法律相談センター検索 弁護士検索
カテゴリー: 宇宙

人はなぜ星を見上げるのか

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 髙橋真理 、 出版  新日本出版社
最近はあまり行っていませんが、プラネタリウムは私の好きな場所です。広大な宇宙にいること、ちっぽけな存在であることを実感させてくれる貴重なひとときがそこにあるからです。
そのプラネタリウムや星・宇宙というのを20年も仕事のパートナーとしている女性が書いたロマンあふれる本です。うらやましいですよね、高校生のころの夢を実現できるっていうことは・・・。
北海道大学に入ったときには、オーロラ研究をすると意気込んでいたとのこと。でも、北大はオーロラの研究はしていなかったのでした・・・。そして、アラスカにいる星野道夫に会いに大学2年生のときアラスカへ飛び、ついに蛇のように激しく上空を舞う緑色のオーロラに出会いました。
 私の身近にもアラスカまでオーロラの写真を撮りにいってきた人がいますし、これから行きたいところとしてオーロラをあげている知人もいます。私自身はマイナス40度の寒さに耐えられそうもありませんので、写真で我慢します。
 そして、著者はオーロラの研究ではなく、ミュージアムをつくることを思いたったのでした。それからの行動力がすばらしいのです。好きなことをやって生きていこうという敢闘精神にあふれています。私も、こうやって本を読んで、本を書き、好きなことばかりをして生きています。
 プラネタリウムで星などを見た子どもたちの疑問が面白いのです。はっとさせられる内容です。太陽は沈んだあと、どこに行くのか・・・。地球がまわっているというのになぜ私は落っこちもせず、立っていられるのか・・・。きわめつけは、星は、何のためにあるのか・・・。これって、自分は何のために存在しているのかに通じる疑問ですよね。
小学4年生のとき質問を書いて送ってきた女の子に答えていると、その後も今日まで交流が続いているというのです。すごいことです。
 では、時間はどうか・・・。時間というのは、不思議な存在である。えっ、時間は存在するもの、なのでしょうか。過去というのは、いったいどこへ行ってしまうものか。過去は、どこかへ行ってしまうものなんですか・・・。時間は、無限の過去から無限の未来に向かって一直線に伸びていくものなのか。
プラネタリウムにうつしだされた星空を見て、ある人が天国っていうのは、あそこにあるのかねえ、とつぶやいた。
「きっとそうですよね、たぶん、すごく美しいところだと思います」と答えた。すると、その人は、「そうだよなあ、みんな行ったきり帰ってこねえもんな。いいところなんだよな」と、小さい声で言った。
 そうなんですね。夜の星空の向こうにこそ天国があるんでしょうね。
 宇宙のことを考えていると、その年齢が138億年とか聞かされると、わずか100年も生きていない人間のちっぽけさを感じずにはおれません。
 プラネタリウムに、また行きたいなと思いました。
 
(2016年8月刊。1800円+税)

ニュートリノで探る宇宙と素粒子

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者  梶田 隆幸 、 出版  平月社
 よくは理解できないながら、宇宙の成り立ちが少しでもつかめたらという思いで読みすすめてみました。
 ニュートリノは、電子と同じく素粒子の仲間。ニュートリノは、電子から電荷と重さをはぎとったようなもの。ニュートリノの大きさは分かっていない。
 私たちは、ニュートリノを触ったり、目で見たりして直接感じることはできない。
 しかし、ニュートリノがなければ私たち人類は存在できない。なぜか・・・。地球上の生物は、すべて太陽の光と熱によって生かされている。もしも太陽がなかったら、地球表面の温度は太陽系のいちばん外側にある冥王星よりも下がり、生物はまず生きていかれない。
 大要のエネルギーは、核融合反応によってつくられている。太陽中心の水素原子核が4個くっついてヘリウム原子核になるときに、膨大なエネルギーを放出する。もし、ニュートリノがなかったら、この反応はおこらない。最初の核融合反応が点火しないから・・・。
 ニュートリノがないと、太陽だって光り輝くことができないというのです。なんだか、ニュートリノを身近に感じることができました。
ニュートリノは観測するのが、とてもむずかしい。なにかにぶつかっても、曲がったりせず、地球すら貫通して飛んでいってしまう。
 太陽からやってくるニュートリノ1個を物質と反応させるには、地球を100億個ほどタテに並べてニュートリノを通す必要がある。そのくらい大量の物質があってはじめて、反応が起こる。逆に言うと、1個の地球を100億個のニュートリノが通り抜ければ、そのうちの1個がたまたま地球の内部のどこかで反応することになる。
 ニュートリノは、雨あられと地球に降りそそいでいて、太陽から地上にやってくるものだけでも、1平方センチメートルあたり毎秒660億個もある。
 こんなにすさまじい量のニュートリノって、一体どこへ行くのでしょうか・・・。
 スーパーカミオカンデは、直径40メートル、高さ40メートルの水槽を5万トンの水で満たしている。
 ニュートリノが一番たくさんつくられたのは、宇宙の始まり、つまり「ビッグバン」のとき。宇宙は始まって以来、ニュートリノに隅々まで満たされている。
 ニュートリノは、宇宙で一番たくさんある、もっともありふれた粒子である。
 ニュートリノは、電気的に中性で、物質とほとんど反応しない。ニュートリノは、物質と相互作用する力が弱い。弱い力とは、陽子の大きさの1000分の1くらいの距離にしか力が及ばない。
大気ニュートリノは、人間の身体にあらゆる方向から入射し、ほとんどそのまま空き抜けていく。
ニュートリノに質量があることは、現在では素粒子物理学の定理となっている。
 岐阜の山中にあるスーパーカミオカンデのほか、南極にも観測点があるそうです。すごいな、すごいな、と思いつつ、宇宙の起源と構成って今でも不思議なことだらけだということは、よく分かりました(分かったような気がしました)。
(2015年11月刊。800円+税)

