法律相談センター検索 弁護士検索
カテゴリー: 宇宙

月のかぐや

カテゴリー:宇宙

著者:JAXA、出版社:新潮社
 いやはや、すごい月の素顔です。これらの写真を見ないと損をしますよ。
 2009年6月、使命を果たして落下した月周回衛星「かぐや」。そこに搭載されていた各種のカメラが撮影した月の写真集です。
直径84キロメーターのクレーター(ティコ)の写真があります。すごいのは、上から見た写真だけでなく、横から見た写真まであることです。このクレーターは、今から1億年前に隕石が月面に衝突して出来たものです。ところが、表面はまるで新しいのです。地球のような大気がないからなのでした。
 「かぐや」は、1000万点以上のデータによる月の詳細地図をつくった。「かぐや」と地球をつなぐためリレー衛星「おきな」も活躍した。
 月世界は、昼と夜が2週間ずつ続く。赤道付近で昼はプラス120度。夜はマイナス  200度。苛酷な温度環境である。
 「かぐや」は月を周回しているため、少しでも重力(物質の引力)が異なる月面上空を通ると、高さが変動する。逆に、ふらつくと、その地点の重力が平均値よりも強いのか弱いのかが、はっきりしてくる。この場所ごとの重力の違いを「重力異常」と呼ぶ。
 月世界についてのたくさんの貴重な写真があって、ちっとばかり月を知った気になりました。やっぱりウサギが住むのは無理なのかな・・・。
(2009年12月刊。1300円+税)

宇宙で過ごした137日

カテゴリー:宇宙

著者 若田 光一、 出版 朝日新聞出版
 九大出身の若田光一さん(46歳)は、2009年3月15日から7月31日までの137日間、国際宇宙ステーションに滞在しました。そのときの日記が公開された本です。
 宇宙には空気がなく、陽が当たるところは120度、陰に入ると零下150度。大変な温度差がある。
 日本人初の宇宙飛行に成功したのは、1990年にTBSの記者だった秋山豊寛さん。その後、毛利衛さんなど、計6人の日本人宇宙飛行士が宇宙に飛び立っている。
 宇宙ステーションには、今回初めて日本実験棟「きぼう」が付属し、若田さんはそこで実験を始めた。今回の宇宙滞在には、宇宙ラーメンも持ち込まれた。かなりとろみのあるスープで、濃いめの味付けだ。スプーンですくって食べるといいますから、私たちの食べる普通のラーメンとは違うようです。
 電話ボックスくらいの個室に入って寝る。無重力では身体に無理な力が働かないので、寝がえりや寝違えもなく、快適に眠れる。宇宙酔いに悩まされることもなく運動し、食事もしっかり取ることができた。宇宙では体液が上半身に偏るため、とくに滞在初期には鼻詰まりが起きやすい。
 宇宙ステーションに滞在中の飛行中が一日に使える水は3.5リットル。衣類は洗濯できない。宇宙普段着は蛍光灯でも反応する光触媒をつかって消臭力を高める仕掛けだ。
 おしっこ(尿)を飲み水に変える水リサイクル装置が実用化された。出てくる水は、無色透明で蒸留水と言う感じ。これはNASAが150億円もかけて開発した。トイレから出る尿を集めて、加熱したり、ぐるぐる高速で回して遠心力で分離したりして、飲料水に再生する。
 3カ月に一度だけ、プログレス補給船によって新鮮な食べ物が運ばれてくる。若田さんは、新鮮なリンゴを食べることができた。
 日本の「きぼう」は、開発と製造に7600億円かかった。
 長期滞在する飛行士は、1日2時間の運動が作業予定表に組み込まれている。これを毎日欠かさなくても、一ケ月のうちに下半身は最大2.5%も骨密度が下がる。骨折しやすくなるだけでなく、体内のカルシウムの摂取と輩出のバランスが崩れ、骨から溶けだしたカルシウムが尿に混ざって、尿路結石を引き起こすリスクも高まる。
 宇宙ステーション内の写真がふんだんにあって、ビジュアルに宇宙飛行士の活動の分かる楽しい本です。といっても、高所恐怖症に近い私は、宇宙に飛び出す勇気はありません。本を読むだけでガマンしておきます。
 
