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2006年5月 の投稿

ブンブンブン ハチがとぶ

カテゴリー:未分類

著者:國房 魁、出版社:新日本出版社
 「ドンと鳴った花火だ」「かあさん、おかたをたたきましょ」に続く「歌いたくなる写真集」シリーズの3冊目です。まだ見ていない人は、一度、本屋の店先で手にとってみて下さい。子どもたちの笑顔にひきこまれてしまいますよ。見てる方まで自然に楽しくなって、つい笑顔がこぼれてくる本です。
 子どもたちが自然のなかで、伸び伸び、目が光り輝いています。野山のなか、雪のなか、田んぼのなかで焦点が見事にあっています。さすがはプロのカメラマンです。脱帽です。
 子どもたちが木登りしています。ジャンプして飛び上がっています。ミドリガエル(青蛙)を小さい鼻の頭にのっけています。そんな動きの一瞬を写真にすばやく切り取っているのです。たいした力です。
 古沢小学校の1年生は、全員で15人しかいません。梅雨どきの田んぼの道を一列に並んで傘を差しながら下校していきます。カラフルないい映像です。都会では絶対に見れません。雑木林でカブトムシをつかまえます。真剣な目つきです。
 いつのことだか思いだしてごらん
 あんなことこんなこと あったでしょう
 うれしかったこと おもしろかったこと
 いつになってもわすれない
 大人のちょっと疲れた傷ついたこころを十分いやしてくれる素敵な絵本でもあります。2500円は、ちっとも高くなんかありません。だって、明日に生きる勇気が自然にわきあがってくるのですから。

人間は脳で食べている

カテゴリー:未分類

著者:伏木 亨、出版社:ちくま新書
 人間は脳で食べている。口で味わう前に、脳が情報を処理している。口は、それを確かめる作業をする程度である。
 私も本当にそうだと思います。たとえば、わが家で一人ワインを飲んでも、ちっとも美味しくありません。美味しいワインをいただくためには、まずもって講釈が必要です。私の行きつけのフランス家庭料理の店(「ア・ラ・メゾン」)では、シェフが、このワインはフランスのどこそこの地方でとれたもので、そのファミリーはどういう出身で、ワインの作り方には、こんな工夫と苦労をしている。この年はワインのあたり年だった。などと、ひとくさり、ありがたい説明を聞かされます。もちろん保存状態は家庭と違って抜群です。ボトルからデカンタに移しかえるときも、ロウソクの炎に照らしながらの作業です。目にも楽しい作業で、鮮やかなワインの赤色を見せつけられますので、いかにも美味しそうだと期待にみちみちてきます。そして、広口の大きなワイングラスにそそがれ、手にもって揺らして、まず鼻で香りをかぎ、そして舌の上にワインをころがすようにのせて味わうのです。シェフがじっと側にいて見守っていますので、うん、うん、美味しいですと言ってしまいます。すると、本当に美味しく感じられるのです。
 幼いころから食べ慣れた味わいには、安心感を与え、おいしさを感じさせる。逆に、食べ慣れない味や食材には、しばしば違和感を覚える。子どものころから刷り込まれた味や匂いは、安全で信頼できる風味として、定着し、安心できる。
 やみつきのおいしさは、脳の報酬系で発生する。快感を強く生じる食べ物には、動物や人はやみつきになる。サーカスの熊のごほうびは、角砂糖かチョコレート。報酬効果は、快感を発生する前頭前脳束と呼ばれる神経の束が興奮する状態を示している。情報がおいしさを誘導する。私たちのおいしいと感じる味の多くは、実は、他人から与えられた情報で成りたっている。ところが、眼窩前頭前野を破壊すると、新しいやみつき感を獲得することができなくなる。
 絶対的なおいしさと思われているものにも、実は集団の総意にすぎない面がある。食べたいという期待や切ない欲求は、脳内のドーパミン神経が興奮している。
 匂いの判断は、味よりもかなり正確。多くの有害物の匂いを引っかける網をもっている。匂いの方が安全性のチェックに適している。
 ラットを用いた実権によると、ラットは清酒やビールをほぼ完璧に飲み分けることができる。ラットの選ぶビールの銘柄と、人間が極限近くまで大量に飲んだときにまだおいしく飲めるビールの銘柄とがほぼ完全に一致した。
 食物を口のなかでかむ。かんでいるあいだに、食物成分がだ液とまじる。これが舌を刺激する。舌は、食べ物の成分をキャッチして、甘味、酸味、苦味、塩味、うま味、そして脂肪の刺激などの信号に変える。渋味や辛味などが含まれている場合には、これらも信号として脳に送り出す。さらに、歯触りや舌触り、粘つきやとろみなど食感も物理的な信号となる。
 舌や口の中からの信号は、脳の入り口と言える延髄孤束核に伝えられる。これは後頭部にある。延髄孤束核は、すべての信号を舌の先、舌の奥、咽頭、内臓などの順に整列させる。延髄孤束核に整列した信号は、脳の一次味覚野に別々に送られて、味覚が統合される。舌は食べ物を単純な味覚成分に分解して脳に伝え、味覚野がこれを再び組み立て直して食品の味わいに戻す。再構成された情報は、価値を判断するために扁頭体に送られる。ここで、おいしさの判断が下される。
 おいしいと判断するまでの複雑なプロセスを初めて知りました。
 好き嫌いの程度は、実際には信号の頻度で強弱が表される。好きならば信号が何度も出て、そうでなければパラパラとした頻度でしか信号は出ない。この回数が好き嫌いに比例する。そうなんですか。そういうものなんですね。脳科学って、ここまで解明してるんですね。すごいものです。
 味と匂いの信号は、独自の道をすすみながら、最後に合流する。
 小さな飽きは、同じものを食べ続けないようにするための脳の摂食抑制信号である。同じものばかりを食べていると、リスクが大きいからだ。
 マクドナルドは、ターゲットを女子高校生と女子大生にしぼった。10年、15年したら、子どもを連れて戻ってくるからだ。マクドナルドなどのファーストフードは、人間の味覚を台無しにするだけでなく、地球環境を回復不可能なまでに破壊するものでもあるというのが私の考えです。マックやケンタは人類の敵なんですよ、まじで・・・。

