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2004年8月 の投稿

警察幹部を逮捕せよ

カテゴリー:未分類

著者:大谷昭宏、出版社:旬報社
 警察の裏金づくりは犯罪ではないのか。単に返金すればすむというものではないはずだ。しかし、警察本人が動かないのは当然(?)としても、検察庁は見知らぬフリをしているし、マスコミもまったく及び腰だ。報道はするものの、問題の本質をついたキャンペーンをはるなど考えられもしない。
 その点、北海道新聞は少し違うようだ。警察からの妨害にもめげずにキャンペーンをはったという。しかし、まだ今ひとつ追及しきれない。歯がゆいばかりだ。
 国松警察庁長官(当時)が狙撃されたときに住んでいたマンションはかなりの高級マンションだった(らしい)。長官の名目上の給料では手が届かないはずだと指摘されている。県警本部を2つほど歴任すると、餞別金だけで億に近い数千万円になると言われている。そんな裏金の仕組みを黙って許しておいていいはずがない。
 我々はもっと税金の使い道に目を光らせ、不正に対して怒らなければならないと思う。

幕末の天皇

カテゴリー:未分類

著者:藤田覚、出版社:講談社選書メチエ
 私は自分の無知を恥じました。私も「万世一系」の天皇という事実に反すると思っています。しかし、人々はずっと天皇と呼んできたとばかり考えていました。ところが、江戸時代の人々にとって天皇という言葉はまったくなじみのないものだったのです。「主上」とか「禁裏」と称し、正式の文書にも「・・・院」とされていたのです。10世紀末の62代・村上天皇を最後として、120代の光格天皇までの57代900年間、天皇という言葉は正式にも使われていなかったというのです。ええーっ・・・、本当に私は驚きました。天保11年(1840年)、光格上皇が死んだとき、光格天皇とおくられたので、江戸でも京都でも人々が一様にびっくりしました。
 さらに、元号と天皇をくっつける制度は明治天皇に始まったもので、それ以前はありませんでした。明治、昭和、平成とわずか3代の歴史しかないのです。
 天皇を頂点とする公家集団としての朝廷は、江戸時代中期には約10万石の藩という経済的実力をもっていました。
 江戸時代は、文書の宛先に対して「様」とするか「殿」とするか明確な違いがありました。「様」の方が「殿」より尊敬したいい方でした。書式上は、天皇と将軍は同等という扱いだったのです。なるほど、なるほど・・・。

栗林さんの虫めがね発見

カテゴリー:未分類

著者:栗林慧、出版社:フレーベル館
 すごい「虫の目カメラ」です。2年もかけてつくりあげた独創的なカメラです。1センチほどの大きさの虫たちが巨大な怪獣になり、しかも背景とともに鮮明な映像なのです。ピントをあわせたところ以外はボケるのが当然なのに、全体状況がくっきりして見ることができます。
 栗林氏には『アリになったカメラマン』など、たくさんの写真集があります。見るたびに感嘆します。それにしても、昆虫って、遠くに過ぎ去った幼いころの淡い思い出に浸らせてくれますよね・・・。

中国の社会階層と貧富の格差

カテゴリー:未分類

著者:李強、出版社:ハーベスト社
 中国の農業就業者の率は60%、日本の8%、アメリカ3%、フランス7%に比べて格段の大きさです。
 中国には档案という、個人の一生の経歴、家庭背景、親族の所属状況などを記載したものがありましたが、今は多様なタイプの企業が出現して突破されてしまいました。
 中国人の百万長者は1988年に5000人あまりだったのが、1993年に100万人をこえ、1995年には300万人以上とされています。
 中国の1980年代はじめに「脳体倒掛」という言葉があらわれました。肉体労働者の平均収入が頭脳労働者より高いという現象を意味しています。それがなぜなのか、人々を困らせました。しかし、今から10年前の1994年には「脳体正掛」に転換しました。頭脳労働者の平均収入の方が上まわるようになったのです。1993年の1年間で、政府機関をやめて新たな実業(ビジネス)に就いた知識人が30万人います。大量の頭脳労働者の「下海」は中国の民営者一般の素質を変えてしまいました。多くの知識人は「創収」を通して、最終的には「下海」の道を選んだのです。
 中国では「階級」という言葉に嫌悪感があり、利益集団とか利益グループと言いかえます。特殊受益者集団、一般受益者集団、相対的利益損失者集団、社会的下層集団という四つの利益集団があるとされています。いま中国には、「文人下海」という知識人が実業つまりビジネスをやる、「知本家」という知識を資本とする企業家という言葉があります。
 中国の都市貧困人口は3000万人いるとみられ、犯罪集団もふえています。
 単位の終身雇用制度に変化が生じ、都市においては、単位に帰属しない集団、たとえば自由業者、個人経営者、都市に入った出稼ぎ農民などが出現しはじめています。
 中国のいまを知るうえで役に立つ本です。

正しい戦争は本当にあるのか

カテゴリー:未分類

著者:藤原帰一、出版社:ロッキングオン
 新進気鋭の東大法学部教授のトーク本です。なかなか含蓄深い本でした。
 正義のための戦争は、欲得づくの戦争よりも、もっと苛酷で悲惨なものになる。宗教と戦争が結びつくと、戦争がどうしようもなく悲惨なものになる。
 日本人のイラク戦争への反応で一番びっくりしたのは、ただの無関心だった。日本に住むかぎり死ぬことはないから・・・。
  いまの国際社会では、デモクラシーではない政府は政府の資格がないというのが当然の前提とされている。これはアメリカの政策の結果では決してない。
 日本のこと、世界のことを改めて考えさせる本でした。

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