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カテゴリー: 宇宙

光とは何か

カテゴリー:宇宙

著者  江馬 一弘 、 出版  宝島社新書
 真空の空間では、目の前を通り過ぎる光線が見えることはない。目の前の宇宙空間は真っ暗にしか見えず、そこを光が通過していることには気がつかない。
 なぜなら、宇宙空間は、ほぼ真空であり、光を散乱されるものがほとんどないから。
光は、ほかの物質と出会うことで、初めて何かが始まる。
 光の正体は、空間を伝わる電気的な波である。
 光の三原則とは、光の直進、反射、屈折に関する法則のこと。光は、障害物にぶつからない限り、まっすぐに進む。
 光が2億9979万2458分の1秒間に進む距離が1メートルである。
 分子や原子などのミクロのレベルで考えると、鏡に反射したあとの光は、鏡に反射する前の光とは、厳密には「別のもの」。鏡にあたった光は、「そのまま」鏡を通過する。それとは別に別に、鏡に光が当たることで、鏡の中の分子や原子が振動して、光を放つ。その光が「反射光」として、人間の目に見えている。
 光が屈折するのは、光の速度が変化するため。光は透明な物体の中を進むとき、その速度は物体の種類によって変化する。それが光の屈折を生む。
 ダイヤモンドの中での光速は、真空中の4割ほどにまで減速する。
 宝石となる物質のほとんどは、屈折率が高い。
 光の色ごとに屈折の度合いが違うのは、プリズム中での光の速度が、色ごとにわずかだけど異なるため。
 赤色の光は原則の程度がやや小さいので、屈折する角度も小さい。
 紫色の光の速度の程度がやや大きいので、屈折する角度が大きい。昼間の空が青く見えるのは、空気中の分子が赤色の光よりも青色の光の方が強く散乱することが原因。
 海が青く見えるのは、散乱の効果よりも、水が青色の光を吸収する効果の影響が大きいから。ニュートンは、「光線に色はない」と言った。
 色とは、この世界に実在するものではなく、光の波長の違いを胸が「色」というイメージで認識しているだけ。つまり、色を実際に「見ている」のは脳であり、色という感覚をつくり出しているのは心である。
物質のなかで電子が振動すると、光(を含めた電磁波)が生まれる。
 電子が振動すると、振動する電場が生まれて、それが波のように空間を伝わっていく。それが光(を含めた電磁波)である。
 じつは、光は波ではない。光の正体は粒である。
 結局、光は波としての性質と、粒としての性質をあわせ持つ、不思議な存在なのである。
 フシギ、不思議、変テコリンな存在である光について、少しばかり頭を悩ませてみました。面白いですよね、こんな話って・・・。
(2014年7月刊。900円+税)

宇宙の果てはどうなっているのか?

カテゴリー:宇宙

著者  大内 正己 、 出版  宝島社
 たまには気宇壮大に、宇宙を眺めたいものです。今夜は、満月がこうこうと輝いています。
 頭上高く見る月と、ビルの屋上すれすれの月とでは、同じ大きさのはずなのに、まるで大きさが違います。目の錯覚だというのです。月の大きさにも大小があるとしか思えません。
 天文学者は大変ですね。昼間も仕事はしているのでしょうが、観測するのは、基本的に夜でしょう。みんなが寝静まっているときに、ひたすら目をこらして天文の動きを観測するなんて、ぞっとします。夜は、やはりぬくぬくと布団に入って、ぐっすり眠りこけたいものですよね。
 宇宙の歴史は138億年。ビッグバンによって宇宙が始まってから8億年たったころ、つまり宇宙の初期時代にある天体(銀河)を発見した。これをヒミコと名づけた。この銀河は、同時代のものに比べて10倍以上の大きさがあり、明るさも10倍あった。古代の宇宙にこれほど巨大でまぶしい銀河は、これまでこのヒミコ以外に見つかっていない。
 すごい話です。宇宙の始まりから8億年たっても、まだ、宇宙の初期だというのです。日頃の私たちの時間の流れからは、想像も出来ないスケールです。
 原子が生まれたのは宇宙の誕生から38億年後のこと。それまでは、まだまだ宇宙が熱すぎて、原子核と電子が結合できなかった。このころ、温度が3000度にまで下がってきたので、原子核と電子が結合して、水素原子とヘリウム原子が生まれた。電子が原子核と結合したことで、光を邪魔するものがなくなり、光は直進できるようになった。これを宇宙の晴れ上がりと呼ぶ。
 宇宙の中で、人間の知っている物質はわずか5%しかなく、残りの95%はよく分からないもので出来ている。
 古代マヤ文明は天体をよく観測していた。マヤ人が観測をもとに計算した1年は365.2420日だった。現在の観測によると、1年は365.2422日であるから、マヤ人の観測の精度はきわめて高かった。
 ヒミコは、3つの銀河が横一直線にきれいに並んでいる。どうしてなのか・・・。
 宇宙には、まだまだ、たくさんの解明すべき不思議があるのです。
 毎日のちまちましたことを忘れさせる書物でした。
(2014年9月刊。1300円+税)

