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カテゴリー: 宇宙

賢治と「星」を見る

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者  渡部 潤一 、 出版  NHK出版
 福島県に生まれ、東大東京天文台で働く高名な天文学者(教授)が、宮沢賢治を語った本です。宮沢賢治が天文学を深く研究していたことを初めて知りました。天文学者の眼から見た宮沢賢治という面白い視点で貫かれている本です。
 宮沢賢治の本に登場する数々の星たちや星座に関する記述は、天文学者の目から見ても、かなり正確。賢治の宇宙に関する知識は当時としては、半端なものではなかった。
宮沢賢治は、石集め、植物採集そして化石掘に熱中した。
賢治が中学2年生のとき(1910年)、ハレー彗星が地球に接近してパニックを引き起こした。彗星の尾に含まれる有毒ガスによって地球の生物が全滅するというデマが流布したのです。自転車のチューブがバカ売れしたという話もあります。それで、息継ぎをしてしのぐという馬鹿げた対応策に走った人々がいたのです。
 賢治は、東京で「星座早見」を手に入れている。
 宮沢賢治の物語の基本パターンは、現実から入り、夢のような体験を得て、ふたたび現実に戻るというもの。
細い月のとき、欠けて暗くなっている部分がほのかに輝いて見えることがある。これは、地球にあたって反射した太陽光が月の暗い部分を照らし出しているもの。「地球照」(アースシャイン)と呼ばれる。賢治は、この言葉を自分の詩に取り入れている。
賢治は「鋼青(こうじょう)」という表現を空について使っている。青みを帯びた鋼色(はがねいろ)という意味。夜明け前の夜空が次第に青みを帯びた昼の色に変化していくときの表現。
「銀のきな粉」でお空がまぶされるというのは、満天の星がまたたいている夜空の様子。
夜明け前には、空気が冷えて露が出てくることがある。そんな夜明け前の露に、月も星も隠されてしまう。
「月は、もう青白い露に隠されてしまって、ぼおっと円(まる)く見えるだけ」
シリウスの輝きについて、賢治は、「青や紫や黄や、うつくしくせわしく、またたきながら…」と表現している。たしかに、明るい星が低空で激しくまたたくとき、しばしば色が瞬間的に見えることがある。七色の輝きが消えたり、見えたりして美しい。
世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない。この宮沢賢治の指摘は、今日、ますます輝いているように思われます。
目先の利益だけを追求して原発(原子力発電所)を再開・新設そして、その使用済の核燃料処理場を受け入れようとするなんて、とんでもない間違いです。自分の国を守るには核兵器を持たなければいけないというのは、核戦争を肯定することです。でも、そんな事態で、人類が生き残れるはずもありません。「核の冬」がたちまち到来し、凍結し、餓死してしまうことでしょう。
この本を読んで初めて賢治が石灰工場に技師として勤めた意味が理解できました。要するに、農地の改良、肥料づくりをしようとしたのですね。農民の生活を向上させるためのものです。
オーストラリアの砂漠地帯では、夜、人口光の影響をまったく受けないので、月の光さえなければ、天の川の明るさで、自分の影ができるほどだというのに驚きました。
そして、タイタニック号の沈没(1912年4月)というのを、賢治は同時代の人間として受け止めているのです。
宮沢賢治は1933(昭和8)年9月21日、39歳で亡くなりました。結核、そして急性肺炎によるもののようです。
賢治を通して宇宙のことを知った気分になった本です。
(2023年9月刊。1650円+税)

