が整ったことになる。そして、排卵があっても、精子に対する卵子の受け入れ態勢が整うまでに、およそ72時間かかる。排卵期は2、3日しか続かないので、それまでに自分のまわりに大勢のオスをひきつけておき、いざというときに選べるようにしておくのが肝心なのだ。たいてい、選択権はメスにある。父親候補は、強い拒絶にあうものと、熱心に求められるものとに分かれる。
 進化は、すぐれた遺伝子を残すには、優位な強いオスを選んだほうがいいという知恵をメスに与えた。野生の犬に比べて家犬は、それほど交尾の相手を選ばない。これは人間による意図的な犬種をつくる計画のことである。
 犬の気持ちが手にとるように分かります。本のオビに、このように書いてあります。たしかに、犬の生態について、また深く知ることができました。
(2007年9月刊。705円+税)

進化で読み解くふしぎな生き物

カテゴリー:生物

著者:北海道大学サイエンスライターズ、出版社:技術評論社
 地球上には、さまざまな変な色と形をした生き物がうごめいています。この本は、写真と絵で、それを具体的に紹介してくれます。でもでも、もっとも不思議な生き物って、やっぱりヒト、そう人間ですよね。必要もないのに殺しあったりして、多くの人を無意味に殺した人間が英雄になったりして、ですね。まったく合理的な存在ではありません。どうして、ヒトはこうなったんでしょうね。それはともかく、変な生き物のいくつかを紹介することにしましょう。
 コウモリは、かつて自分が困っていたときに食物である血を分けてくれた個体に、自分が吸ってきた血を与える傾向がある。コウモリは飢え死にしそうな個体のうち、どのコウモリに血をあげて、どのコウモリを見殺しにするか、きちんと考えている。
 アデリーペンギンは、巣づくりの石が足りなくなると、メスは、他のつがいのオスか独身のオスの巣に行き、交尾をするのと交換条件で石をもらう。石を手に入れたメスは自分の巣に戻り、その石をつかって巣をつくり、つがいのオスと仲良く子育てする。
 アリはハチの仲間であり、シロアリはゴキブリの仲間である。つまり、アリとシロアリは、全く分類上は異なっている。
 ジュウシマツは江戸時代初期にインドから輸入されたスズメの仲間コシジロキンパラを祖先とする。オスのジュウシマツはカゴの中に好みのメスを見つけると、自慢の鳴き声をきかせる。その歌は文法をもっていて、それが複雑であるほどメスは強く反応する。オスは頭をつかって、なるべく良い歌をうたってメスの注意をひいて、口説き落とそうと努力するのである。ペット化されてわずか200年のあいだに、この技を身につけた。
 タマシギは一妻多夫で、メスがオスに求愛し、オスが抱卵、子育てする。メスは一腹分の産卵を終えると、オスに卵を残して移動していき、新しいオスと次々につがって産卵する。オスが子育てをする鳥では、オスがメスを選ぶ傾向にあるため、メスがきれいな羽色を発達させ、一妻多夫となる。
 寄生虫のサナダムシは、卵を2年間、休みなしに毎日うみ続ける。1日に20万個〜 100万個にものぼる。2年間の一生のうちに1億4600万個もうむ。ところが、1億個以上うんでも、終宿主にたどり着けるのは1匹程度。それでも、ヒトの小腸に入ると、1日に5〜20センチの割合で成長し、2週間で成虫になる。このとき、5〜10メートルになる。1ヶ月後から卵をうみはじめる。
 ホヤは、体液中に硫酸をもっている。ペーハー2以下というので、たいしたもの。それで捕食者から身を守っている。ところが、人間はそのホヤを美味しい珍味として食べるのですね。私も仙台に行ったとき何度か食べてみました。それほど美味しいとは思えませんでした。たしかに珍味ではありましたが・・・。
(2007年5月刊。1580円+税)

