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カテゴリー: 日本史(戦国)

裏切り淳山

カテゴリー:日本史(戦国)

著者  中路 啓太 、 出版  講談社
 裏切り者というと、いやなイメージですよね。私も、裏切り者とは呼ばれたくありません。
 戦国時代は、主君を裏切ることが横行していた時代でもあります。下克上の世界です。
一年をこす兵糧攻めでも落ちない難攻不落の三木城。業を煮やした秀吉が送り込んだ、最後の使者。
 それが、この本の主人公です。朝倉義景が本拠地の一乗谷を織田信長より攻め滅ぼされ、浅井長政も自害したころのことです。
 秀吉は信長に命じられて中国道に進出するのですが、なかなか思うように成果が上がらず焦っていました。尼子氏の再興を願う山中鹿介ら尼子十勇士も結局、見捨ててしまうのです。
 竹中半兵衛そして黒田勘兵衛が脇役のように登場します。秀吉も、ちょい役でしかありません。
 戦国時代にタイムスリップ気分に浸ることのできた本でした。
(2007年12月刊。1700円+税)

変り兜

カテゴリー:日本史(戦国)

著者  橋本 麻里 、 出版  新潮社
 こんなにいろんな形と色のカブトがあるなんて、ちっとも知りませんでした。
 戦場のオシャレは命がけ、とありますが、大将たちはまさしく命がけの戦場で精一杯のおしゃれをしたのです。
徳川家康の19歳のときの甲冑(かっちゅう)はゴールド尽くしです。戦場で光り輝いたことでしょう。
 「井伊(いい)の赤備(あかぞなえ)」で有名な井伊直政のカブトは朱塗りです。戦場に朱塗りで固めた一団が現れたら、さぞかし脅威だったことでしょう。
 伊達政宗の重臣の伊達成実(しげざね)の南蛮鎖兜(くさりかぶと)は、なんと、巨大なムカデをその前面につけています。ムカデは怪異なる動物で、毘沙門天の仲間だった。
 蝶兜(ちょうかぶと)もあります。こちらは、優美な蝶のイメージです。
毛利家伝来の兜には、孔雀の羽で装い、ヤクの白い毛がついている。
 ウサギの頭がそっくりカブトになっているのもあります。ウサギの耳がピンと立っています。
 サザエの形をしたカブト、しゃちほこ形のカブト。いろんなものがあります。なんと、ハマグリをのせたカブトまであります。
見るだけで楽しいカブトの写真集です。
(2013年9月刊。1600円+税)

甲斐姫物語

カテゴリー:日本史(戦国)

著者  山名 美和子 、 出版  鳳書院
今から5年前、『のぼうの城』(和田竜。小学館)を読んだとき、これって完全にフィクションだと思いました。話が面白すぎたからです。ところが、実は、歴史的に有名な攻防戦のフィクションとして再現したものだと知って腰が抜けるほど、驚いてしまいました。
 『のぼうの城』の巻末の参考文献として、『行田市史』や『成田記』など、たくさんの本が並んでいることからも、単なるフィクションではなく、一定の史実にもとづいた本だということが分かります。そして、この本は、『のぼうの城』よりも、ぐっと味わい深いものがあります。
 なにしろ、主人公は、城主の娘、そして、その跡取りとして武芸にも優れている若き女性なのです。これで話が面白くないわけがありません。
 忍(おし)城をわずか300人ほどで守る。敵は秀吉軍。石田三成を大将とする3万人の軍勢。守れるはずがありません。ところが、地の利を得て、城下の百姓のたすけもあって、ついに守り通すのです。
 ここらは『のぼうの城』と同じで、知略を尽くすのです。ちょっと違うのは籠城する将兵の仲間割れをいかに防ぐかという難局を乗り切ったところです。戦国時代の戦いで活用されたのが、この仲間割れ作戦でした。武将同士に不和があることを聞きつけると、そこに乗じて餌をちらつかせて寝返りを誘うのです。常套手段でした。それにしても、小田原城に立てこもった北条勢が陥落したあとまで、ちっぽけな忍城を守り抜いたのですから、すごいものです。これは史実なのです。
 石田三成の「水攻め」にあっても陥落しなかったのでした。そして、甲斐姫は落城後、蒲生(がもう)氏郷(うじさと)の配下になります。そして、ついには秀吉の下に召されていくのでした。
歴史的な事実と、どの程度あっているのかは、恥ずかしながら知りませんが、物語としてとてもよくできていると感嘆しつつ、二日間で読み通しました。著者略歴によると、たくさん歴史書をものにしておられることを知りました。
 軽やかで、巧みな心理描写に、感情移入がスムーズに出来て、すっと読み通すことができました。ありがとうございます。
(2013年10月刊。1600円+税)

戦国大名の「外交」

カテゴリー:日本史(戦国)

