著者:村田信一、出版社:講談社
バクダットの表情をとらえた写真集です。やはり、こんな写真を見ないとイラク現地の人々の様子は分かりません。
イラクでは、ますます混迷が深まっている。戦闘が終わったとブッシュ大統領が宣言した03年5月以降のアメリカ軍の死者が500人をこえ、さらに増えつづけている。イギリス軍や国連・赤十字など、国際機関もすべて攻撃された。想像していた以上の事態だが、イラクという国を見誤り、その文化や宗教や人々の生活を軽視してきた当然の報いだ。
日本の自衛隊もアメリカに追随してイラクに入った。イラク人が要請した派遣でない以上、占領軍であり、また無駄な血が流されることになるだろう。サダム・フセインは捕らわれたが、大勢に変わりはない。最初に死んだ2人の外交官だけでなく、私たちはみな敵とみなされることになる。自衛隊の犠牲者はもちろん、その自衛隊に殺されるかもしれないイラク人たちの不条理な死に、私たちは思いを馳せることができるだろうか。
テレビや新聞などの大メディアは、アメリカのメディアの受け売りやアメリカ軍寄りの報道をくり返しているばかりで、イラクという国の実情やイラクの人々の表情は、ますます見えなくなっているような気がする。
写真もいいけど、キャプション(説明文)もなかなか考えさせられるものでした。
2004年8月1日