平和創造・人間回復、つなげよう、いのち

カテゴリー:未分類

著者:毛利正道、出版社:合同出版
 団塊の世代の弁護士も元気いっぱい頑張っている。そんなメッセージを伝えてくれる本です。著者はホームページも開設していて、日々、果敢に問題提起をしています。かなりの読者をかかえているようです。ぜひ、あなたもアクセスしてみてください。
 「被害者の母親に叱られた私」という文章に出会いました。著者が45歳のとき、集団リンチにあって息子を殺された親の話を聞いているとき、その母親がバンバンとテーブルを叩いて怒ったのです。著者の態度が共感をもってきいていないという怒りがぶつけられました。つらかったでしょう、そんな気持ちがまるで感じられない、非常に事務的な態度だと非難されたというのです。
 これには、私も思いあたる苦い経験があります。相談者に対して、そんなの無理ですよ、と冷ややかに言い放ったのです。その言い方に相談者からくってかかられました。もっと親身になって話を聞いてくれてもいいではないのか、そんなもっともな苦情でした。私は、なるほどと思い、心から反省しました。あとで苦情の手紙が送られてきました。私は、お詫びの手紙に相談料5000円を同封しました。本当は5000円返すだけでは足りないと思ったのですが・・・。こんな失敗をときどきしてしまいます。人間としての未熟さからです。申し訳ないです。
 著者が強く感銘するのは、日本国憲法が、いつ、いかなるときも、いのちを人の手で奪うことは一切許されないとしている、その哲学。
 軍隊では人を殺す訓練をする。お隣りの韓国にも徴兵制がある。日本は違う。日本は戦後60年間、憲法9条をもち、戦争をせず、国民としては戦争の準備も、人を殺す訓練も受けずにきた。このことが、日本で犯罪による死者が少ない背景となっている。
 私も、まったく同感です。自民党や民主党のいうように憲法9条2項を廃止してしまったら、日本は戦争をする国になってしまいます。
 フツーの人が人殺しするのをあたりまえと思いはじめたら、日本はアメリカと同じように、隣りで殺人事件が起きても平気という、おぞましい国になってしまいます。平気で海外に攻めていって人殺しをしてはばからないアメリカのような国に日本をしてはいけません。

