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2005年2月 の投稿

裏ミシュラン

カテゴリー:未分類

著者:パスカル・レミ、出版社:バジリコ
 私は残念なことに、フランスで星のついたレストランで食事をした経験がありません。でも、三つ星レストランの料理を紹介した本はこれまで何十冊と読みました。写真で見て、目で楽しみ、文章で雰囲気を味わうのです。わずか2000円ほどで豪華ディナーをたんのうできるのです。舌で味わえなくても、想像力で補ってきました。
 とは言っても、私はフランスで美味しい料理を実際に味わったことはあるのです。デイジョンでキールを初めて飲み、リヨンでクネル(魚料理)を食べ、パリのビストロで巨大な自家製パテに挑みました。生きのいい生カキも堪能しました。今でもはっきりと思い出すことができます。40代の初めには、南仏のエクサンプロバンスでひと夏の独身生活を謳歌することもできました。ワインはロゼです。こってりした魚スープをいただくと、あとは、もうサラダだけでもいい。そんな気になりながらも、なんとか肉料理にすすみます。マルセイユではブイヤベースとともに、野ウサギの赤ワイン煮こみもいただきました。うーん、また行きたくなりました。ぜひ、近いうちにまた行ってこようっと・・・。
 有名なミシュランガイドの調査員だった人が調査の裏話を紹介しています。調査員はたった5人しかいないそうです。毎回毎食、フランス料理を食べていたら健康は大丈夫でしょうか、と心配になります。
 レストランの側も調査員だと分かると、なんとか特別待遇しようとします。でも、調査員だと気づかれないように行って食事をし、最後に身分を明かすというのです。そのときのレストラン側のあわてぶりが面白く語られています。それはそうですよね・・・。
 でも美味しい料理って、なにより食べる側の体調によりますよね。ほどほどにお腹をすかしていないといけません。そして、連れが大切です。そのうえで、店の雰囲気ですね。三拍子そろうというのは、なかなか難しいものです。こうなると、お金だけの問題ではありません。

リラックマ生活

カテゴリー:未分類

コンドウアキ、主婦と生活社
 毎日せかせか仕事をして、少しくたびれたなー、そんな大人むけのほんわか絵本シリーズです。我が家のぐうたら娘の大のお気に入りです。世の中には、こんなに似た人間がいるのかと驚きます。でも、まあ、ちょっとひと休み。それもまた、いいものでしょう。いつもいつも息せき切って走っていても、つまりません。
 わが団塊世代にも、ついに大量定年時代が到来しつつあります。防衛大学から自衛隊の幹部になったF君はもう55歳定年でやめたはず。今ごろ、どこで何をしているのかな。 サマワに派遣された隊長たちは、みな40代の前半。あんな激しい戦火の真っ直中に飛びこむ人の気がしれないけれど、彼らにも読ませたくなる絵本です。死んで遺族が2億5000万円(ほかに年金が月70万円)もらっても仕方ないと思うのですが・・・。

うたう警官

カテゴリー:未分類

著者:佐々木 譲、出版社:角川春樹事務所
 うたう警官というのは、カラオケボックスでうたう歌がうまい警察官というわけではありません。警察の裏金づくりや不祥事を内部告発する警察官のことです。
 この本は、北海道警察の裏金づくりを告発した元釧路方面本部長の勇気ある行動を下敷きにしています。うたう警察官なんか、うたう前に別の口実をつくって殺してしまえ。そんな警察組織の体質が鋭く告発されています。といっても、スケープゴートにされかかった1人の刑事を救うために、仲間の刑事たちが次々に立ちあがり、行動していく様子が詳細に語られます。警察の捜査現場の雰囲気が臨場感にあふれていて、「警察小説の金字塔」とオビにありますが、なかなか読ませる小説でした。
 ところで、この本にインターネットで宅急便の会社の制服が売られていると書かれていました。ありうることです。玄関で「宅急便です」と言われたら、疑いもなくドアを開けるでしょう。それが物盗りだったら・・・。ぞっとします。
 それにしても、キャリア警察官がぬくぬくと裏金をフトコロにしているのは本当になんとかならないものでしょうか。権力とカネの両方をもたせると人間ロクなことはしないと思うのですが・・・。