空の王者 イヌワシ

カテゴリー:生物

著者:真木広造、出版社:新日本出版社
 翼を広げると2メートルをこえる日本最大の山ワシ。北海道から九州までの深山霊谷、険しい山や谷にすんでいます。日本全国にたった400〜650羽しかいません。絶滅が心配されています。そのイヌワシを追い続けてきた著者による素晴らしい写真集です。
 イヌワシは目がいいので、近づいて撮るのではなく、来るのを待ち構えて撮る。だから、イヌワシのくせを読んで、この時期には、この木にとまると読んで待ちかまえる。撮影の9割は観察。遠くから望遠鏡で見てイヌワシの行動をつかみ、撮影ポイントを決める。重さ20キロをこえる機材を背負い、息を切らして1時間半かけて山頂に達し、そこから尾根を縦走する。岩棚で転落しないよう注意する。姿をかくすブラインド(小型テント)を張り終えるまでにイヌワシに見つかってしまうこともある。
 500ミリの望遠レンズを三脚にセットし、待つこと4時間。むむむ、長い。大変な忍耐です。天気がいい日ばかりではないでしょうから、すごい苦労です。好きでないと絶対にやれませんよね。
 イヌワシは、1年のサイクルで子育てする。一山に1ペアとは必ずしも限らず、秋田と山形の境にある鳥海山には5ペアいる。2月に産卵し、4月にヒナが誕生する。エサは1日1回から2回。獲物となるのは、カモシカ、サル、キツネ、アナグマ、タヌキ、テン、ノウサギ、イタチ、ネズミ。ヤマドリやヘビもいる。大きなカモシカを空から襲いかかるような行動で威嚇して岩場から落とし、獲物にしたり、子グマも獲物にしてしまう。ひゃあ、すごいですね。こんな大型動物まで狩りの目標にするなんて信じられません。
 雪の中、猟師がイヌワシに体当たりされることがあるのは、サルとまちがえられたことによるだろう。それでもイヌワシは人間と気がつくと、それ以上は追わないようです。
 6月にヒナは巣立つ。その前になると、親鳥はエサを運ぶ。回数が減り、ヒナをダイエットさせて空腹の状態を利用して巣立ちをうながす。
 11月、親鳥は子どもをテリトリーの外へ追い払い、1年間の子育てが終わる。
 著者は、どうやら私と同世代のようです。36歳で脱サラして、高校を卒業して以来41年間、ずっと野鳥の写真撮影をしてきたというのです。偉いものです。
 軽自動車に寝泊まりしながら、一食100円、1日16時間労働、年中無休の生活をしてきたというのですが、辛いと思ったことはないそうです。そうですよね、好きなことをしていたら、充実感があるわけですからね。
 日本の野鳥632種類を写真にとり、残る20数種にトライ中だというのですから、頭が下がります。心躍る見事な写真集です。
 福岡の小さな映画館で『once ダブリンの街角で』というイギリス映画を見てきました。街角で歌をうたうストリート・ミュージシャンがチェコから移民できた女性と出会い、素晴らしいCDをつくってデビューしていくという音楽映画です。本物の歌手が主人公なのですが、その歌唱力には圧倒される思いでした。英語はまったく聞きとれませんでしたが、歌詞が新鮮で、詩人のつくったような心うつものでした。やはり映画っていいですね。
(2007年10月刊。1400円+税)

昆虫がヒトと救う

カテゴリー:生物

著者:赤池 学、出版社:宝島社新書
 ひゃあ、そうだったのか、知らなかったー・・・。つい、そんな叫びをあげてしまいました。
 ウジ虫が劣悪な衛生環境の中で生きていけるのはなぜなのか?
 こんな発想をもったことがありませんでした。ウジ虫は自分のもっている自然免疫を活性化させているから、ひどい環境のなかでも成長できる。その抗菌力はザルコトキシンによる。これは小型タンパク質の一種、ペプチドである。
 その殺菌力は協力で、1ミリリットルの体液中、1ミリグラムの1万分の1というわずかな量さえあれば、細菌類を殺すことができる。それでいて、動物の培養細胞には何の悪影響も及ぼさない。つまり、悪い菌だけ殺して必要な細胞は殺さない。
 そして、このザルコトキシンは、一度つくられて永久に体内に存在するわけではなく、体が傷つくたびに生成される。この物質から、人間のある種のガンにピンポイントで効果をあらわすものが発見された。うむむ、なんと、なんと、すごい発見です。
 次はシルク。シルクはタンパク質で、糸はタンパク質同士が水素結合でくっついてできた集合体。シルクは昆虫の体内にあるときには液体なのに、外に吐き出されたとき一気に美しい糸になる。糸は直径10ミクロンで、長さは1500メートルもつながっている。
 このシルクには、カビにくいし、質感を変えておいしくする作用がある。カビの発生を遅くし、味が滑らかになる。ふーん、シルクって光沢があるだけではないのですか・・・。
 スズメバチに刺されて死ぬ人が毎年25人ほどいる。それほど猛毒をもつ昆虫である。このスズメバチは巣がないと2〜3日しか生きられない。なぜか?スズメバチは虫などを食べる肉食昆虫なのに、自分で捕ったエサ(肉ダンゴ)を食べることができない。というのは、スズメバチの胸と腹をつなぐ胴がものすごくくびれているため、液体しか通らない。これは、どの方向、どの位置にいる敵に対しても毒針を刺せるよう、自由自在に腹を動かせるためのもの。ところが、その結果、スズメバチは液体流動食しかとれない身体になってしまった。では、そのエサはどうやってとるのか。なんと、幼虫からもらうのです。幼虫は親のスズメバチからもらった肉団子を食べて、大量のアミノ酸ドリンクをつくり、それを親に与える。だから、幼虫がいないと、親は栄養をとることができない。スズメバチの親子は、栄養の交換を通じて、固い絆で結ばれている。
 うむむ、これはすごーい。そして、このアミノ酸ドリンクが、スズメバチの高い運動能力をもたらしていたのです。そこに気がつき、着目した学者は偉いですよね。このアミノ酸ドリンクは、ふだん燃えにくい脂肪を燃やして、エネルギーにして運動しているのです。そして、これは運動しなくても脂肪が燃えるということから、運動なしでやせられる夢のダイエット飲料として着目されました。これが有森裕子と高橋尚子が宣伝するVAAMなのです。
 いやあ、驚きました。ちっぽけな昆虫たちが、たまに人間を殺してしまったり、嫌われもののウジ虫が実は人間のためにすごく役立つ存在でもあったなんて・・・。ホント、世の中は不思議なことだらけです。
(2007年10月刊。700円+税)

