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カテゴリー: 宇宙

宇宙のおしごと図鑑

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 林 公代 、 出版 KADOKAWA
 この本を読むと、すでに宇宙をめぐるビジネスが日本にもあるんですね。そして、宇宙弁護士までいるというのに驚かされました。たとえば、宇宙空間を漂流しているスペースデブリ(ゴミ)の回収がビジネスになっています。いったい、誰が費用負担してくれるのでしょうか…。
 宇宙食といえば、このコーナーでも前に紹介しました若狭高校の高校生たちがサバの缶づめを宇宙食として納入しています。同じように、小学4年生のときから宇宙食「みかんゼリー」を開発を試みて成功した若い女性が登場します。ほどよい「とろみ」にするのが大変だったとのこと。無重力状態では、血液が頭のほうにのぼって、鼻が詰まったように感じるので、濃い味つけが好まれるそうです。すでにISSではラーメンを食べることが出来ています。
宇宙コスメ(化粧品)では、アルコール成分は発火する危険があるので、使えないそうです。宇宙船のなかでは乾燥しやすいので、肌がしっとりする成分の入ったクリームが喜ばれるとのこと。
 ISSには風呂もシャワーもない。そのため、シャンプーをしみこませた突起型のシートでマッサージしながら、洗髪する。飲みこめる歯みがき粉。汗を取り除いてさっぱり感が得られるボディ用ペーパー、水を使わず選択できる製品…。いやあ、どれもすごく工夫しているんですね。
惑星防衛隊というのは、地球に小惑星が衝突したことは何回もあるわけですので、必要ですよね。恐竜大絶滅ならぬ、人類大絶滅は回避してほしいです。
 宇宙飛行士を選抜する試験は5年に1回しかないそうです。これまで宇宙飛行士として活動した同じ人が何回も行っているのは、不思議です。どんどん新人を送り出して世代交代していけないものかと思うのですが…。
 宇宙飛行士の選抜試験は1年かけるそうです。そのなかには、1週間も閉鎖空間に缶詰め状態になって、数人が共同生活しながら、外にいる試験官と面接テストを受けるそうです。これは大変です。4千人をこえる応募者から2人が選ばれたとのこと。ぜひ、がんばってください。
宇宙空間まで、あのインチキで高慢、そして超富豪のイーロン・マスクに牛耳られたら大変です。超大金持ちが宇宙を大もうけの材料にするのは絶対に許せません。
宇宙のおしごと図鑑とあるだけに、多方面の仕事ぶりを垣間見た思いがする本です。
(2025年3月刊。1650円)

宇宙(そら)を編む

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 井上 榛香 、 出版 小学館
 宇宙ライターを業とする著者は福岡県小郡(おごおり)市の出身です。
 小郡市には「七夕(たなばた)の里」、こんなキャッチコピーがついているというのです。私は初めて知りました。そして、中心部には「七夕会館」があり、天体ドームが併設されていて、天体望遠鏡で星空を眺めることができるそうです。
 著者は、大学では法学部でした。宇宙法を勉強したいというので選んだそうです。うひゃあ、そんな法律があったんですかね…。
 ロシアが人工衛星を破壊して、その破片が宇宙空間をさまよっていて、宇宙船に衝突する危険もあるそうなので、宇宙空間の規制もたしかに必要でしょうね。今や、軍事偵察衛星が北朝鮮の動向を毎日詳細に観察しているそうです(どうやら、日本は情報を共有してもらえていないようなんですが…)。
 九州にも鹿児島の内之浦と種子島だけではなく、大分空港を人工衛星の打ち上げ基地にする計画がすすんでいるそうです。
 そして、北九州の九州工業大学は、小型・超小型衛星の運用数が、世界の大学、学術機関のなかで世界1位を7年連続で占めているとのこと。これまた知りませんでした。
 宇宙旅行について、ZOZO創業者の前澤友作は数百億円かけて12日間、ISS(国際宇宙ステーション)に滞在した。今や4時間のフライトで成層圏への遊覧サービスが1人2400万円で利用できるようになりそうだとのこと。恐らくスーパーリッチ層の楽しみになるのでしょうね。
 著者の宇宙ライターというのは、まったくフリーでの取材。宇宙船ならロシア語が必須なので、著者もウクライナに留学し、ロシア語をマスターしたそうです。
 それで、ロシアのウクライナ侵略戦争に心を痛め、避難のお手伝いもしているとのこと。
それにしても、北海道の牧場で発生する牛の糞尿からのガスをロケットエンジンの燃料として利用するというのには驚きました。実際にやられているのです…。
 宇宙業界には、日本でもベンチャー企業がいくつもあって、それなりに活躍していることも知りました。でも、かかるお金が桁(ケタ)違いです。
 「ロケット開発の会社をつくりたいので、50億円を集めてほしい」
 びっくり驚天の金額です。
著者の宇宙ライターとしてのますますの活躍を大いに期待しています。
(2025年2月刊。1870円)

