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カテゴリー: 生物

先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!

カテゴリー:生物

著者:小林 明道、 発行:築地書館
『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます』に次ぐ第二弾です。面白いです。
自然に恵まれた鳥取環境大学とその周辺で起こる、動物や学生を巻き込んだ事件がいくつも紹介され、なるほど、人間動物行動学というのはこういうものをいうのかと、悟らされます。
タヌキは哺乳類の中では大変珍しい「一夫一妻制」の動物である。父親が母親と同じくらい子どもに密着して世話をするのも珍しい。出産直後から、父タヌキは母タヌキと交代で生まれた赤ん坊を抱いて体で温める。うひょお、こんなことって、ちっとも知りませんでした。我が家のすぐ近くにある草ぼうぼうの荒れ地にタヌキ一家が昔から住んでいるのは間違いないようですが、まだお目にかかったことはありません。
シマリスがヘビに出会うと、自分の方からヘビに近づいていき、毛を立てて膨張した尾を大きく揺らしたり、人が地団駄を踏むように足で地面を踏み鳴らしたり、ときどきヘビの方を向いてピチッと鳴いたりする。うむむ、怖がって逃げ出すばかりではないようです。
ヘビを麻酔注射して動かないようにしておくと、シマリスはヘビの頭をかじり始めた。そして、かじりとった皮膚の一片を口のなかでかみほぐしたあと、自分の体に塗りつけはじめた。別の機会にはシマリスがヘビの尿(ヘビの尿は練り歯磨きのような白い半固体状になっている)をかじって、身にぬりつけていた。シマリスは自分の体にヘビのニオイをつけることによって、ヘビの補食から逃れやすくなるのだ。な、なーるほどです。そういうことなんですか・・・。
身近な動物たちの意外な生態が解明されていくのを知るのは楽しいものです。いやあ、世の中って、知らないことばかりですよね。
(2008年10月刊。1600円+税)