犬はきらい?

カテゴリー:生物

著者:エミリー・ヨッフェ、出版社:早川書房
 私は犬派です。猫は、どうしても好きになれません。幼いころから、ずっと我が家に犬が飼われていたので、犬にはすごくなじみがありますが、猫はいませんでしたので、なんとなく敬遠してしまいます。
 猫と犬とは根本的に違う。犬は美人コンテスト出場者のようなもので、他人を喜ばせたいと思っている。サーシャ(著者の飼い犬)は、家の中で粗相すると著者が怒ると理解してからは失敗しない。猫はスーパーモデルのようなもので、他人に喜ばせてもらいたいと思っている。
 なーるほど、そうなんですね・・・。私は犬が散歩しているのを見ると、犬の表情を見ます。生き生きとした犬の顔を見ると、私までうれしくなってきます。
 猫の知性を試す方法は、まずない。猫はごほうびに釣られないため、賢さをはかるのは難しい。それこそ猫が人間というものを天才的に理解している証拠だ。はいはい、それをやればエサをくれるっていうんだね。でも、知ってるんだ。ここに寝そべって、のんびりうたた寝したり毛づくろいしたりしていても、結局は、エサをもらえるんだよね。
 むむむっ、敵は見抜いていたのか・・・。
 猫が粗相するのには理由がある。たとえば飼主夫婦の結婚生活に緊張が生じているから。夫婦が離婚してしまうと、猫の粗相も止む。ええっ、そうなんですか・・・。
 犬を飼い慣らすことの面白さに味をしめた人間は、夢中になって、次々と動物を家畜化していった。イノシシも豚として飼いはじめた。それが農業に変革をもたらし、やがては近代の文明化につながっていく。
 ロシアで驚くべき実験がやられた。野生のギンギツネを飼育した。個体の人間に対する反応を調べ、生まれつき人慣れしたキツネ同士をかけあわせていった。すると、わずか6世代で子孫のなかに人間を恐れない、それどころか人間のそばにいたがる個体が誕生した。さらに数世代を経ると、行動だけでなく、ぶち模様の毛や垂れた耳をもつ子どもが生まれた。キツネの犬化がはじまりかけていた。
 うひゃあ、そういうことができるのですか。本当なんでしょうか。
 ペットの飼い主にとっての最大の悩みは、犬においては攻撃的であること、猫においてはトイレ以外の場所に粗相すること。
 子犬の発達のためには生後16週間までの時期が重要だ。原則として、犬の生涯にわたる社会性は、この16週間で決まる。
 オオカミには、集団での狩りを成功させるには大きな脳を必要とする。しかし、捨ててある鶏の足をかぎつけて食べる犬には大きな脳は必要ない。人間にとって、犬の知性の後退はプラスとなった。
 ビーグル犬を飼い、一時預かりに挑戦する著者の犬との共存日記です。ベッドでも犬と一緒に寝ているようですが、本当でしょうか。犬好きの私でも、とても考えられません。でも、猫を冬の寒いときに湯たんぽがわりにしている人は多いようですから、そういう人も多いのでしょうね。
 私の家でも、私が高校生までスピッツを座敷犬として飼っていましたから、家のなかはいつもザラザラしていました。そのころは何とも思わず平気でしたが、今では、とても耐えられません
(2007年10月刊。1333円+税)

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