オーロラ!

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者  片岡 龍峰 、 出版  岩波科学ライブラリー
  私は残念ながら現物のオーロラを見たことはありません。映像のみです。
オーロラほど不思議な光はない。冷たい炎のような光が色を変え、形を変え、音もたてずに空を舞う姿の圧倒的な不思議さには、驚きと畏怖の言葉が尽きない。
100年前、ノルウェーの科学者(ステルマー)が電話をつかって30キロ離れたところで写真を同時に撮影し、オーロラの高さの精密な三角測量を繰り返した。その写真乾板は4万枚をこえる。その結果、オーロラが地上100キロ、高いものだと1000キロで光っていることを突きとめた。
オーロラの緑や赤は、酸素原子がエネルギーを受けたときに自然に出てくる色。緑の光を放つには0.7秒かかるが、赤の光を放つには110秒の時間がかかる。したがって、オーロラの赤は、緑が光る場所よりももっと真空に近い、110秒ほど励起状態のまま仲間と会わずに漂うことのできるほど空気が薄い状況、つまりより高い場所でないと光ることができない。上が赤く、下が緑という、あのオーロラのクリスマスカラーは、酸素原子がつくり出したグラデーションなのだ。
北極の近くでは、オーロラは見えない。オーロラは、地球規模で「輪」を形づくっている。
地球が磁場をまとっていることによって、電子は磁場気に捕らえられ、オーロラオーバルの近くに輪のように電子が流れこみやすい状況になっている。そこで、猛スピードで大気へ流れ込んだ電子が、空の終わりの酸素原子と衝突して、オーロラを光らせている。
オーロラの全体像は、今ではほとんど明らかになった。でも、今なお、電子と陽子の動きの違いや細かなプラズマの構造など、分からないことは多い。
オーロラの解説が十分に理解できたということはありません。それでも、オーロラの生成・構造が単純なものではないことだけはよく分かりました。宇宙には不思議なことだらけですね・・・。
それにしても、マイナス40度とかいう世界でオーロラを観察しようとは思いません。やっぱり、ぬくぬくとしながら、映像でガマンしておくことにします。
  
(2015年10月刊。1300円+税)

銀河系惑星学の兆戦

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者  松井 孝典 、 出版  NHK出版新書
 真夏は、夜寝る前にベランダから天体望遠鏡をのぞいて月の素顔を見るのを私は楽しみにしています。その月面にたくさんある「あばた」(クレーター)は、なんと天体衝突によって生まれたというのです。
物質科学的に超高速の天体衝突で生じるような、超高圧下でつくられたような鉱物が発見された。これらのクレーターの多くは、40億年以上も前にできたもの。
 それが無数にあるということは、40億年前の月では、無数に天体衝突が起きていたことになる。
 そして、月のマントルには、地球のマントルと同じくらいの水が含まれている。最古の結晶化年代は44.17億年である。
 地球に降ってくる隕石の多くは、宇宙空間に漂っていた塵やガスが凝縮してつくられた鉱物が単に集まっただけの集合体である。隕石の多くは、今から45億年以上前にできた。いちばん古い隕石は、1969年2月(例の東大・安田講堂攻防戦の翌月です)にメキシコに落下した。推定5万トン。ただし、大気中で爆発した。粒子が直径100キロメートルほどの天体になるまでに数百万年かかる。
 太陽系は、45億6600万円前に誕生したことが分っている。
 ブラックホールは「穴」ではなく、きわめて密度の高い天体である。周囲の物質をとり込みながら、無限の重力崩壊を続けているようなもの。
 銀河の中心には太陽の1億倍もの物質をもち、超巨大ブラックホールが存在している。
 冥王星が惑星ではないとされたのは、2006年に太陽系の惑星の定義が定められたから。惑星の定義は三つ。
 ① 太陽を回る軌道上にある天体
 ② 重力が物体の強度を上まわるだけの質量を持ち、静水圧平衡に近い形をしている天体。
 ③ その軌道の近くには、ほかの大きな天体が存在しない。
 冥王星は、この条件を満たしていないので、「準惑星」とされた。
 地球上にある広大な海を形成するほど大量の水はいったいどこから来たのか・・・?
 実は、それは彗星によって運ばれてきた可能性がある。
 えーえっ、ななんという不思議なことでしょう。想像できません・・・。
 最初の原始的微生物、あるいはウィルスも、宇宙から来た可能性が否定できない。地球が誕生する以前に、宇宙には生命の萌芽があったのではないか・・・。
 生命は宇宙で誕生し、それが彗星によって育まれ、運ばれ、彗星が地球に衝突することで地球に生命がもたらされた。
 むひゃあ、そんな、そんなことがあるのでしょうか・・・。ところが、著者は、この仮説を否定できないというのです。
 いやはや、宇宙にハテは果たしてあるのかと同様、無限の難問が宇宙には満ちみちています。
(2015年12月刊。780円+税)
 先週、私の町は断水騒ぎで大変でした。マイナス7度になって水道管が凍結し、破裂してしまったのです。水が使えないとトイレも風呂もダメです。コンビニやスーパーから水やパン、弁当がたちまち姿を消してしまいました。水のありがたさを改めて実感したと会う人ごとに話したものです。電気より、灯油やガスより、何より水が生活の基本なのですよね。本当に大変でした。
 それにしても、都市生活って、案外もろいのですよね。これで原発事故が起きたら、どうしようもありませんね・・・。