箱の中の宇宙

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 アンドリュー・ポンチェン 、 出版 ダイヤモンド社
 たまには夜空を眺めて、宇宙のことを考えてみたいものです。
 自分が死んだら、あのきらめく星と一体化して、宇宙をさまよっていくのかな…、そう思うと、宇宙の端(はて)がどうなっているのか、知りたくなりますよね…。
 宇宙は広大なだけでなく、非常に複雑である。
 銀河が回転しているという事実は、21世紀の初めから知られていた。銀河系の軌道上に星をつなぎ止めるのに十分な重力を及ぼすには、通常の物質の5倍も存在しなければならない。それがダークマター。今のところダークマターの正体は判明していないが、その正体は素粒子に違いないだろう。
宇宙は140億年前に誕生し、ほとんど大きさゼロから膨張し続けている。しかし、膨張によって銀河がランダムに散らばっているのではない。巨大なクモの巣のような、ほぼ空っぽの超空洞(ボイド)を挟(はさ)んだ、「宇宙の網の目」にそって銀河は結びついている。しかし、なぜ、どのようにして、銀河が網の上に並んだのか…、大きな謎だった。
 ニュートリノは、非常に軽い。水素原子の1億分の1ほどの質量しかない。
 今日、宇宙を押し広げているものは、すべてダークエネルギーと呼ばれている。銀河を引き寄せているダークマターと対(つい)をなしている。ダークエネルギーの影響は、太陽系や銀河系スケールでは測定可能なインパクトがないため、非常に弱いものに違いない。しかし、弱いダークエネルギーであっても、非常に大きなスケールでは重要な意味をもつ。
 今は、ダークマターが25%、ダークエネルギーが7%という宇宙像が描かれている。残る5%に、目に見える、私たちの星や銀河をつくっている原子や分子が存在している。
 すべての星は、銀河の中を漂うガスの雲から始まる。
 銀河は、大きさ、色、形、質量、化学組織、年齢、明るさ、自転速度など、想像しうる、あらゆる点で多様である。
 この10年間で、ブラックホールは合理的な疑いをこえて実在することが証明された。
 太陽の数百万倍の質量をもつ壮大なブラックホールが私たちの銀河系のど真ん中に鎮座している。天の川銀河の中心にはブラックホールがある。
 超大質量ブラックホールの半径は、親銀河の500億分の1しかないため、コンピュータがブラックホールを正しくとらえるのは至難の業(わざ)だ。
なんと壮大なスケールの話でしょうか。憂さばらしにはもってこいですよね。
(2024年7月刊。2200円+税)

