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カテゴリー: 宇宙

星宙(ほしぞら)の飛行士

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 油井 亀美也 、 出版  実務教育出版
宇宙飛行士が語る宇宙の絶景と夢。これがサブタイトルです。宇宙飛行士として飛行中に撮った地球と星を見事なカラー写真で紹介してくれる楽しい本です。
親から、家にお金がないので防衛大学校に行ってくれと頼まれて入学。自分に向かないと思ったところで、ひょんなことから戦闘機パイロットとなり、教官もつとめているうちに宇宙飛行士に応募して採用されたという経歴です。
自衛隊時代はソ連を「敵」だとしっかり思い込んでいたのが、ロシアで宇宙飛行士として訓練を受けているうちに誤解は解けていったといいます。
宇宙飛行士に選ばれたときは既に39歳になっていました。それから厳しい訓練を経て、実際に宇宙を飛んだときには40歳でした。そして、今もまた宇宙に飛び出そうとしているそうです。すごいですね・・・。
宇宙は常に快晴。
流れ星は、天から降ってくるのではなく、眼下に広がる大気圏の中を地上に向かって流れていく。
オーロラは、寄せては返す波のようなもの。
オーロラの緑は大気中にある酸素原子、ピンクや紫は窒素原子の色。
オーロラが美しく光るほど、危険のサインとも言える。
エネルギーの塊である太陽を一瞬でも直に見ると失明してしまう。なので、ISS(国際宇宙ステーション)の窓には、太陽からの紫外線をカットするフィルターが貼られている。
快適な船内から防寒対策することなく、大好きな冬の星座を見続けられるというのは、ISSの特典だ。
地上では、惑星は瞬かず、恒星は瞬く。しかし、宇宙では、どちらも瞬かず、鋭い輝きを放つ。なので、両者は見分けにくい。
ISSは、全体としてサッカー場ほどの大きさのある巨大な構造物だ。空気の満たされた10ほどの部屋がある。この部屋を全部あわせると、ジャンボジェット機1.5倍くらいの容積がある。そこに宇宙飛行士6人が生活している。
日本は、ISSで一番大きく静かで機能美にあふれた「きぼう」という部屋をもっている。
宇宙飛行士には、筋力を保つために、1日2時間半の運動が義務づけられている。
夜景の撮影が難しいのは、ISSが秒速8キロで移動しているから。この秒速8キロというのは、拳銃の弾の20倍もの速さ。これは、東京と大阪間を1分で飛ぶという猛スピードだ。
ISSにいるあいだは、どんなに疲れていても、緊急事態に対処できるだけの余力は残しておかなければならない。うむむ、なるほど、そこまで徹底しているのですね・・・。
子どものころの夢を見事にかなえたという話でもあります。すごいですね
(2019年11月刊。1600円+税)

宇宙から帰ってきた日本人

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 稲泉 連 、 出版  文芸春秋
ずいぶん前に、このコーナーでアメリカの宇宙飛行士たちは実際には月面着陸していないという本(いわゆるトンデモ本)を紹介して、叱られたことがあります。トンデモ本を真に受けてしまったわけです。9.11についても陰謀論があるようで、フェイクニュースが横行する世の中ですので、なかなか真実を見抜くのは大変です。
宇宙に飛び出した人類は、今では国際ステーションをつくって長期滞在していますし、日本人も、そのなかで頑張っているのですよね・・・。でも、私は、例のチャレンジャー爆発事故を「目撃」して以来、宇宙旅行なんて、ますます怖いと思うばかりです。
その点、ロシア(旧ソ連)の宇宙船ソユーズ号は大変な安心感があります。
ソユーズは、1957年のスプートニク1号の打ち上げに使われたR-7Aを改良したもの。ソユーズは2000回近くの打ち上げに使用されており、その成功率は97%をこえる。現在も年間10機以上が打ち上げられるほど、信頼性には定評がある。ただし、2018年10月に打ち上げに失敗し、発射直後に緊急着陸するという事故も起こしている。
ソ連時代に爆発事故を起こして公表されなかったという事故もあるようですので、手放しで安全だと評価できないのかもしれませんが、この分野ではアメリカよりソ連時代をふくめてロシアのほうが宇宙船の安全性は確保されているようです。
それにしても、宇宙から地球の公害による汚染がはっきり見えるという指摘には、そんなにひどいのかと驚きました。なにしろ、ベトナム戦争のとき、地上の戦火まで見えたというのですから、宇宙船から地球は驚くほど、よく見えるのですよね・・・。
1990年にソ連の宇宙船ソユーズに乗って日本人として初めて宇宙旅行した秋山豊寛氏は、地球の青さというのは、地球自体は青いのではなく、地球と宇宙との境目の美しさを指していると語っています。
このとき、TBSはソ連に50億円支払ったとのこと。まさにバブル現象でした。1986年にチャレンジャー爆発事故が起きて、毛利衛氏が日本人初の宇宙飛行士になるはずだったのが、順番が入れかわったのです。秋山氏は、ひどい宇宙酔いに悩まされたとのこと。
地球に帰還した直後は、動力酔いに悩まされる。これは筋力が弱ったのではなく、三半規管によるバランス感覚がなくなり、まっすぐ歩けない、ふらふらと千鳥足になってしまう現象が起きる。
宇宙船内では、上下の概念がなくなってしまう。それに慣れた人が、地球に戻ってくると、危ない目にあってしまう。
宇宙船のなかでは、無動状態なので、ニュートンの作用、反作用の法則、つまり押せば押されるという法則を身体で実感・理解できる。
毛利衛氏は、私と同じ団塊世代。1992年にスペースシャトルで宇宙に行った。このときの地球の人口は55億人。2度目は2000年、NASA宇宙飛行士として行ったとき、地球人口は61億人。そして今や77億人。2050年には100億人になると予測されている。はたして、地球は人間をそんなにかかえこめるのか・・・。
(2019年11月刊。1650円+税)