下級武士の食日記

カテゴリー:未分類

著者:青木直己、出版社:NHK生活人新書
 幕末、万延元年(1860年)、紀州・和歌山藩の勤番侍であった酒井伴四郎が江戸での単身赴任中に書き記した詳細な日記帳から、その食生活を再現したものです。
 桜田門外の変で大老井伊直弼が暗殺された2ヶ月後に江戸勤務を始めた28歳の青年節の生活がよく分かります。伴四郎は細かい字で毎日、日記をつけていたのです。もちろん、毛筆です。だから、現代人の私にさっと読めないのが残念ですが、こうやって活字で紹介されると、本当によく分かります。
 享保6年(1721年)ころ、江戸は110万の人口をかかえていた。ロンドンは70万人、パリ50万人、北京70万人だったので、江戸は世界一の人口だった。
 伴四郎は、猪ではなく豚をよく食べた。外出先でも、豚鍋で酒を飲んでいる。ただ、多くの場合、カゼを理由に、豚肉を薬と称している。豚肉は、多くは味噌やタレなどで味をつけ、猪同様、ねぎと一緒に煮て食べていた。15代将軍の慶喜は豚肉好きだったことから、「豚一殿」と呼ばれていた。うへー、そうなんですか・・・。
 江戸時代、一番格式の高い鶴はとくに珍重されていた。二番目は白鳥だった。鷹狩りの獲物として、将軍家から天皇へ塩漬けの白鳥が献上されていた。ただし、一般に好まれたのは鴨だった。
 伴四郎は、昼に飯を炊いて、朝や夕方は粥や茶漬けなどですませていた。京都・大阪の上方では飯は昼に炊いて、煮物や煮魚をおかずに、味噌汁など、2、3種と一緒に食べていた。これに対して、江戸では、朝に飯を炊いて、味噌汁と一緒に食べていた。昼は冷や飯だが、必ず野菜や魚などをおかずとしていた。夕食の多くは、茶漬けに香の物だった。昼食のおかずに重きをおいていた。
 上方の酒は、下り酒として江戸でもてはやされていた。江戸近郊でつくられるものは、地まわりものと呼ばれ、上質な下り物に対して品質的に劣っていた。だから、くだらないという言葉がうまれた。ふーん、そうなんですかー・・・。
 伴四郎の江戸詰手当は年に39両。支出は年に23両ほど。約4割を節約していた。ほかに米が現物支給され、食べた残りの米を売って、2両を得ていた。
 独身の伴四郎が楽しむことのできる場所と仕掛けが、江戸のあちこちにありました。武士といっても案外、固苦しい生活を過ごしていたわけではないことがよく分かります。

アマゾン源流生活

カテゴリー:未分類

著者:高野 潤、出版社:平凡社
 私もヘビは嫌いです。見ただけで背筋がゾクゾクしてきます。アマゾン源流には、長さ2メートル、胴まわり直径6センチの大蛇がいるそうです。絶対に近寄りたくありません。ヘビについて、背と腹の模様が同じものは本物の毒ヘビで、違うものは毒ヘビに擬態したモドキもの、なんだそうです。
 ヘビを見たら、細い棒で、頭や胴ではなく、首を狙うのがもっとも確実。下手に切断すると、頭だけがとびついてきたり、逃げられてしまう。
 大蛇をボアと呼ぶ。水中にすむアナコンダなどのこと。長さは15メートルもあるボアがいる。ボアは臭う。体内で獲物を消化させているときのボアは、ひどい悪臭を放つ。だから、嗅覚は敏感になってくるし、また匂いをかぐ力が大切だ。
 テントを張ってキャンプしていると、ジャガーが襲ってくることがある。ジャガーは、いつ、どこで、誰が一人になっているのか、人間の繰り返す行動パターンを観察してから狙っている。とくに、自ら狩りができなくなった老ジャガーが危険。だから、ベース番として残る人は案山子もたてる。ベース周辺に複数の人間の気配を漂わせておくようにする。
 野営したときにアリの大群に狙われたら、おしまい。とくにハキリアリ。ふだんは葉を背負って行列しているおとなしいハキリアリが、自分たちの巣に運ぶ価値があると判断してキャンプ地を狙ったら、もうどうしようもない。食料だけではない。包装しているビニール、テント、蚊帳、なんでも手当たり次第に食らいつき、かみきって運んでいってしまう。
 不用意に捨てたゴミから、何が襲来してくるかわからない。それで、消せる匂いはできるだけ消す。生ゴミも、魚の骨はすべて焼却する。そうしないと、昆虫や哺乳類だけでなく、コンドルのような鳥までやって来る。
 アマゾン流域は、森にしても川にしても、いったん奥に入ってみると、視界をはじめ、期待するような変化はない。生活パターンも単調になってしまう。
 絶対に行きたくない土地ですが、このアマゾンのおかげで地球上の酸素の相当部分が生産されています。また、人類の生存に役立つはずの薬の成分がまだまだたくさん眠っているとみられています。そんなアマゾン流域を開発の名のもとに荒らしているのがアメリカと日本です。日本の責任は重大だと思います。
 それにしても、私はほとんど同世代の著者のタフさと勇気には感心します。アマゾンにテントをはってキャンプするなんて、私にはとても出来ません。まあ、だから、こうやって代わりにアマゾンの話を読んでいるのです・・・。
 ちなみに、わが家の庭にいるヘビはヤマカガシのようです。茶色に黒がまじっています。近づくと音をたてて接近するな、注意しろと教えてくれます。

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