宇宙のはじまりの星はどこにあるのか

カテゴリー:宇宙

著者  谷口 義明 、 出版  メディアファクトリー新書
人間の身体を形づくっている炭素やカルシウムといった原子は、もともと宇宙には存在しなかった。これらの原子ができるきっかけになったのは、「星の誕生」である。
 ガモフのアイデアは、「そんな考え方は、大ボラだ」と非難された。ビッグバンは、大爆発とともに、「大ボラ」を意味している。しかし、今では、このビッグバンこそ宇宙論の標準モデルとみなされている。
すばる望遠鏡は、世界で唯一、遠方かつ広範囲を観測できる「広視野カメラ」を搭載した大型望遠鏡だ。
 2006年には、日本の観測チームが望遠鏡を使って128.8億光年の遠方にある銀河の姿をとらえた。
すばるのカメラは、従来より大幅に軽量化している。カメラは材質からすべて見直し、口径が大きくなるほど困難になるレンズの加工にも手が加えられている。
 すばる望遠鏡の建設費は400億円かかった。私は、軍事予算に膨大なお金をかけるよりも、宇宙観測、そして、新薬開発にお金をかけるべきだと考えています。
 光が見える現象は、光子(フォトン)を目が拾っているから。ある物体から光が発せられると、その光の強度は距離の2乗に比例して弱くなってしまう。
 20年前まで、人類は100億光年以上も離れた銀河を観測することは出来なかった。しかし、今では、スバル望遠鏡をつかったら、肉眼で見える天体の1億分の1の明るさしかない天体まで見ることができる。
 宇宙が誕生したのは137億年前。そのため宇宙の大きさは137億光年だと思っている人が多いが、実際には宇宙が膨張しているため、もっと大きくなっており、直径にして940億光年もある。単純平均で光速の3.4倍で宇宙が膨張している。ええーっ、光速の3.4倍で宇宙が膨張しているなんて、どういうことなのでしょうか。光より早いものはないと言った(と思う)アインシュタインの言葉はどこに行ったのでしょうか・・・。
 1000億年後。そのまま膨張が加速を続けていけば、宇宙の膨張速度は光速をこえてしまう。これの意味するところは、星がいくら光を放っても、空間の膨張速度のほうが速くなってしまうため、遠ざかる星が放つ光は地球まで届かなくなるということ。つまり、宇宙のはじまりの星など、絶対に発見できなくなってしまう。
 天の川銀河には、全部で2000億個もの星(恒星)が存在している。そして、天の川は宇宙のなかに無数にある銀河の一つにすぎない。現在、宇宙にある銀河は、1000億個にのぼるとみられている。
 天の川銀河は、お隣のアンドロメダ銀河に除々に近づいている。この二つの銀河は50億年後には合体して、一つの銀河になる。二つの銀河の合体といっても、星同士の衝突は、まず起こらない。
天の川とアンドロメダが合体したとき、星同士が衝突する確率は、太平洋にスイカをランダムに2個落として、これらのスイカ同士がぶつかるほどの確率だ。
 なーるほど、このたとえはよく分かりますよね。それなら心配することなんかないやと思ってしまいます。
 ともかく宇宙の本を読むと、50億年後の衝突なんてスケールの話なのです。あと50年も生きていられるはずがない身として、50年ではなく50億年後だなんて、いったい何の話をしているのか、笑ってしまいます。たまには、そんなスケールで考えてみるのも、決して悪いことではありません。
(2013年4月刊。840円+税)