ピエロの赤い鼻

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著者:ミシェル・カン、出版社:扶桑社
 この正月に見たフランス映画です。ナチスに支配されていたフランスでのささやかなレジスタンス行為がナチスの報復によって悲劇をもたらすのです。
 父親と子どもの葛藤をも見事に描いています。例によって映画と原作とはストーリーがかなり違います。私は映画の方がむしろ状況描写としてうまくできていると思いました。小学校の教師をしている父親が日曜日ごとにピエロになって人々を笑わせている。息子としては肩身が狭いし、嫌でたまらない。でも、ある日、その理由を聞かされる。それを知って息子は父親を見直す・・・。
 ピエロ役の俳優が実にうまいと感心しました。フランス映画にも、もちろんいろいろありますが、ナチスに支配されていた当時のことがいろんな角度から次々に映画化されていっているところが、日本との違いです。軍国主義日本を反省するという映画は、日本ではめったなことでは見れませんし、いわんやヒットして話題になることはまったくありません。残念なことです。「人間の条件」とか、昔は、いろいろ反戦映画がありました・・・。

塀の中から見た人生

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著者:安部譲二、山本譲司、出版社:カナリア書房
 著者の2人とも刑務所経験があります。安藤組の元組長による『塀の中の懲りない面々』はミリオンセラーになりましたが、私も面白く読みました。実にさまざまな収容者が登場します。元衆議院議員が政策秘書の給与を不正流用し、一審の実刑判決に控訴せず服役した獄中生活をつづった『獄窓記』は、前者とは違った収容者の実情を知らせるものでした。著者の真摯な服役生活に感じるものがありました。
 舎房で本を読むときの遅読法というのを初めて知りました。時間はたっぷりあるのに官物の本は数が決まっているので、すぐに読み終わってしまったら困るのです。
 だから、単純な言葉でもいちいち広辞苑を開いて意味を確認しながら読む。これで時間をかける。おかげで広辞苑はボロボロになった。読めるけれど書けない漢字を、いちいちノートに書き出しては覚えるまで次の行にすすまない。これをやると、とんでもなく難しい漢字でも苦もなく書けるようになる。
 冬の寒さは辛い。舎房で本を読んでいると、目玉が冷たくなって、痛くなって、どうにも文字が追えなくなる。仕方ないから片目ずつつぶって、温めながら読む。涙も出てくる。
 悪い看守はほとんどが若い奴だ。舎房や工場を高いところから見下ろしている。だんだん歳をとって、定年も近づいて、退職金の計算をするようになると、目線が低くなってくる。
 初犯刑務所は再犯刑務所よりずっと厳しい。矯正可能性があると思うから刑務所側も力がはいっているからだ。刑務所運営でうまいやり方は、最初に受刑者から徹底的に自由を取りあげておいて、少しずつ自由を与えることで受刑者を意のままに従わせるというテクニックをつかうこと。
 初犯刑務所を出所した人間の再犯率は5割。ところが、再犯刑務所を出た人の再犯率は9割。つまり、刑務所に2回入ったら、もう一生刑務所と縁が切れることはないと思ってよい。刑務所というところは、うらやましいっていう気持ちを、すべて憎しみに変えるところ。ひがむ人間がたくさんいて、なんとか足を引っぱろうとする。
 社会でも前科者という偏見はきわめて根強い。前科者が更生するというのは大変なこと。顔からしゃべり方、驚いたときや真剣なときの目つきまで変えなければいけない。懲役顔というのがある。我慢したり、折りあいをつけたりばかりしていると、きっとこんなふうになるだろうなという顔のこと。
 受刑者は7万人。外国人が1割近い6千人もいる。うち中国人が2千人。塀の中の国際かは外よりすすんでいる。
 いま毎週、刑務所に通っています。本当に寒いところにあります。ときどき軍隊式行進のかけ声が聞こえてきます。受刑者に対してもう少し社会の風があたるようにしないと社会復帰は難しいという気がします。厳罰を課して隔離しておけばいいというばかりでは受刑者は増える一方です。しかし、その大半はいずれ出てくるのです。そのとき、本当に更生していなかったら、もっと大変なことになると私は思うのです・・・。

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