(2009年11月刊。1300円+税)

時間はなぜ取り戻せないのか

カテゴリー:宇宙

著者 橋元 淳一郎、 出版 PHPサイエンスワールド新書
 実は大変難しい内容で、私なんかとてもとても理解したとは言えません。でも、難解なことに挑戦するのも刺激があって、迫りくるボケの防止に役にいくらかは立つのではないかしらん。そう思って読みなおしてみました。
著者は私と同じ団塊世代です。京大の理学部物理学科の卒業ですから、話が難しいのも当然です。まあ読んでみてくださいな。
重力は感じる力ではなく、見える力なのである。私たちの生身の身体は、決して重力を感じることはできない。
 万有引力とて遠隔力ではなく、光速で伝わる場の振動が重力や電磁気力の正体である。
 色は物理的実在ではない。物理的に存在するのは、さまざまな波長の電磁波だけである。可視領域にある電磁波が網膜細胞に電位を生じさせそれが脳を処理する結果、私たちは色を認識する。赤外線や紫外線など可視領域以外の電磁波は私たちの網膜細胞に電位を生じさせない。その結果、赤外線や紫外線が目に入っても私たちは色を見ない。
 わたしたちは物体に色がついているものと見ていますが、実は、その色は実体がないのですね。ホント、不思議なことですよね。モノに色がないなんて……。
 モンシロチョウの網膜は、可視領域より少し波長の短い紫外線に対して反応する。それゆえ、モンシロチョウのオスはメスの羽に紫外線の色を見る。
 電磁波は、空間を伝播する波動であり、原子は狭い一点に存在する粒子である。本当にそういうものが実在するかと言うと、現在物理学はノーと見ている。唯一、確実に言えることは、観測装置との相互作用の結果、電磁波や原子のようにみえる「何か」が存在するだけである。
 光合成は1万近い化学反応の組み合わせであり、それらの化学反応のすべてが解明されたら、人工的な光合成システムが作られるかもしれない。生命が進化の過程で生み出した驚くべき能力の一つである。
相対論では、物体が速く動けば動くほど、空間はますます縮まり、時間はますます遅れる。もし物体が光と同じ秒速30万メートルで動くと、ありそうにないことが起こる。そのような物体に乗った人から見た空間は、完全にぺしゃんこであり、宇宙の果てまでの距離がゼロとなる。また、時間もまったく止まってしまう。このとき物体の質量は無限大となる。質量無限大の物体などありえないから、物体は光速と同じ秒速30万キロメートルにまで加速することは原理的に不可能なわけである。
 光は物質と違い、秒速30万キロメートルで飛ぶにもかかわらず、質量はない。これは光の特異な性質である。光の立場からみる宇宙はぺしゃんこ、時間は止まったまま、そんな奇妙な世界、時空が縮退した状態である。
 私たちは現在見ている外界の光景を現在の光景だと思っているが、それはすべて過去の光景である。1メートル眼前の恋人の姿は10億分の1秒前の恋人の姿であり、大空を飛ぶ飛行機は10万分の1秒前の飛行機であり、眩しい太陽は8分前の太陽であり、望遠鏡にかすかに浮かぶアンドロメダ銀河の姿は230万年昔の姿である。それらが1本の光の世界線として現在の「私」に届いている。現在の「私」が目にしている光景は、このように、すべて過去である。
 生命は空間的にはシステムであり、時間的には主体的意思である。時間は内観であり、空間として姿を現さない。
生命は秩序であるが、それは無秩序と常に戦う、もろい秩序である。このもろさが主体的意思を生む。なぜなら、もろいがゆえにもろさを補って、秩序を確実なものにするために、生きる意思が必要になるからである。
 みなさん、理解できましたでしょうか?私は理解できないながらも分かった気になったというより、大事なことが解明されつつあるんだなという気になりました。いかがでしょうか……?
 