ネコはどうしてわがままか

カテゴリー:生物

著者:日高 敏隆、 発行:新潮文庫
ウグイスが、なぜ、あんなによくさえずるのか?それはウグイスが、なわばり制の鳥だから。ホーホケキョという声は、オスのなわばり宣言なのだ。オスは、こうして守っている自分のなわばりの中に入ってきたメスとつがうのだ。
ドジョウはひげで水底に触りながら、あちらこちらと探ってまわる。食べものは水底で半ば腐った、分化した有機物を食べる。もともと溶けたようなものだから、効率よく腸に吸収され、かすなど残らない。だから、ドジョウの糞は、一緒に吸い込まれた土砂の粒だけ。つまり、ドジョウは糞を出さない。うへーっ、そ、そうなんですか。知りませんでした。
水上のミズスマシは、空中からの敵と水中からの敵と、両方に備える必要がある。だから、もともと左右一つずつある目が、それぞれ上下2つに分かれた。だからミズスマシには目が4つある。うひょーっ、目が4つもあるんですか・・・。
では、ミズスマシは前方をどうやって見るのか?それは波で見る。つまり、水面の波を触角でとらえ、前方の様子を知る。ミズスマシは水面の波にひかれ、その波の源へ近寄っていこうとする。これを走波性という。近寄ってみて異性と分かったら、すぐさま生殖行為に移る。同性だったら、離れようとしてはまた戻るのを何回か繰り返して、ようやく離れていく。
アメンボは、6本ある肢のうち4本の肢の先が油気があるので、水の表面張力で浮かんでいられる。残る2本の肢は油気がないので水にぬれる。この2本の肢を水につっこみ、オールのようにして水をこぐ。だからアメンボは、右にも左にも自由自在に水上をすいすい走ることができる。アメンボは異性に対しては、前肢で水をたたいて波の信号を送る。お互いに前肢で波の信号を送りかわして思いを遂げる。モグラは土の中にトンネルをはりめぐらす。ミミズがそのトンネルに落ちて驚きばたばた音を立てると、その音を聞きつけてモグラが走ってきてミミズを食べる。モグラは目が見えないから、明るくした金鋼パイプの中を走り回る。
 カラスは直径10メートルもあるという大目玉の気球を怖がる。
 カタツムリのセックスは大変だ。ともかく、お互いが男であり、女であるわけだから、一匹の中の男と女が両方とも、その気にならなければならない。出会った2匹は角でなであい、体を触れてくねらし、頭のこぶをふくらませてこすり合って、何時間もかけて口説きあう。ときには半日も一日もかけてやっと機が熟するとお互いに長いペニスを伸ばし、それを互いのメスの部分に挿入する。そして、また長い時間をかけて精子を出す。
タイトルは忘れましたが、このカタツムリのセックスを映像にしたフランスのドキュメント映画があります。いやあ、まるでポルノ映画を見ているような錯覚に陥り、体中ぞくぞくするほど、なまめかしい映像でした。
トンボは、4枚の「はね」を全部別々に動かすことができる。トンボは、独立して羽ばたく4枚の「はね」で「はね」の角度を変えたりできるので、翼が回転するだけのヘリコプターである一般の昆虫より、もっとデリケートな飛行を楽しんでいる。
夕方になると、スズメたちは街路樹に集まって、大変な騒ぎをかき立てる。だけど、なぜ、こんなに騒ぐのか、人間は解明できていない。
ツバメが家の出入り口に巣をかけるのはスズメのため。ツバメはスズメを嫌っている。スズメからヒナがいじめられたりするからだ。それでスズメがやってこないところに巣を作ろうとする。スズメは人間を大変に警戒している。人が絶えず出入りする家の入り口には絶対に巣を作らない。だから、ツバメは、この性質の裏をかいて、できるだけ人の出入りの多い家の軒先に巣を作る。
一匹でじっと獲物を待ち伏せるネコと違い、イヌは歩き回って獲物を探し、見つけたら、追いかけていって狩りとる動物だ。イヌは歩き回ることは、全く苦にならない。それどころか、それが楽しみだ。
イヌをあまり大事にしすぎると、イヌは勘違いする。自分こそがリーダーだと思って、飼い主の言うことを聞かず、勝手気ままに振る舞う。そこで、訓練所では、トレーナーがイヌに鎖をつけて引きまわす。イヌに、リーダーは、自分ではないことを思い知らせるのだ。なーるほど、ですね。
本来は単独生活しているネコたちで親密なのは、親子関係だけ。親子といっても、父親との関係は全くない。子どもは自分の父親を知らない。子どもが知っているのは、授乳して世話をし、育ててくれる母親だけ。子猫が鳴けば、母ネコは飛んでくる。しかし、母ネコが鳴いて子ネコを呼んだからといって、子猫は母ネコのところに飛んでくるわけではない。
ネコたちの「わがまま」は、これで理解できる。
生き物について、さらに理解することができました。とても面白い本です。
 あけましておめでとうございます。今年もぜひご愛読ください。
 お正月は、朝起きて雨戸をあけると薄暗く、雨でも降りそうな気配でした。お節料理をいただいていると、やがて音もなく雪が降ってきました。綿をちぎったようなボタン雪です。地表に落ちた雪は積もる感じではありません。やがて雪は一段と激しく降り、多難な幕開けを予感させました。ところが、ひとしきり降ったかと思うと、そのうちに雪は止み、薄日が差し始めました。午後からはすっかり晴れ上がり、今年の景気も、これほど早く回復してくれたらいいなと思わせます。年賀状を読み終え、ポカポカ容器に誘われて庭に出て、クワをふるって畑仕事を始めました。これが何よりのストレス解消です。畳一枚分の土地を掘り起こすと、ふーっ、と、ため息をもらし、腰に手を当ててしまいます。球根を植えかえてやるのです。球根はどんどん分球していきますので、それをうまく分けて植え付けます。娘から、「それは何という花なの?」と訊かれますが、悲しいことに球根を見て分かるのは、チューリップのほかはダリヤくらいです。花が咲いたら、もう少し花の名前を言うこともできるのですが・・・。
 庭を掘り起こしていると、いつもの愛嬌いいジョービタキがやってきます。やあ、がんばっているね。そんな感じで、声をかけてくれます。これは本当のことです。スズメより一回り大きい名を知らない灰茶色の小鳥もやってきました。掘り起こしたあとの虫を狙っているようです。黄色いロウバイの花が盛りです。においロウバイと言って、通りかかった近所の人がロウバイの匂いですねと声をかけるのですが、残念なことに鼻の悪い私はロウバイの匂いはかすか過ぎて、よく分かりません。
 正月を過ぎて、少しだけ陽の落ちるのが遅くなった気がします。1月3日は、夕方5時10分に日が沈みました。それから30分間、5時40分ころまでは夕方の明るさです。春が待ち遠しいです。
(2008年6月刊。400円+税)

