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2004年10月 の投稿

韓国戦争、第4巻

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著:韓国国防軍史研究所、出版社:かや書房
 朝鮮戦争は北朝鮮の金日成が仕かけた戦争であるということは今では歴史的に不動の事実だ。しかし、私も大学生のころはそれを認めていなかったし、認めたくもなかった。
 この本は、6巻シリーズとして刊行されているもので、第4巻は9月に出たばかりの最新刊だ。ここでは、中共軍が毛沢東の意向にそって朝鮮戦争に介入してソウルを奪還したあと、さらにアメリカ軍が韓国軍とともに再反攻し、いったん後退した中共軍が春季攻勢をかけている状況が細かく描かれている。
 最近の韓国映画『ブラザーフッド』を見た者としては、当時の戦況が刻明に描かれているので、戦場で死んでいった無数の人々に心から哀悼の意を表したいと思った。
 中共軍は54万2000人、北朝鮮人民軍が19万7000人の合計63万9000人。そして満州には中共軍の予備軍が75万人いた。対する国連軍は、26万9000人、韓国軍が23万4000人で、合計50万3000人。
 中国は、5次にわたって最大80コ師団を投入して、まさに人海戦術を展開した。しかし、圧倒的な火力と機動力を誇るアメリカ軍を制圧できなかった。中国軍は、攻勢作戦を1週間以上継続して遂行するだけの兵站支援能力がなかった。
 中共軍は、笛とラッパを鳴らしながら突撃する。これに対して、韓国軍は手動式のサイレンを鳴らして対抗したという。中国軍はベトナムへ侵略したときも、笛とラッパを鳴らしながら突撃してきたという記事を読んだことがある。30年たっても同じ手法だということに驚いた。
 韓国でのゲリラ戦も少し紹介されている。朝鮮戦争の内情と意味については、引き続き注目していきたい。

拒否できない日本

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著者:関岡英之、出版社:文春新書
 日本で今すすんでいる事態は、すべてアメリカの身勝手な要求であることを、アメリカ政府の公文書などによって裏づけた本です。
 たとえば、アメリカがなぜ日本にアメリカ型の経営制度を導入するよう圧力をかけているかというと、日本企業の社外取締役に就任したアメリカ人が、アメリカに居ながらにして経営をコントロールできるようにしているということ。
 また、国際会計基準を日本に導入させる狙いのひとつは、外資による日本企業の買収を妨げる系列(ケイレツ)や株式持ち合いの解消を促進し、外資が株を取得するチャンスを増やすことも含まれている。
 いま日本ですすめられている司法改革についても、弁護士や会計士などのアメリカの知的専門職業サービスの対日進出は、アメリカの他のサービス産業や製造業の対日進出の橋頭堡としても重要だ。つまり、アメリカの法律事務所が日本に根を張っていれば、アメリカ企業の利益になりそうなオイシイ日本の情報がどんどんアメリカに流れてくるし、アメリカ企業が日本の法律や制度の不都合な部分を改正するよう内政干渉したりするときの知恵袋として駆使することができる。このようにしてアメリカ企業にとって有利なビジネス環境を日本につくり出すという目的で、いまの司法制度改革がある。すなわち、アメリカ政府が日本の司法制度について改革を求める意図は民主化とはなんの関係もない。
 著者は、アメリカを批判すると、すぐに、それは日本の自己責任をアメリカのせいに転嫁する陰謀史観だという批判が出るが、まったくあたっていないと指摘しています。陰謀史観だというレッテルを貼って思考停止してはいけないというのには、まったく同感す。