ブラックホール・膨張宇宙・重力波

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者  真貝寿明 、 出版  光文社新書
 光陰、矢の如しです。一年の過ぎるのが本当に早いです。人生の折り返し点をとっくに過ぎている今、この先、地球と宇宙そして人類がどうなっていくのか、ちっぽけな存在である私の死後、いったい意識が消失したあと、何が待ち受けているのか・・・。ぜひ、知りたいところです。
 ブラックホールとは、光さえも脱出することができない重い天体。だったら、ブラックホールなんか私たちは見えないはず。ところがブラックホールは観測されている。なぜ?
 実は、ブラックホールそのものが見えているわけではない。それでも、ブラックホールの存在が分るのは、ブラックホールに吸い込まれているガスの分子同士がぶつかりあってX線などの電磁波を強力に放射するから。ガスが「明るく光る」ため、ブラックホールに吸い込まれていく姿が見える。だから、ブラックホールは、天文学的には「明るい天体」とも言える。ええっ、そうなんだ・・・。
 銀河系の中心部分にも、超巨大なブラックホールが存在している。太陽の実に300万倍以上の質量と見積もられている。
 ここで、クエスチョン。鏡を手にもって自分の顔を見ている人が、光速で動いたとすると、鏡に顔は映るのか?
 その答えは、鏡に顔は映る。なぜなら、光速で人間が動いていたとしても、光はその人から見て光速で動くから。
 なんとなく、分ったようで分らない話です。
 時間の進み方は、観測する人によって変わる。ロケットの速度が速ければ速いほど、地球の1秒に比べてロケットの1秒は遅くなる。だから未来に行くタイムマシンは可能だ。光速に近いロケットで宇宙のどこかに飛び、そして戻ってくればよい。浦島太郎の話は竜宮城が光速近いスピードで移動していたとすれば、ありうる。ただし、過去に戻るタイムマシンは不可能。
現時点での宇宙像は次のとおり。宇宙は何らかのメカニズムによって誕生し、インフレーションと呼ばれる急激な真空の膨張を起こした。インフレーションは、当時の地平線スケールをはるかに超える大きさまで引き延ばし、現在我々が観測している範囲を超えてほぼ一様な宇宙を実現した。インフレーションは、膨張領域同士が衝突する現像で終了し、高温高密度の「火の玉」となり、ビックバン宇宙モデルに引き継がれる。火の玉は、宇宙の膨張にしたがって温度を下げ、宇宙全体の大規模構造ができていった。宇宙は現在なお加速膨張を続けている。
 重力波とは、時空に生じた「ゆがみ」が波となって伝わる現象である。これまで地球上で重力波をとらえたことはない。重力波は、とてつもなく弱い波だから。
 そこで、日本は岐阜県神岡の山中に長さ3キロのトンネルを2本掘って、大型低温重力波望遠鏡「カグラ」を建設中である。人工的に重力波を作り出すことはできない。宇宙でつくられる重力波を観測するしかない。
 連星パルサーの発見により、重力波の存在が間接的にせよ確かめられた。
 重力波の観測が現実すると、中性子星の軌道パラメーターが分るだけでなく、これまで不明だった原子核の状態方程式が決まり、ブラックホールが形成される直接の証拠を得ることになる。また、銀河中心のブラックホールの形成過程や初期宇宙の解明、あるいは重力理論の検証にもつながっていく。
 宇宙に涯があるといいます。では、その外側は、いったいどうなっているのでしょうか・・・。暗黒かつ真空の世界なのでしょうか?
宇宙の話ほど、ロマンをかきたて、日頃のこせこせした悩みを忘れさせるものはありません。
(2015年9月刊。900円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.