チンパンジーの社会

カテゴリー:生物

著者:西田 利貞、 発行:東方出版
 アフリカで40年以上も野生チンパンジーの生態を見続けてきた学者が、平易な言葉で写真を示しながら語っていますので、とても分かりやすい本になっています。ヒトとチンパンジーの違いというか、よく似た存在だということがよく分かります。
 長期間ずっと観察する。多くの集団を見て比較する。個体識別する。これがニホンザルでもチンパンジーでも必要不可欠のものだったし、それで成果をあげることができた。
 チンパンジーの性行動は乱交的であり、特定のオスと特定のメスだけが頻繁(はんざつとは読みません。麻生さん)に交尾するのではなく、いろんなオスメスの組み合わせで交尾している。しかも、他のオスやメスがみている前で交尾することが多い。だから、子どもの父親が誰だかまったく分からない。父親も誰がこどもか分からない。
 チンパンジーの集団はニホンザルと違って、メスがよそから入ってくる。オスは動かない。動くのは、まだ子供を産んでいない若いメス。だいたい11歳になると、メスは集団から出ていく。そして出ていったきり、集団に戻ってくることはない。だから、チンパンジーは母系ではなく父系の社会である。ヒトとチンパンジーとボノボは基本的に父系社会である。
 チンパンジーは、ゴリラのように一夫多妻ではなく、ボノボと同じく複雄複雌群だ。
 チンパンジーのリーダーに必要な資質は、ディスプレーの持続力。ライバルと対峙したとき、逃げ出さないこと。恐怖心をおさえて、ハッタリであっても威嚇や攻撃を続けること。リーダーには、恐怖心の克服が何より求められる。
リーダー(第一位)の在位期間は平均して5年ほど。リーダーにとって、2位と3位のオスは自分の一番怖いライバルである。そこで、2位と3位が連合を組むのを絶えず阻止しようとする。トップの獲得は単独で、しかしトップを維持するには連合で、というのがチンパンジーの世界だ。この点をもっと詳しく解説した『政治をするサル』(フランス・ドゥ・ヴァール、平凡社)という、面白い本があります。
 リーダーになるとき、メスの支援はあまりあてにできない。メスは現リーダーを応援する傾向が強い。つまり、現状維持志向が強い。
 リーダーの大きな仕事として、メスの喧嘩を引き分けることがある。しかし、これも、何かをするというより、間に入って走り抜けるだけのこと。リーダーがどちらかのメスを応援することはまずない。
 リーダーが負けてしまうと、村八分のようになって、集団から出てしまう。グループにそのまま残ることは少ない。たまには、あとで返り咲くこともある。
 チンパンジーは、通常は平和に暮らしている。しかし、お互いの順位については非常に神経質だ。順位の低いオスは、高いオスにパント・グラントという挨拶をしなければならない。
 チンパンジーの母親は、子どもに教えるということはしない。子どもが自分で試したり、見て覚えていく。
 チンパンジーの離乳は、おっぱいを吸わなくなるだけではない。だいたい5歳になるまでには、自分で自分のベッドを作り、母親とは別々に寝るようになる。
 ヒト以外の霊長類には、児童期はない。
 大人のオスになる条件というのは、どの大人のメスよるも強くなること。要するに、どのメスにもパント・グラントという挨拶をさせることが、大人のオスの条件である。
 オスと違って、メスの順位はほとんど年齢順。年寄りほど順位が高い。40歳を超えたチンパンジーも出産した個体がいる。ヒトの女性の更年期というのは動物界の例外である。繁殖終了後のチンパンジーの生存率はほとんどゼロ。
 チンパンジーは、夜は必ず木の上で寝る。そのベッドは頑丈にできている。ベッドは寝るためだけで、子育てには使われない。だから、巣ではない。
 チンパンジーの交尾時間は、7〜8秒とすごく短い。それはオスがたくさんいて、競争で交尾するから。
 チンパンジーは詐欺ができる。また、ヒトが赤ん坊を腕と両足で支えて「ヒコーキだよ」と遊ぶように、同じことが出来る。
 チンパンジーは、人間らしい笑顔で笑う。母親は、子どもと遊ぶのが大好きだ。ただし、チンパンジーには人間のような集団対抗遊戯のようなものはない。綱引きはしない。
 ヒトとチンパンジーの違いと似たところがよく分る面白い本です。 
(2008年9月刊。1500円+税)