著者  丸島 和洋 、 出版  講談社選書メチエ
外交というと、国家間の交渉というイメージですよね。戦国大名が「外交」していたというのは、ちょっと変ではないですか・・・。でも、著者は変ではないと言います。
戦国大名は、一つの「国家」だった。戦国時代は、日本という国の統合力が弱まり、戦国大名という地域国家によって、列島が分裂していた時代なのだ。うーん、そうなんですか・・・。
 今川義元は、「ただ今は、おしなべて自分の力量をもって国の法度(はっと)を申し付け、静謐(せいひつ)することなれば」と、高らかに宣言している。
 紛争当事者の双方が中人(ちゅうにん。いわば仲人)と呼ばれる第三者に問題解決を委託し、中人の調停によって和解するという中世の紛争解決方法を中人制と呼んだ。
 このとき、起請文(きしょうもん)の交換が重要な意味をもつ。起請文は、前書(まえがき)と神文(しんもん。罰文=ばつぶん)からなる。起請文には、花押に血判がすえられることが多い。血判は指先に傷をつけて、血を花押の上に滴(したた)らせる。
 秀吉は、戦国大名間の戦争の本質は、国境紛争にあると理解していた。
国境あたりの国衆は、「両属」(りょうぞく)や「多属」を余儀なくされた。つまり、隣接諸大名に同時に従属することで、自領が戦場になることを避けようとした。
 同じように国境付近の村落は、「半手」(はんて)という知恵をつかった。半手は、「半納」「半所務」(はんしょむ)とも呼ばれ、敵対する大名双方が、国境の村落の中立を認めるもの。だから年貢については、両方の大名に半分ずつ納める。これって映画「七人の侍」を思い出しますよね。百姓はしたたかに生きていたのです。
大名同士でとりかわす外交書状には厳密な作法が存在した。書札礼(しょさつれい)というのは、どのような書式で書状を書くかによって、自分と相手方との政治的、身分的な差異を表現する。
「書止文言」(かきとめもんごん)には
対等な相手に書状を送るとき・・・・、恐々謹言
目上には・・・・・、恐惶謹言
目下には・・・・・、謹言
さらに身分の低い相手には、書止文言はなく、「候也」と書く。
 草書で字体を崩して書くよりも、行書さらには「真」で書いた方が厚礼である。
 もっとも丁重されたのが、相手に直接書状を送らず、その家臣に宛てて書状を送るということ。形式上の宛先は相手の家臣である。こうやって、ひそかに意思が伝達されていた。
 側近だけでも外交交渉が可能でありながら、一門・宿老を起用せざるをえなかった。これは、戦国大名の特徴の一つである。
 「路地馳走」(ろじちそう)とは、領国に達するまでの「安全な」交通路を軍事外交上のさまざまな手段をつかって、確保したどり着いた使者などについて宿舎などの手配をして、本域まで送り届けること。
 戦国大名の外交において、外交官である「取次」は不可欠な存在である。交渉相手に深入りをしてしまうという危険性をもっている。
戦国大名が「外交」していたという指摘に驚かされました。
(2013年8月刊。1700円+税)

秀吉の出自と出世伝説

カテゴリー:日本史(戦国)

著者  渡辺 大門 、 出版  洋泉社歴史新書
秀吉の出自は今なお不明。
 『懲毖録』(ちょうひろく。李朝の宰相、柳成竜の著)には、秀吉はもともと中国人で、倭国に流れこんで薪を売って生計を立てていた、とある。秀吉が中国人というのは認められないが、薪売りをしていたという史料は他にもある。
 秀吉の出自が判然としないというのは、同時代に日本に来ていたポルトガル人宣教師にも広く認識されていた。
 秀吉が関白に就任したあと、秀吉の弟と称する若者が登場した。秀吉51歳のときのこと。秀吉は、その若者を捕まえると、直ちに面前で斬首刑に処した。その前、母の大政所に、この若者は知らないと言わせていた。別に、もう一人、妹と称する若い女性がいたが、こちらも斬首された。
 3回以上の結婚歴のある秀吉の母には、別に子どもがいた可能性は高いが、秀吉には兄弟は三人で十分だった。ですから、彼や彼女らは切り捨てられたというわけです。
 秀吉の出自を被差別民だとする有力説もある。秀吉には卓抜した能力と粘り強く辛抱強い、そして上昇志向があった。
 秀吉の指は6本あった。だから、信長から「六ツめ」とあだ名されていた。フロイスの『日本史』にも、秀吉の片手には6本の指があったとされている。
 秀吉は身長が低く、醜悪な容貌の持ち主だった。眼が飛び出しており、ヒゲは少なかった。秀吉は、「猿」にたとえられ、また、はげネズミとも言われた。
 秀吉は、フロイスに対して、自信の容姿が良くないことを自覚して述べた。
秀吉は、自分の趣味を諸大名に押しつける性癖があった。それも、抑圧された厳しい幼年時代の経験が大きく影響している。
 秀吉は非常に出世欲が高く、ゆえに仕官するための行動を欠かさなかった。実に抜け目のない性格だった。そして、そのための努力を惜しまなかった。
 秀吉の合戦では残酷な仕打ちも珍しくなかった。秀次とその家族の抹殺もかなり異常だった。
 秀吉の実像をつかむことのできるコンパクトにまとまった本です。
(2013年5月刊。900円+税)

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