(2010年1月刊。800円+税)

ALMA電波望遠鏡

カテゴリー:宇宙

著者 石黒 正人、 出版 ちくまプリマー新書
 波というのは、振動を伝える水そのものが移動していくのではなくて、媒体の上に乗っかっている振動だけが移動していく現象である。
 電磁波の場合は、空気のような媒体がなくてもそれが伝わる。電場と磁場の振動、つまり電場が振動すると磁場を誘導し、磁場が振動すると電場を誘導し、ということを交互にくりかえすことによって、宇宙の何もないほとんど真空の状態でも、電磁波が遠くまで伝わる。
 可視光線も電磁波の一種である。可視光線は、波長のうんと短い電磁波である。
 サブミリ波、ミリ波の宇宙からの電波は、大気中の水蒸気に吸収されてしまう。だから、空気の薄い標高5000メートルの高地、しかも高地でありながら平らで、10キロメートル四方以上の広さにパラボラアンテナが展開できるアタカマ高地(チリ)を選んだ。
 温度のあるものは、すべてから電波(電磁波)が出ている。人間の身体からも、36度あるので、それに相当する電波が出ている。
 新書版ではありますが、カラー写真によって宇宙のさまざまな姿が紹介されています。なかでも有名な馬頭星雲の形には驚かされます。まさしく、そこに馬の頭の恰好の星のかたまりがあるのです。
 私たちの生活する銀河系が2億5000万年で1回転するなんていうことを知ると、気が遠くなってしまいます。人間は、たかだか100歳までしか生きられないのです。万年はおろか、2億5千万年前だなんて、さっぱりイメージすることもできません。
 そうはいっても、たまにこんな本に出会い、紹介される宇宙の写真を眺めていると、時の経つのを忘れてしまいます。といっても、確実に年齢(とし)はとっていて、身体の老化現象は隠せないのですが……。
 
(2009年7月刊。950円+税)

ハッブル望遠鏡で見る宇宙の驚異

カテゴリー:宇宙

著者 ビバマンボ・小野夏子、 出版 講談社ブルーバックス新書
 毎年、夏の終わりには、寝る前、2階のベランダに出て望遠鏡で月面を観察することにしています。ところが、今年は例年になく、月面を観察することができませんでした。
 天候不順だったとしか言いようがありません。それでも、望遠鏡から覗く月世界は、いつものように「平和の海」をゆくりなく、さらけ出して見せてくれました。寝る前に心の落ち着くひとときです。
 ハッブル望遠鏡で宇宙をのぞいたら、どんな世界が見えるのか楽しみですよね。この本は、見事なカラー写真で、宇宙の果てまでの素晴らしさを味わわせてくれます。
 ハッブル望遠鏡は地上にはない。それは、スペースシャトル・ディスカバリー号で宇宙に打ち上げられた、口径2.4メートルの望遠鏡である。
 地上から天体観測すると、大気の揺らぎの影響が避けられない。それは、川底から空を眺めるようなもの。ところが宇宙へ飛び出したハッブル宇宙望遠鏡は、大気の揺らぎから解放された、初めての望遠鏡である。
 ともかく素晴らしいのです。カラー写真で、この宇宙のさまざまな銀河、星団そして大小さまざまな星がとらえられています。ちっぽけな自分という存在を、しばし忘れさせてくれるのがこの宇宙の星々です。すごいですよね。だって、120~130億光年のかなたの光をとらえたとか言うんです。これって、宇宙の創世記のころの話です。
宇宙に始まりはあるのか、また、終末はあるのか……。考えさせられます。無から有が生じたのか。それとも、ふくらんだりしぼんだりして際限のない世界のなかで生命は翻弄されているのか。いやあ、知りたいものです。
 人間の一生はせいぜい100年。ところが、万年単位ではなく、億年単位で物事を考えようとする人がいるのです。いやはや、無限の宇宙には脱帽です。
 
(2009年7月刊。1429円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.