2つの粒子で世界がわかる

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 森 弘之 、 出版  講談社ブルーバックス新書
私の特技の一つは、よく理解できない本であっても、なんとか最後の頁まで読み通し、ところどころ分かることで良しと思い切れることです。この本も、まさにそうでした。まったく理解は出来ないのですが、うすぼんやり分かるところがあり、世の中の仕組みについて考えるきっかけの一つをつかむことができました。
私たち人間の身体も、地球も、本の活字のインクも、素粒子が集まって出来ている。もっとも早く見つかった素粒子は、電子。1897年にイギリスの物理学者ジョゼフ・ジョン・トムソンが発見した。
素粒子には、物質をつくりあげている粒子と、力を伝える粒子の二つがある。
光子には質量がない。運動エネルギーは持っていない。しかし、エネルギーがないわけではなく、別の種類のエネルギーを持っている。光は光子から構成され、光子が多いほど強い光であり、光子のエネルギーは光の波長で決まる。
これは、エインシュタインの立てた仮説。
光は、粒子と波の両方の性質を持っていて、場面に応じてその一方の姿を見せる。これを粒子と波の二重性という。ところが、実は、光だけでなく、あらゆるものが、波と粒子の2つの性質をあわせ持っている。
電子や原子も、波としての姿を隠し持っている。量子力学は、その波としての性質にとくに注目し、波の形や運動について記述した理論。
このように、あらゆる粒子は波でもあり、波は粒子でもある。粒子と思われていた電子は波としての姿も時おり見せ、波と思われていた光も粒子としての性質がある。
世の中のあらゆる粒子は、ボーズ粒子かフェルミ粒子のどちらか。世界の粒子は、この2種類に大別できる。
ボーズとは、インドの物理学者サティエンドラ・ボーズに由来する。
フェルミは、イタリアの物理学者エンリコ・フェルミに由来する。
原子核の大きさは、原子全体の10万分の1ほどでしかない。原子核は原子を図に示したとき、点として表すことができないほど小さい。電子にいたっては、大きさを持つのかどうかもはっきりしていない。つまり、原子は、ほとんどスカスカなのだ。
以上、私が少し分かったかな・・・、と思ったところだけを引用・紹介してみました。
私の身体が、そんなスカスカの原子の寄り集まりだからこそ、ミューオンとかが通過していくのでしょうね。でも、そうすると、私が小さな脳で考えているというのは、どんな現象になるのでしょうか・・・。これも宇宙の神秘の一つですよね。
(2019年5月刊。1000円+税)