夜空の星はなぜ見える

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 田中 一 、 出版 北海道大学図書刊行会
 夜空は暗い。満月の夜が明るいといっても本を読むのは辛いし、星だって見える。
 でも、よーく考え直してみたら、夜の空が暗いって、実はあたり前なんかじゃない。だって、星って、無数にあるはず。だったら、満天は無数の星で埋め尽くされて、暗いはずがない。
 でも、反対に、星って地球からは遠い遠いところにあるものそうすると、そんな遠いところの星が発した光が地球まで届くのに何万年もかかったとき、その光が人間の目に一点の光として感じるって、そんなことが本当にできるの…。
 というわけで、夜空の星を私たちが見ることのできるのは、実は奇跡的な出来事のはず。でも、夜になると、星はフツーに空にあって、またたいて見える。いったい、どういうことなの…。
 この本を初めて私が読んだのは、今からなんと49年も前の4月のこと。つまり私が弁護士としてスタートを切った4月、まだ弁護士バッジも受けとっていないときのことでした。
 この本から受けた衝撃は大きく、そのため本棚の片隅に置かれながらも、決して捨てることはありませんでした。いま「終活」と称して、本棚の整理をすすめているのですが、手に取ったとき、もう一度よく読んでみようと思って、人間ドッグの泊まりで読む本の一冊として選んだのです(いつも一泊ドッグで6冊よみます)。
太陽からの光は、大気で反射し、また大気に吸収されて、地上に達するのは、その半分、つまり1平方センチメートルあたり1分間に1カロリー。太陽から放射された光は、500秒で地球に到着する。
 網膜上に集められた光は、網膜を構成する細胞によって吸収される。夜空の星のなかで一番明るく輝いているのは、真冬の南天にある大犬座のシリウス。このシリウスが見えるためには、「理論」上、0.96光年以内に存在しなければならない。しかし、シリウスは実は8.64光年の距離にある。この最も明るいシリウスを見ることができないのだから、夜空のすべての恒星を人類が眼で見ることはできない。
 こんな「理論」的結論は、もちろん明らかに間違っている。そりゃあ、そうですよね。星は夜空でバッチリ輝いていますからね。
 星野村にある天文台の大型の天体望遠鏡をのぞくと、昼でも星が見えます。これには驚きました。最近久しく行っていませんが、ホテルが併設されていますので、泊まりがけで行って、夜空をのぞいてみたいです。
 人間の網膜は、「理論」よりはるかに遠い光の到着を敏感に感じている。1千光年先の星を人間は見ることができる。なぜか…。
 著者は、そこで、次に光とは何かに挑みます。ここになると、かなり難しくなってきます。要するに、光とは粒子であって波でもあるということ。両立しそうにないのに、両立しているという量子力学の世界です。
 網膜に届く光量子が5個から8個になると、光の到着を網膜は感じる。光の粒子性を仮定すると、夜空に輝く星は、千光年に及ぶ遠方のものまでこの眼でたしかに見ることができる。
 そして、光という単一の物質が、波動であって、かつ粒子だというのはとうてい受け入れがたいところだが、光が粒子性と波動性を同時にもちうるなら、夜空の星を人間の眼が感得できることになる。
 光量子数が多いときには、きわめて良い精度で、全エネルギーが定まっていながら、それと同じように、光の位相がほぼ一定の値をとることが許される。通常の光が波動性を顕著に示すゆえんである。
ここはちょっと理解が難しいですね…。それはともかく、次は、なぜ夜の空は全天満天の星で覆われていないのか、なぜ暗いのか…、です。
 結局、これは宇宙が膨張しているからだと私は思います。すべてが光速で膨張していったとしたら、満天が星で覆い尽くされるはずがありません。
 というわけで、私の宇宙に関する謎は深まるばかりなのでした。いかがでしたか…。
(1973年9月刊。840円)

宇宙検閲官仮説

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 真貝 寿明 、 出版 講談社ブルーバックス新書
 宇宙のなりたちに関心のある私ですから、さっぱり理解できないながらも、どこか分かりあえるところがないかと手探りですすみながら、ともかく読みすすめてみました。
 アインシュタインの一般相対性理論は、「質量があると時空が歪(ゆが)み、歪んだ時空が重力の源である」と説明するもの。こんなこと言われても、まるで理解できませんよね…。
 ブラックホールが宇宙に存在するのは確実です。このブラックホールは、一般相対性理論が予言した天体。一般相対性理論の根幹をなすアインシュタイン方程式の解は、ブラックホールの内側に特異点が存在することを示している。特異点は、時空の対称性などの仮定によらず、一般的に存在することが、特異点定理によって数学的に証明されている。
 宇宙検閲官仮説とは、この特異点が発生しても、ブラックホールの中に閉じ込められているから心配しなくてもよいだろうとする仮説。すなわち、ブラックホールなしに「裸の特異点」が出現すると、それは自然界の検閲に引っかかって隠されるはずということ。いやはや、これまた私の理解をこえてしまいます。
 裸の特異点とは…。巨大な星が重力崩壊して、電子の反発力で支えられず(白色矮星となれず)、中性子の反発力で支えられず(中性子星となれず)、さらにつぶれ続けるならば、支えるものがなく、一点に無限大の質量が蓄積する時空特異点が出現する時空になってしまう。でも、時空特異点が生じても、それがブラックホール地平面の内側のことなら、外側の世界には影響が出ない。
 ブラックホールは発生できるが、消滅できない。
 ブラックホールは合体できるが、分裂できない。
皆既日食のとき、太陽の近くに見られる星の位置が通常とは異なるという観測データによって、太陽の質量によって空間が歪み、その歪んだ空間を光が進むため、皆既日食以外のときとは光の進む方向がずれてしまう。
 遠くの銀河にある変光星ほど、赤っぽく見えている。これは、宇宙全体が膨張していることの証拠。つまり、ドップラー効果によるもの。
 分からないながらも、宇宙について考えると、自分の死後、宇宙はどうなるんだろうか…というのが、実にちっぽけな、とるに足らない心配だと、いつのまにか雲散霧消してしまうのです。
(2023年2月刊。1100円+税)

