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2004年7月 の投稿

法律相談のための面接技法

カテゴリー:未分類

著者:菅原郁夫、出版社:商事法務
 私はときどき法律相談で大失敗をしてしまいます。相談者の期待に反した答えをしたから怒られたのではありません。私の言い方に腹を立てたのです。自分でも分かりました。いかにも相手を突き放した口調で、冷たく「そんなこと認められませんよ」みたいに言い放ったのです。一方の私は、こんなことを言ったら相手は怒るだろうなと思いつつ、もう一方の私が、ダメなものはダメなんだからキッパリ言ってやった方が相談相手のためにもなるんだと思ったのです。私は、くり返しダメな理由を説明したのだから、自分への慰謝料のようなつもりで、相談料5千円を当然のように請求しました。相談にきた女性(みな女性でした)は怒りました。あとで怒りと非難にみちた手紙を送ってきた女性がいます。私も、そのときには反省する心をとり戻していましたから、それなりに丁寧にお詫びの言葉を書き、相談料5千円を同封して返しました。
 この本は弁護士が相談者に対していかに接すべきか、基本を説いています。
 相手の心情に対して弁護士も共感を示す。質問は決して糾弾的になってはならない。できるだけゆっくりとした口調で、短く区切った質問をする方が効果的だ。法律相談でカウンセリング的対応をするためには、共感、受容、傾聴の3要素が重視される。相談者と弁護士という二人の人生が相談室で出会うと考えるべきだ。そこで弁護士は、相談者の人生の悩みや紛争を通して間接経験として学ばせていただいているという謙虚さが求められる。
 やはり、ときどき初心というか原点に帰ることが大切だと改めて思いました。

鳥の雑学事典

カテゴリー:未分類

著:山階鳥類研究所、出版社:日本実業出版社
 わが家の庭の常連は、キジバト、スズメそしてヒヨドリです。たまにカササギそれにジョウビタキがやってきて、メジロやツグミもときどき顔を見せます。春先にサクランボの実が赤く熟れていたときには、カワラヒワが30羽ほど群がってやってきました。スズメの大きさですが、背に黄色い帯があり、くちばしが肌色なので、スズメと間違えることはありません。下の田には白いチュウサギがじっと止まってカエルを狙っているのをよく見かけます。散歩の途中の小川にマガモが1羽ひそんでいたのには驚きました。下流の方で、橋の上からさかんにパンくずを投げている人々を見かけましたが、マガモにエサを与えていたのです。
 ツバメが4月に入ったとたんに路上を低く飛ぶのを見かけました。冬のあいだはどこにツバメはすんでいるのか不思議に思っていました。フィリピンやタイで冬を過ごしていることを、この本で知りました。2週間で2000キロも移動するというのですから、すごい速さです。
 鳥は小便をしません。そのかわり、ほとんど水を飲まず、食物中の水中だけで生きています。鳥の生態を知れば知るほど、良くできているものだと感心します。
 オシドリ夫婦は、実は浮気もの同士で、オスは、他のオスと浮気をしないようにメスに寄りそってガードしているだけ、というのです。オスは子育てにまったく関わりません。
 羽があって自由に空を飛べたら、どんなに気持ちがいいだろう。子どものころから私はずっと夢見てきました。

編集とは、どんな仕事なのか

カテゴリー:未分類

著者:鷲尾賢也、出版社:トランスビュー
 講談社現代新書の編集長をつとめた著者が編集とは何かを語った本です。モノカキ兼編集のプロを自称する私にとっても大変勉強になったことをまずもって告白しておきます。
 1970年ころ、出版産業はパチンコ業界と肩を並べていたそうです(ホンマかいな・・・?)。でも、今やパチンコ産業は17兆円(20兆円とも)。ところが、出版産業は、せいぜいその1割の2兆円でしかありません。
 本が読まれなくなりました。インターネットのせいとばかりは言えないと思いますし、インターネットが読書に代わるものとも私は考えていません。
 編集者は、人間が好きでないとやっていけない。少年の夢に似た憧れを抱きつづけられる持続力も求められる。あらゆることを面白がれる旺盛な好奇心の持ち主でないといけない。アンテナが四方に感応することが肝要だ。
 具体的な編集技術のノウハウまで公開された本です。大変勉強になりました。

シルクロード路上の900日

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著者:大村一朗、出版社:めこん
 西安からローマまでの1万2000キロを陸路ひたすら歩いた日本人青年の記録です。西安を出発したのが今から10年前の1994年6月14日。ローマにたどり着いたのが、なんと2年5ヶ月後の1996年11月6日。そして、7年かかって、その旅行記を完成させたのです。うーん、すごい。
 さすがに速読を誇る私も、一歩一歩たどるように活字を追っていく心境になりました。なにしろ、雨にうたれてトボトボ歩いて青年の姿を哀れんで、何台もの車がとまって「乗っていけ」というのを、心を鬼にして全部断り続けたのです。
 もちろん、著者は怖い思いを何度もしています。それでも、ああ、人間って、こんなに心のあたたかい人が一杯いるのか。読み手の心まで温ためてくれるシーンが何度となく登場してきます。世の中には、民族の違いはあっても、人間としての心の優しさは共通しているんだな。そう思わせてくれる、いい本でした。
 今、著者はテヘラン大学に留学中とのことです。こんな大変なことをやり遂げた青年が同じ日本人にいることを知って、私までうれしくなりました。今はやりの自己責任論の原点がここにあると思います。

藍色のベンチャー

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著者:幸田真音、出版社:新潮社
 外資系会社で債券ディーラーなどで活躍したあと、作家に華麗なる転身を遂げた50代初めの女性が、今度は時代小説に挑戦しました。近江商人が湖東焼という染付磁器に手を出し、彦根藩主・井伊直弼も巻きこんで事業を展開していくというストーリーです。歴史の真実は知りませんが、商売の基本もおさえていて、いろいろ学ばされる本です。
 なにより、現代ビジネスの最先端を走ってきた女性が、しっとりとした江戸情緒を見事に描き出しているのに感嘆してしまいました。

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