絵でわかる宇宙開発の技術

カテゴリー:宇宙

著者  藤井 孝蔵・並木 道義 、 出版  講談社
 ロケットがどうやって地球をとび出し、宇宙をとんでいくのか、そして、それをなぜ人間が制御できるのか、不思議でなりません。その不思議を少しでも解明するため、絵があるなら少しは分かると期待して読みはじめたのでした。
 結論からいうと、イメージは少しふくらみましたが、いやはや難しい。まだまだ分からないことだらけです。
 ロケットはなんといっても軽くつくらなければいけない。そのため、ミツバチの巣にあるような、ハニカムサンドイッチ構造をしている。
 ロケットの材料として複合材がつかわれ東レなどの日本の素材メーカーが貢献している。
 ロケットエンジンの燃焼室は4000度にもなる。この高温に耐えられるエンジンを設計しなければいけない。そのため冷却に工夫がこらされている。
 ロケット研究のなかで新幹線に役立つことがあったことが紹介されています。
 日本の新幹線にはトンネルが大変多い。超音速で狭くて長いトンネルは、豆鉄砲波と同じトンネル微気圧波をもたらし、被害を発生させる。そこで、今の新幹線の先頭車両は、くちばし型のとても長い流線型になっている。
ロケットの打ち上げは出来るだけ赤道に近い場所が選ばれている。地球の公転速度は赤道で時速1700キロメートル。つまり、地球は音よりも早く自転している。この地球の自転による表面速度を利用するため、ロケットは少しでも赤道に近い場所から打ち上げられている。
 でも、日頃、そんなに早く大地がまわっている(動いている)なんて、実感しませんよね。
今、人工衛星は3500機以上も宇宙を飛んでいる。ロシア1450機、アメリカ1113機。その次、3番目が日本の134機。中国133機なので、近く、日本は追い越されてしまう。
人工衛星が初めて飛んだのが1957年。ソ連のスプートニク1号。初めて人類が宇宙に出たのが1961年のガガーリン(ソ連)。「地球は青かった」という名セリフはよく知られている。
 宇宙に向かうロケットの信頼性は90~95%程度。10回から20回に1回は失敗する可能性がある。
 まだまだ、宇宙は遠い気がします。それにしても、アメリカは、戦争にばかりお金をつぎ込んで、宇宙開発を断念してしまっているのが、私としては残念です。
(2013年10月刊。2200円+税)

宇宙が始まる前には何があったのか?

カテゴリー:宇宙

著者  ローレンス・クラウス 、 出版  文芸春秋
 何もないところから何かが生じることはない。しかし、この常識は宇宙では通用しない。重力と量子力学のダイナミクスを考慮すると、常識はくつがえってしまう。それこそが科学の素晴らしいところ。私たちが目にするものすべてを、空っぽの空間から作り出すことが可能なのだ。
 この本で語られていることは、何年、何十年、何百年というものではなく、2兆年とか、まさしく気が遠くなりすぎるほどの次元の話です。もちろん、地球はおろか太陽だって50億年という寿命がとっくに尽きてしまっている先の話です。
 まあ、たまには、そんな雄大な宇宙の話に耳を傾け、目を見開いてもいいのではありませんか・・・。
私たちの身体を構成している原子のほとんどすべては、かつて爆発した星の内部に存在していたもの。私たちは、みな、文字どおり、星の子どもたちなのだ。私たちの身体は星屑(ほしくず)で出来ている。
光速より早く動くものはない。これが私たちの常識。しかし・・・。
 量子力学によれば、高い精度で粒子の運動速度を測定することができないほど短い時間ならば、その粒子は光よりも早い速度で動いてもかまわないということが示唆される。そして、もしも光より速い速度で動いているとしたら、アインシュタインによれば、その粒子は時間を逆行しているように振る舞うはずなのだ。
 なんということでしょうか。光速より早いと言うことは、時間を逆行することになるだなんて・・・。
アインシュタインが一般相対性理論を提唱したのは、わずか100年前のこと。そのころ、宇宙は永遠不変というのが世の中の常識だった。
 現代は、宇宙は膨張していることを知り、暗黒物質が宇宙にあることを知っている。空っぽのように見える空間エネルギーが含まれていて、それが宇宙の膨張を支配している。
 観測可能な宇宙は、これからどんどん光速より大きな速度で膨脹していく。つまり、未来になればなるほど、見えるものは減っていく。いま見えている銀河は、未来のある時点で、私たちからの後退速度が光速をこえ、それ以降は見えなくなる。その銀河は、地平線の彼方に消えてしまうのだ。
 これから、2兆年たつと、一部の銀河を除いて、すべての天体が文字どおり姿を消してしまう。つまり、今日、私たちの観測可能な宇宙にちりばめられている4000億の銀河は、すべて姿を消している。
 私たちの太陽は銀河系の辺境にある平凡な星の一つにすぎない。そして、銀河系は観測可能な宇宙にちりばめられている4000億個もの銀河の一つにすぎない。
 宇宙では、きわめて高い信頼度で、無から何かが生じることはありうる。
 空っぽの空間にもエネルギーが存在することが発見された。つまり、実は、空っぽの空間というのも複雑なものだった。適切な条件の下では、何もないところから何かが生じることは可能であるばかりか、必然だということ。
 高温・高密度のビッグバンの時期には、もともと物質と反物質とが同じだけ存在していたのだが、ある量子的なプロセスにより、物質の法が反物質よりもわずかに多くなるという小さな非対称性が生じた。そのおかげで、何もないところから、何かが生じた。それが、今日の宇宙にみられる星や銀河になっていた。
この本を読んで理解できたなんて思っていませんが、宇宙の始まる前には何があったのか、宇宙に終わりがあるのかという問いかけに対する答えの一つだと思い、最後まで興味深く読みとおしました。
(2014年2月刊。1600円+税)

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