ワンルームから宇宙をのぞく

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 久保 勇貴 、 出版 太田出版
 著者は、どうやら独身のようで、ワンルームマンションで10年も一人暮らし。そして、そのワンルームでやってる仕事は、なんと、広大な宇宙に飛んでいく宇宙探査機をどうやって上手に制御するかを研究すること。ええっ、そんなこと、ワンルームの自分のパソコンで一人で出来るの…、驚いてしまいました。ところが、著者はできると断言しています。
 宇宙機を目的地まで正確に飛ばす方法を考える軌道制御の分野では、宇宙機の運動や制御入力を数学的に方程式化して、その方程式をパソコンで解いて、制御がうまくいくかどうかを確認する。
 自分のパソコンで計算した宇宙機の軌道を初めて見たら、自分の目で宇宙の真理をのぞいたような感覚になるだろう…。いやはや、そんなことが宇宙航学研究所ではなく、ワンルームにある自分のパソコンで可能な世の中なんですね…。
 宇宙機の制御というのは、高校の物理で習う方程式でも、そこそこ太刀打ちできてしまうものなんだそうです。ええっ、えっ、ホ、ホントなんですか…。ウソでしょう。
 著者の研究は、多くの場合、パソコンひとつで完結してしまう。ワンルームの白いデスクにA4サイズのノートパソコンを広げ、ひとり黙々と研究する。うひゃあ、なんだかイメージが狂ってきましたよ…。
 著者は福岡生まれの兵庫県育ち。東大の航空宇宙工学科に入った。宇宙飛行士になるのを夢見て…。ところが、現実には足切り不合格。試験も受けられなかった。いやはや、すごい試験なんですよね。
 宇宙工学は、人間を乗せた宇宙船を正確に月にたどり着かせたり、3億キロメートルも彼方(かなた)の小惑星に60センチメートルという精度で探査機を着陸させる。
 宇宙機の設計での絶対的なルールは、とにかく制限重量を守ること。決められた重量の中で各システムのバランスを絶妙に調整し、ちょうどうまいこと全体のシステムを成り立たせて初めて宇宙機はミッションを遂行できる。
 宇宙空間は熱や放射線で機器が壊れやすく、しかもいちど壊れたら基本的に修理に行けない。そんな厳しい世界で、いかに巧妙に重量リソースを配分して、ミッションの成功率を高めていく。実際には、現実的な安全策を優先したり、機能を切り捨てたりという決断の繰り返しだ。JAXAで働きながら、なんと週1回はボクシングジムに通っているというのです。
 著者の書いていたブログが本になったものだそうです。書くのが好きというのも、いいことですよね。まあ、私も書くのが命ですけど…。
(2023年3月刊。1800円+税)

地球を掘りすすむと何があるか

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 廣瀬 敬 、 出版 KAWADE夢新書
 地球の地下を実際に掘ったときの最深は12キロ。わずかとしか言いようがありません。だって地球の半径は6400キロもあるのですから、1%にもなりません。
 そして、地球の内部の核、マントルは赤くなければ、ドロドロでもない。
 地球を12キロ以上に掘りすすめないのは、高温になるため。1キロメートル堀りすすむごとに30度上がっていく。ドリルの先端に取りつけたダイヤモンドは、実は熱に弱い。ダイヤモンドを使わない別の方法を考える必要がある。
 ダイヤモンドは、深さ150キロよりも深いところでしか出来ない。ダイヤモンドが出来るには、それだけ高い圧力が必要になる。
 地球の表面は十数枚のプレートで覆われている。プレートとは、堅い板のこと。大陸プレートと海洋プレートの二つがあり、それぞれが別の方向に異なるスピードで動いている。大陸プレートの移動速度は、海洋プレートよりも遅く、年間数センチほど。たとえば大西洋は少しずつ拡大している。毎年2~3センチほど。ヨーロッパとアメリカは遠ざかっている。
 大陸が分裂したのが2億5000万年前。大西洋は、今も拡大中。
 プレートを動かしているのは、自らの重さで沈み込む力。この力でマントルからマグマを引き出している。海があるからプレートが冷やされ、重くなり、沈み込んでいくという循環が生まれる。
 マントルは岩石でできていて、コアは鉄を主体とする金属でできている。
 地球の表面の7割が海に覆われているが、海の深さは平均3キロほど。すると、表面にわずかに水がはりついている程度で、全質量の0.02%にすぎない。地球の1000分の1の隕石ひとつで、海の全水量と同じだけの水がもたらされる。現在の海の全水量を1海水とすると、太陽系の初期に降り注ぐ隕石によって100海水以上の水がもたらされたとしても、不思議ではない。
 コアは地球磁場をつくっている。磁場がなければ、地上にすんでいる生物は、有害な太陽風や宇宙線にさらされてしまう。
 地球に磁場がなければ、海がなかったかもしれない。海だけでなく、大気もなくなっていたかもしれない。
 火星には昔は海が存在した。火星の海がなくなったのは38億年前のこと。火星ができてから7億年後に海は焼失してしまった。磁場がなくなったからだと考えられている。
 磁場が消滅すると、太陽風の影響を受けて大気が剥ぎとられ、海が消滅した。
 この本では、火星はなぜ小さいのか、月はどうして生まれたのか、まだ完全に解明されていないことが示されています。そして、地球のマグネシウムが多い理由も説明が尽くされていないとのこと。世の中は、まだまだ謎だらけなのですね。そのことが分かっただけでも本書を読んだ甲斐があります。
(2022年7月刊。税込990円)

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