選挙参謀、三ヶ月で代議士になれる

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著者:前田和男、出版社:太田出版
 私と同世代、つまり団塊世代の弁護士が東京での仕事にあきたりなく思って、地元の大阪から衆議院選挙に立候補し、公明党の候補に惜敗はしたものの、比例区で復活当選した。本書は、その選挙参謀が、選挙戦を総括した貴重な文献。いわば、選挙のウラ話が満載されている。
 しかし、著者も力説しているが、いまの選挙戦の実態は、政策を国民に問い、それで争う、というより、まさにイメージ選挙になっている。候補者を売りこむのに、マニフェストだとかイラストが中心で、その肝心な中味はあまり問題にされていない。あとはマスコミの関心をいかにひくかというだけ。これでは日本の将来は、お先まっ暗としか言いようがない。それでも、無名の新人が復活当選できたというのだから、本人のがんばりもあったと思う。
 その点、本人が団塊の世代の責任を問うていることは共鳴するところがあった。大学時代に紛争に関わっていながら、いま政治に関わろうとしないのは無責任ではないかということ。その点は、私もまったく同感だ。私は、大学紛争(この言葉を私は好きではない。私にとっては東大闘争としか言いたくない。なぜなら、それで死んだ人も身近にいるから。あれは生半可なものでは決してなかった)について、今の若者にその実相をぜひ知ってほしいと思って、いま本を書きつづっている。早く完成させたいと願って努力しているところだ。

ホントに、こんな人と結婚していいの?

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著者:石井希尚、出版社:主婦の友
 弁護士になって30年。法律相談でもっとも多いジャンルが離婚にからむ問題です。下手すると、毎日のように相談を受けます。でも、いまの日本が離婚率が一番高いと思っていると、それは違います。明治時代は今よりもっと離婚率は高かったのです。統計こそありませんが、その前の江戸時代にはさらに離婚は多かったと考えられています。「日本の女性は昔からひたすら夫(男)に忍従していた」なんていうのは、単なる思いこみにすぎません。私も、30年間、弁護士をしていて、そのことは体験的に確信しています。日々、女性の強さ、したたかさを実感しています。もちろん、昔から、弱い女性はいました。しかし、それ以上に弱い男も多いのが日本の現実です。
 ところで、この本は、そんなことを論じているわけではありません。同棲と結婚とは、異なることを力説しています。そうなんです。男と女が(セックスをともなって)一緒に生活していても、同棲と結婚とは決定的に異なるものなんです。つまり、結婚とは契約であり、同棲は権利も義務もないものなのです。うーん、そうなのか・・・。
 男にとって、女性の精神構造。そして肉体は永遠のナゾのようなものです。この本は、その点を理解しないと、結婚を維持することはできないと力説しています。ホントでしょうか・・・。私はなるほど、と思いました。一つの事実が、男の描くストーリーと、女のそれとが決定的に異なっていることを、著者の体験をもとにして語られているところは、大いに説得力がありました。

新選組

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著者:松浦玲、出版社:岩波新書
 近藤勇は、長文の手紙を何通も書いたという。しかし、従来の新選組研究に、その手紙がきちんと生かされていない。このことを著者は嘆いている。
 坂本龍馬と中岡慎太郎を殺したのは、新選組ではなかった(見廻り組が犯人)。しかし、近藤勇が流山で逮捕されたとき、坂本竜馬を暗殺したのは新撰組だと思っていた土佐人(谷干城が代表格)が寛容派の薩摩と激しくやりあった。薩摩の平田九十郎は、近藤勇の尋問が勝海舟や大久保一翁との関係に及ぶのを食いとめるのに懸命だったという。拷問もさせなかった。軍監(水戸人)が厳罰派だったため、20日以上ももみあった末に近藤勇は斬首され、東京と京都で首が晒された。
 新選組には新人が次々に入ってきたというのが驚きだ。京都での最盛時に200人、甲陽鎮撫隊で200人、五兵衛新田から流山では200人を超えた。函館で降伏したときにも100人の規模。その理由は、刀一本でまったく無名の浪士から幕臣になれるというコースは新選組以外にはありえなかった。徳川幕府支持の大枠のなかにいて武士になりたいと願う庶民にとっては輝ける登竜門だった。新人の多くは武州多摩の出身。多摩は、やがて自由民権運動の一大拠点となった。うーん、なるほど、そうだったのか・・・。
 それにしても、新選組の生き残りが1938年(昭和13年)まで生きていたというのには驚いた。90歳まで長生きし、作家の子母澤寛に新選組のことを語ったのは1929年(昭和4年)、81歳のときだった。うーん、新選組って、遠い江戸時代、幕末のころの話なんだけど、その登場人物って、明治、大正時代を経て昭和まで生きていたのか・・・。

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