法律相談センター検索 弁護士検索
2004年10月 の投稿

友情について

カテゴリー:未分類

著者:キケロ、出版社:岩波文庫
 紀元2世紀のローマ時代の哲学者です。
 友人同士の好意のなかに安らいを見いださない人生が、どうして生きるに値する人生たりえようか。まるで自分に語るように、安んじてすべてを語りうる人をもつことほどうれしいことがあろうか。
 友情は数限りない大きな美点をもっているが、疑いもなく最大の美点は、良き希望で未来を照らし、魂が力を失い挫けることのないようにするということだ。
 昔も今も、良き友だちこそ人生最大の財産です。

江戸という幻景

カテゴリー:未分類

著者:渡辺京二、出版社:弦書房
 江戸時代に関わる本はかなり読んできたため、すっかり雰囲気もつかんでいた気になっていましたが、この本を読んで、まだとんでもない、まだまだ、ちっとも分かっていないことを知ってがく然としました。江戸時代の人々がどのように考え、どのように生きていたのか、とてつもなく奥の深いものがあることを思い知らされる本です。すごく知的重樹を受けました。
 江戸時代の末期に日本にやって来た欧米人は、当時の日本人の陽気さ、無邪気さ、人なつこさ、こだわりのなさに深い印象を受けた。礼儀正しさと親切はもちろん感動的だったが、社会全体にみなぎる親和感と、何より人びとの心の垣根の低いことに彼らは魅せられた。人々は好奇心にみちあふれ、貴重な知識を求めるにきわめて真剣だった。
 江戸の人びとは、ことに触れて赤児のような純真きわまりない感情を流露する人々であった。旅先で病人を見かけると、決してそのままにしておかなかった。道中で事情のありそうな者を見かけると、決まって声をかけ、わが家に連れ帰ったりもした。
 幕末に来日した外国人は一様に日本人の宗教心の薄さ、とくに武士階級の無神論に注目している。ところが、彼らは相当な迷信家でもあった。
 仕事は決して労役ではなく、生命活動そのものだった。家業は近代でいう職業ではなく、運命が与えたその人の存在形態であって、家業に精を出すのは生命活動そのものにほかならなかった。うまくゆかなければ直ちに離婚して、何度でも結婚をやり直せばよいというのが江戸時代の婚姻常識だった。女にしても、貞女二夫にまみえずなとということはなかった。
 江戸時代の人びとは、何かにつけて、月、雲、花、鳥の声、虫の音を楽しむ心の持ち主だった。町人は武士という身分に対して、あまり恐れいっていなかった。武士とは町人にとって、一定の限界内で挑戦可能な存在であり、また、挑戦し甲斐のある存在でもあった。
 文政年間にオランダ出島の商館にいたフィッセルは、日本の裁判の厳しさについて、次のように述べている。「その厳しさは、社会のあらゆる階級に対して平等である。裁判は、もっとも厳格なる清潔さと公平さをもって行われると推量されるだけの理由はあると言える」
 安永年間に同じくオランダ出島にあったツェンベリも、「日本のように法が身分によって左右されず、一方的な意図や権力によることなく、確実に遂行されている国は他にない」と指摘している。恐らく彼らは、法を犯した大名や役人が確実に処罰される点を平等とか、身分に左右されないと表現した。
 裁判手続は、いかにも面倒なものだった。しかし、それでも人びとは  続として出訴した。公事(くじ、裁判のこと)のため滞在する人のための公事宿は安永年間に198軒あった。公事はやり甲斐があった。大人数が朝早くから評定所に詰めかけて、居る場所もないほどだった。裁判官は調停(和解)で事件を落着させようと必死で努力し、落着後は、心を開いて心境を述べていた。
 ウッソー、ホントなの・・・。世の中は、まさに知らないことだらけです。

イラク大量破壊兵器査察の真実

カテゴリー:未分類

著者:ハンス・ブリクス、出版社:DHC
 イラク査察団の委員長だった著者が、イラクの大量破壊兵器は1991年に廃棄ずみで、今度のイラク戦争時にはなかったことを明らかにした本です。
 要するに、アメリカが、イラク戦争の口実につかっただけだったことが今や明らかとなっています。
 サダム・フセインの恐怖政治を終わらせることを武力介入の唯一の目的としたのでは、アメリカもイギリスも、政府が議会の承認を得られる見込みはなかった。国連安保理から認められる可能性もないに等しかった。
 アメリカがイラク全土を実効支配して1年以上たちました。イラクに大量破壊兵器が隠されているのなら、高額の褒賞金目当てに科学者・技術者が当局にタレこんでいいはずだ。なのに、まったくない。というのは、もともとないからだ。著者のこの指摘はまったくそのとおりだと思います。にもかかわらず、アメリカもイギリスも、そして、それにいつものように追従する日本の小泉首相も自分たちの誤りを国際社会に対して認めようとしません。ひどい戦争屋たちです。

内部告発者

カテゴリー:未分類

著者:滝沢隆一郎、出版社:ダイヤモンド社
 うーん、よくできていました。東京の若手弁護士(38歳)が書いた小説ということですが、ともかく読ませました。損保会社内部のありそうな状況設定が簡潔に描かれ、雑誌記者の取材を受けただけなのに内部告発をした人間として会社から敵視されていくのです。裁判を取り巻く審理状況にも違和感なく、なるほどと思えます。
 弁護士が、自分の扱った題材などをテーマとして、素材から離れて小説化したら、すごく面白いものになると思ったものです。でも、自分は・・・?言うは易く、行うは難し、なのです。トホホ・・・。

奪還〜引き裂かれた二十四年

カテゴリー:未分類

著者:蓮池透、出版社:新潮社
 2004年10月10日現在、週間アクションに連載中の漫画ですが、大変読み応えのあるドキュメンタリーになっています。
作者は、北朝鮮の拉致被害者蓮池薫さんのお兄さん。『奪還総集編』として第11話まで掲載した漫画増刊号が販売されています。
 5人については帰還してめでたしめでたしで済ませている感のある報道では隠されている、拉致被害者本人と家族との
気持のすれちがいや日本政府の無責任な政治家の実名つきで指摘されています。報道は編集されてるんですね、未だに。
 ちなみに、漫画アクションは、女子高生コンクリート殺人事件をモチーフにした『17歳』という漫画も並行して連載しており(こちらも原作者は藤井誠二という上記事件を徹底取材したノンフィクションライターです)、とても『クレヨンしんちゃん』をかつて連載していた雑誌とは思われないヘビーな有り様なので(何せキャッチコピーが「タブーを斬れ!」ですから)、今度いつ休刊になるか分からないのですが、やはり漫画のもつインパクトは絶大で、まずは漫画から入ってもらえればと思います。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.