クマのすむ山

カテゴリー:生物

著者:宮崎 学、出版社:偕成社
 表紙の写真が圧巻です。ええーっ、クマが写真家になったの・・・?ついそう思わせます。クマが3脚のついたカメラをかかえて立っているのです。でも、よく見ると変です。写真をうつすのなら、カメラのファインダーをのぞかないといけません。ところが、このクマは、なんとカメラを口にくわえているようなのです・・・。
 動物写真家の著者は、長野県の中央アルプス、標高750メートルの村のなかの遊歩道に、無人で撮影できるロボットカメラを設置しました。無人カメラですから、クマたちは人間を気にすることもなく、実に伸び伸びとしています。
 この定点カメラが、たくさんのクマ、そしてキツネやイノシシ、テンをとらえました。それにしても、たくさんのクマが登場します。親子グマも少なくありません。定点カメラがいたずらされるので、近くに別のカメラをセットしました。そのとき撮れたのが表紙にもなっているクマの写真です。大きなクマが、まるで写真屋になって記念撮影でもしているかのような姿で写っているというより、好奇心まるだしで、夢中になっていじっているうちに、力が強いので、カメラをキズつけたり倒したりしてしまったのです。
 クマが木登りが上手なことは写真で証明されています。あの重たい身体をものともせずに、するすると木登りしていくのです。その身軽さは不思議なほどです。ツキノワグマは、木のぼりがとても上手なのです。そして、木の上にのぼると、枝を折ってお尻の下に敷きつめ、クマ棚をつくって、その上で食事するのです。よく見ると、山のあちこちに、このクマ棚があります。うへーっ、驚きます。
 結局、ツキノワグマは本州各地に確実に増えているようです。クマは、えさ不足でやせているどころか、みんなまるまると太っているのです。
 クマにも、積極的に人里に出て人を恐れない新世代タイプと、里には近寄らず、昔ながらの生活を好む旧世代タイプがいるようです。そうなんですか、ちっとも知りませんでした。ツキノワグマに少しでも関心のある人には絶好の写真集です。
 トールーズから電車に乗って1時間かけてカオールという町へ行きました。ここは黒っぽいこくのある赤ワインで有名です。私は実は大好きなのです。最近は好みが変わって、ボージョレーのような軽いものより、少し重味を感じる赤ワインがいいと思うようになりました。
 カオールは小さな町でした。川に歴史を感じさせる古い橋がかかっています。町の中心部の広場に面したカフェーで昼食をとり、カオール(赤ワイン)を少々のんでいい気分になりました。
(2008年5月刊。2000円+税)

I lovu you,MOM

カテゴリー:生物

著者:シルミニ・ステファンデス、出版社:ぶんか社
 心あたたまる写真オンパレードの小さな写真集です。動物親子(母と子)の愛らしい写真と、それにぴったりの優しい詩句から成る本です。
 どこまでも白い大雪原に、母なる白クマと2頭の子ども白クマが寄りそっています。
 わが子のためなら、何だってできてしまう、それがお母さんの愛。
 これにかなう愛はない。
 強い心と優しい心で、子どもが自立できるように育てていく。それが本当の親の姿。
 母ザルの腕のなかで、安心しきって甘えている子ザルがいます。
 母親とは、頼るための人ではなく、他人に頼らなくてもいい子どもを育てる人。
 いやあ、実に、これが難しいのですよね。自分が親になってみると、よくよく分かります。
 夕方、お互いの鼻をからませながら帰っていく母ゾウと子ゾウのシルエット写真もあります。切り絵のような感動的写真です。
 すごい人はたくさんいるけれど、ほんとにすごいのはお母さん。お母さんがいなければ、どんなすごい人だって、そうはなれなかったかもしれない。
 お母さんって、ほんとうにすごい。
 最近、ちょっぴり疲れてしまったな。そんな気がしたときに読むと(いえ、手にとって眺めると)、きっと元気を取り戻してくれると思います。
 フランスに行ってきました。今年12月に還暦を迎えますので、その前祝いと称してのバカンスです。南フランスをまわってきたのですが、思った以上に涼しくて、むしろ朝などは肌寒さを感じるほどでした。ニースからバスで30分ほどのところにあるエズ村に滞在しました。鷲の巣村と呼ばれるところですが、地中海に面した絶壁にそそりたった小さな村があるのです。天気は毎日晴れ。直射日光こそ酷いものの、木陰に入ると暑さは感じません。夜9時までは真昼の明るさで、大勢の観光客がやってきます。日本人も何組もいました。人々は、ここで景色を眺め、たっぷり時間をかけて食事を楽しみます。立派なレストランもあるのです。
(2008年6月刊。925円+税)

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