地球一やさしい宇宙の話

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 吉田 直紀 、 出版  小学館
久しぶりに宇宙についての本を読みました。たまには、こういう本を読んで気宇壮大な気分に浸るのもいいことですし、必要です。宇宙に関する最新の知見が盛り沢山で、知らなかったことばかりでした。
地球が月に及ぼす力によって、月の内部は現在も温められ続けている。
月の地下には巨大な空洞がある。幅100メートルの空洞が50キロにわたって続いている。これは、かつての火山活動で流れた溶岩がつくった空洞。内部には、氷や水が存在する可能性がある。月は活火山なのかもしれない。
月の誕生には諸説あるが、生まれたばかりの地球に、火星ほどの小天体がぶつかり、地球の一部と小天体の残骸が集まって月が生まれたという説が今は最有力。
月は地球から少しずつ遠ざかっている。毎年、3.8センチという速度で離れていっている。月は潮汐によって地球の自転を遅らせ、自らは地球から離れていっている。
月がいなくなると、月は地球の自転を遅くする働きをしているので、そのタガが外れて地球の自転速度が速まり、1日が8時間になる。すると、月のおかげで安定していた地球の大気は、バランスが崩れて、常に大嵐が吹き荒れる状態になり、生命が存続し続けられるか怪しくなる。
宇宙にも色がある。若いときには青緑色をしていて、年齢を重ねて、138億歳になるとベージュ色になった。
宇宙はいまから138億年前に無から生まれた。宇宙は、広がりのない一点、つまり何もないところから生まれた。
GPSは、相対性理論にもとづいている。物体の速度や重力によって、時間の進み方が変わるという理論にもとづいて、GPS衛星の時計を調整し、位置情報を正しく保っている。
宇宙が始まったころ、まだ星のない「暗黒時代」があった。このころは水素やヘリウムの「ガス」と「ダークマター」が薄く漂い、ビッグバンの名残である「弱い電磁波」が飛び交うだけだった。そして、ガスは一様に広がっていたのではなく、少しだけ濃い部分も薄い部分もあった。濃いガス雲は、やがて薄い円盤をつくり、回転しながらさらに中心に集まる。中心部は高温・高密度になり、やがて赤外線を放出しはじめる。小さな小さな星の赤ちゃん「原始星」が誕生した。この原始星の質量は、太陽の100分の1、中心の温度は1万度をこえ、密度は1立方センチあたり、0.001グラムほど、水と空気の中間くらい。ぷよぷよしている感じ。
太陽質量の100分の1ほどだった原始星は、太陽の20倍ほどの重さになったとき、核融合反応を始めて、太陽の10万倍もの明るさで輝きはじめた。
「ファーストスター」をコンピューター・シュミレーションでつくってみたというのです。すごいです。とても面白い本でした。
(2018年12月刊。1300円+税)

時間と時計の歴史

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 ジェームズ・ジェスパーセンほか 、 出版  原書房
この本の第一版は、今から40年も前の1977年に出版されたそうです。この本は、最新(2018年5月)の内容に改訂されていますので、まったく最新の知識が得られます。
時間って、あるようで、ないようで、とても不思議なものですよね。
時間は使えるし、節約したり、無駄にしたりすることはできるけれど、壊せないし、変えることもできない。
時間はどこにでもあるけれど、空間を占めることはない。
時間は、はかれるけれど、見れないし、触ることも、除くことも、箱に入れることもできない。
誰もが毎日、時間を利用しているけれど、誰も時間とは何かをきちんと定義することができない。
時間は物理量だ。なので、観測でき、機械式時計や電気時計その他の物理現象をつかった時計ではかることができる。
万物は振動するが、一定の率で振動するものは、時間の間隔をはかるための標準として利用できる。
日時計で1日の長さをはかると、2月と11月とでは、15分もちがってしまう。
現存している最古の時計はエジプトでつくられた。日時計も水時計も、エジプト人の手でつくられた。
地球の自転は徐々に遅くなっていて、1日は1000年前よりおよそ16ミリ秒だけ長くなっている。これは、主として月が地球の海に及ぼす摩擦による潮汐作用のためである。6億年前の地球では1日は21時間だった。
うるう年の1972年には、2秒のうるう秒が加えられた。
すべての基本単位のなかで、時間はもっとも正確にはかることのできる量である。これは、すべての基本測定を可能な限り時間測定に近づけるべきだということを意味する。
1メートルの定義は、1983年にパリで開かれた国際度量衡総会は次のように定めた。
1メートルは、光が2億9979万2458分の1秒に進む距離である。
時間って何だろうと思いながら、ついつい最後の頁まで、さっぱり理解できないことが多々あるのを身にしみて自覚しつつ読了しました。
ありがとうございました。
(2018年11月刊。2800円+税)

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