西はりま天文台の星空日記

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 大島 誠人 、 出版 あけび書房
 私は本格的な天文台には残念ながらまだ行ったことがありませんが、星空を眺めるのは大好きです。夏の夜、ベランダに大きな望遠鏡を据えて、目をじっくり眺めると、浮世の世知辛さをしばし忘れることが出来ます。
この西はりま天文台は一般人にも公開しているそうです。
 JR姫新線の作用駅から7キロの山の上にある天文台。兵庫県の佐用(さよ)町は人口1万7千人。標高435メートルの大撫(おおなで)山の山頂にあります。
 天文台の立地条件は、夜、空が暗いこと。なので、近くに工場街、コンビナートがあるのは良くありません。また、瀬戸内海のように雨があまり降らないところがいいのです。ここにあるなゆた望遠鏡は、口径が2メートルと、日本で2番目に大きい。
 夜だけでなく、昼でも星は見える。そうなんです。星野村にある小さな天文台で私も星を昼に見たことがあります。
 なゆたというのは「那由多」と書いて、万、億、兆そして京の先のほう、万から数えて15番目、10の60乗ということです。
 レンズを使う望遠鏡を屈折望遠鏡、鏡を使うのを反射望遠鏡という。一長一短あるが、研究用としては反射式のほうがダントツに良い。というのも屈折望遠鏡は、ある程度より大きいものをつくるのが非常に難しいから。反射望遠鏡は鏡の表面の良し悪しによる。今はめっき技術が向上している。
 星の寿命は生まれたときの質量で決まっている。質量が大きい星ほど寿命が短い。というのは、質量の大きい星ほど核融合反応が盛んになるので、燃料がどんどん減ってしまい、寿命も短くなってしまう。そのため、大きくて明るい星ほど、寿命が短い。
 若い散開星団には、質量の大きな星がたくさんいるから、そのような星は表面温度が高いので、散開集団には青白い明るい星が目立つ。星が輝き始めるというのは、星の中で核融合反応が始まること。
 著者は高校生のとき、ずっと夜空の星を観察しているうちに、変光星の増光を世界で最初に発見したということで、新聞で大きく紹介されました。たいしたものです。
 ただ、天体観測は夜ですから、生活はとても不規則になり、昼夜逆転の日々を送ることになります。これは大変ですね。私にはとても出来ません。夜はやっぱりちゃんと寝たいですから…。
 この天文台は、日曜は一般参加が自由で、平日は予約が必要だそうです。一度、宿泊つきで行ってみたいものです。
(2024年9月刊。2200円)

なぜ彗星は夜空に長い尾をひくのか

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者 渡部 潤一 、 出版 誠文堂新光社
 夜空の星を眺めるのは大好きですし、宇宙に関する本を読むのも好きです。
 いつも不思議なのは、星が空を移動しているのを見る(観察する)だけで、昔から数値化して軌道を計算し、いつ彗星が出現するのか予測する、できるということです。皆既日食も、いつ、どこでそれが見えるというのをぴたりと予測できるなんて、私にはまるで信じられません。
 今はコンピューターで計算しているわけですが、昔々のケプラーとか、みんな手で計算していたわけですよね。大変な計算だったことと思います。
 さて、彗星です。その正体は、なんと、巨大な汚れた雪塊というのです。
彗星核の成分は80%が水の氷、残り20%には二酸化炭素、一酸化炭素、それに微量成分として炭素、酸素、窒素に水素が化合した種々の分子が含まれている。これに岩塊や砂粒のような座(ダスト)が混ざっている。
彗星は、太陽系の中を勝手気ままに飛び回る太陽系の異端児。
彗星の2つの特徴。その一は、何の予告もなく突然に現れる。その二は、現れた彗星は華麗な姿を見せる。
 彗星の出現は西洋では凶兆とみられている。ジュリアス・シーザーが暗殺されたあと、第彗星が現れた。ところが、日本では稲作との関係で、穂垂星として吉兆とみられていた。
 ハレー彗星は、周期的に回帰する彗星のなかでも、きわめて大型で明るい彗星。
 彗星の尾(しっぽ)は、塵の粒子が太陽からの光の圧力(放射圧)によるもの。
彗星は、地球のような太陽系の内側の暖かい場所ではなく、太陽系のかなり外縁部で生まれたようだ。太陽よりも遠方で出来た微惑星が彗星だ。その意味で、彗星は、46億年前の物理・科学的状態を閉じ込めた化石とも言える。
彗星は、惑星や太陽に近づきすぎると、その潮汐力で分裂することが多い。それでなくても彗星は分裂しやすい、きわめて脆(もろ)い天体である。
 彗星はよく分裂し、そのうえで雲散霧消するものがある。
彗星核の密度はどうなのか。その中の構造がどうなっているのか、ほとんど分かっていない。まだまだ彗星は謎に満ちている。夜空に彗星や流星を眺めていると、つい、何か願いごとをしたくなりますよね…。
(2024年9月刊。1760円)

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