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カテゴリー: 恐竜

恐竜時代Ⅰ

カテゴリー:恐竜

著者   小林 快次 、 出版   岩波ジュニア新書  
 恐竜についての最新の研究成果が、さすがに子ども向けらしく、とても分かりやすく解説されています。大人にとっても十二分に役立つ内容です。
過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい。
 鳥は恐竜である。鳥類は恐竜類から進化したと言うと間違いだ。正しくは、鳥類は、中世代の恐竜類から進化したと言うべき。
 始祖鳥は、空を飛んで生活していた。体の軽量化に成功していた。しかし、始祖鳥は、いまの鳥類のように翼をバサバサと羽ばたかせて空を飛んでいたとは考えられない。始祖鳥の胸筋は、現在の鳥類のようには発達していなかった。そこで、始祖鳥は、鋭い爪をつかって木に登り、十分な高さまで登って、そこから滑空していたのだろう。うひゃあ、これって八王子の高尾山の神社に住むモモンガそっくりじゃありませんか・・・。
 1億7000万年のあいだ、地球を支配していた恐竜はすぐれた生命体だった。身体の構造は複雑であり、ちみつな設計により成り立っていた。ところが、今から6550万年前に忽然と地球上から姿を消した。もちろん、鳥類を除いて・・・。
恐竜の足跡化石にも、大きな利点がある。まず、数が多い。そして、歩くスピード体重、行動について証拠を残している。
 恐竜の起源から繁栄のはじまりまでの化石記録がもっともよく残っているのは、アルゼンチンのイスチグアラスト州立公園である。
 恐竜も子育てしていた。子育てという行動を確立することによって、恐竜の繁殖能力は、ほかの動物よりもすぐれていた。そうやって、恐竜は大繁栄し、全大陸を制覇できた。
 恐竜の一部が巨大化したのは、天敵がいたため。身を守るには体を大きくすることしかなかった。長い首は、食べるものを集めるのに役立ち、体温調節にも役立つ。長い首をもつことで、体を動かさなくても首を左右に振るだけで、たくさんの餌にありつける。細長い首と尻尾はラジエーターのような役割、つまり、体にこもった熱をそこから逃すことを可能にした。
 本書の前半部分では、大変な苦労をしながら、恐竜化石を求めて世界を歩いている実情が語られています。こんな学者がいるから、恐竜について少しずつ分かっているのですね。本当にお疲れさまだと思いました。
(2012年6月刊。940円+税)

「決着!恐竜絶滅論争」

カテゴリー:恐竜

著者   後藤 和久 、 出版   岩波科学ライブラリー
 この本を読んで明確に認識したことが二つあります。その一は、鳥は恐竜の一部だということです。ジュラ紀後期に出現した鳥を加えて恐竜と呼ぶ。だから、恐竜絶滅論争はあくまで、非鳥型恐竜のみを扱っている。
 その二は、恐竜が絶滅したのは6550万年前の白亜紀末にメキシコ・ユカタン半島に小惑星が衝突したことによるものだというのは、30年来の論争の末に決着がついているということです。もちろん、反対説を唱えている人は今もいますが、それは実証的な反対論ではないということなのです。
衝突説にとって決定的な証拠は、1991年に、チチュルブでクレーターを発見したこと。これは直径180キロメートルの円形構造のクレーターであり、地下1キロに埋没している。
 小惑星は、地球表面に対して30度の角度で南南東の角度から現在のメキシコ・ユカタン半島に迫ってきた。その直径は10~15キロ、衝突速度は秒速20キロ、そして放出エネルギーは広島型原爆の10億倍。衝突地点では、時速1000キロをこえる爆風が吹き、衝突地点から立ち上る柱状の噴流(ブルーム)の温度は1万度。大気や地表が過熱され、地球上のいたるところが灼熱状態になった。地表面温度にして260度。
 衝突地点付近はマグニチュード11以上の地震に襲われた。メキシコ湾岸を襲った津波の高さは最大300メートルに達した。衝突によってダスト(塵)が舞いあがり、火炎にともなうスス、そして衝突地点に厚く堆積していた硫酸塩岩が蒸発することで放出された硫黄が塩酸エアロゾルとして大気に長期間の滞留し、太陽光を数ヶ月から数年にわたって遮った。これによって寒冷化が起きる。いわゆる「衝突の冬」である。最大10度は温度が下がる。硫黄が大気中に大量に放出されたことから、硫酸の酸性雨が地球上に降り注いだ。
 恐竜って、何億年も生きていたのですよね。それが一回の小惑星との衝突によって絶滅させられなんて、世の中はミステリーだらけですね。
(2011年11月刊。1200円+税)

知られざる日本の恐竜文化

カテゴリー:恐竜

著者:金子隆一、出版社:祥伝社新書
 映画『ジュラシック・パーク』は、すごい迫力でした。なるほど、太古の昔、地球上を我が物顔でのし歩いていた恐竜というのは、こんな生活をしていたのだろうなと思わせるに十分な映像でした。恐竜の皮膚に色がついていたり、恐竜が鳴き声をたてたり、いろんなことが分かってきています。
 1976年に出版された『大恐竜時代』(二見書房)によって、それまで愚鈍、凶暴、巨大というキーワードでしか語られることのなかった恐竜が、それらの先入観が完全に覆された。恐竜大絶滅の原因がメキシコ・ユカタン半島への隕石(天体)衝突によるものだという通説に対して、著者は疑問を投げかけています。
 それだけで恐竜が絶滅したとはとても考えられない。もし、それが原因であったとしても、それは中生代の生態系に最後のとどめを刺した程度のことだ。
 恐竜とは、2億3000万前にうまれ、6500万年前に絶滅してしまった爬虫類の一グループである。ワニと恐竜は、系統的にはごく近い。
 恐竜の学術的な定義・要件は3つある。第1に直立歩行。恐竜は、2足か4足かにかかわらず、体の下にまっすぐ肢を伸ばして立ち、肢を前後方向に動かして歩く。第2が貫通した寛骨臼。第3が直線上の足首の関節。
 恐竜は陸上動物に限られる。クビナガ竜や魚竜は恐竜ではない。前足が翼に変化して空を飛ぶ爬虫類、翼竜も、直立歩行はしないので恐竜ではない。
 ええーっ、そうなんですか・・・。
 博物館や大学で常勤の職を得ている恐竜研究者は、実は全世界に30人ほど。今でも 100人もいるとは考えられない。
 そ、そうなんですか・・・。ちっとも知りませんでした。恐竜学で食っていくことは不可能と言わざるをえないそうです。だから、世間で評判になる恐竜展も、ビジネスにはならないし、難しいというのです。うむむ、そういうことなんですね・・・。
 九州でも、天草に恐竜の化石が出ていましたよね、たしか・・・。
(2007年8月刊。800円+税)

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