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2004年5月 の投稿

「うつ」を治す

カテゴリー:未分類

著者:大野裕、出版社:PHP新書
 うつ病に苦しむ人は世界的な規模で増加している。女性の5人から10人に1人、男性の10人から20人に1人はうつ病にかかる。発症しやすいのは25歳から35歳だが、何歳でも起こる可能性がある。さまざまなタイプのうつ病全体をあわせると、人口の10%から20%がかかっている。うつ病は多くの人がかかること、何度もかかることがある点で風邪に似ている。うつ病は、きちんと治療しないと、何度も繰り返す可能性が高い。うつ病は慢性化しやすい病気であり、死につながる危険性のある病気でもある。
 この本には人づきあいが楽になる10のヒントが紹介されています。私にも大変参考になりました。1、自分をもっと認める。2、他の人のことをもっと認める。3、問題点は何かを具体的に考えてみる。4、完璧な人間関係はない。5、意見の食い違いを恐れすぎない。6、言いづらいこともしっかりと伝える。7、言葉に頼りすぎない。8、思いこみから自由になる。9、思い切って自分流を捨てる。10、困ってもよい。困ることを恐れず、自分を信じ、相手の人を信じて、しんぼう強くつきあううちに、また新しい人間関係ができあがっていく。
 うつ病は、たとえてみればガソリンがきれてしまった自動車のようなものだ。いくらアクセルを踏んでも、ガソリンが入っていなければ車は走れない。「がんばれ」と励ましても、それは「動かない」と焦っている人に「早く車を動かせ」と言っているようなものだ。ガソリンが入るまで、つまり精神的なエネルギーがわいてくるまで、辛抱して待つことが大切だ。
 うーん、そうなんだ・・・。うつ病の治療には薬が効果的のようです。そして、そのとき、一定の投薬量を生涯飲み続ける方がいいこともあるようです。たとえていうと、高血圧の人がずっと薬をのんだ方がいいのと同じだということです。勉強になりました。

それでもヒトは人体を改変する

カテゴリー:未分類

著者:グレゴリー・ストック、出版社:早川書房
 遺伝子を付加する方法がわかれば、よりすぐれた人類をつくりだせるとすれば、なぜそれをしてはいけないのだ?
 この疑問に真正面からこたえ、それを否定するには、人間とは何かということまでさかのぼるというような、かなり根本的なところまで考えぬく必要があります。
 アメリカでは、エリート大学に属する学生は民族的にも文化的にも以前よりずっと多様化しているが、彼らは全人口のなかの限られた層の出身である。1990年にエール大学とハーバード大学にアメリカの全大学生の400分の1が入学したが、成績優秀な学生の10分の1が含まれていた。超一流大学への知的エリートの集中は新しい現象だ。
 この本は、次のような問いを投げかけています。あなたは体外受精と遺伝子工学とをつかって安全に赤ん坊の能力を増強するのが可能だとする。そのとき、あなたは子どものIQ値を20ポイント上げるようにするか?もし、そうしないとき、子どもが大きくなったときに、なぜ、ほかの子どものように自分の頭がよくないのかと尋ねられたとき、どう答えるか?うーん、本当にそんな時代がやって来るのでしょうか・・・?

白土三平論

カテゴリー:未分類

著者:四方田犬彦、出版社:作品社
 今から30年前の学生で白土三平の『カムイ伝』をまったく読んでいない人は、どれだけいただろうか・・・。少しあとに出てきた『ゴルゴ・サーティーン』も人気が高かったが、白土三平のマンガには、なにより香り高い思想性があった。しかし、人物描写は決してスマートではない。いかにも劇画調で、いささかの泥臭さがあった。でも、自然の風物がふんだんに登場してきて、一揆というのはこういう状況だったのか、と勉強になったものだ。
 私の生活していた学生寮では、白土三平が連載していた『ガロ』は、『ジャンプ』や『マガジン』などとは違った愛読者がいて、奪いあうようにしてまわして読んでいた。
 340頁もあるこの本で、私たちは白土三平について、その生いたちからたどることができる。父親が左翼美術家の岡本唐貴だということを知り、白土三平が信州の真田村に疎開していたことも分かる。白土三平の自然の風物は、この子ども時代の原体験をもとに発展させられたものだ。
 ところが、1960年代にあれほどもてはやされていた白土三平が、東大・安田講堂の落城、そして連合赤軍内部で「総括」と称する大量殺人がなされていたことが明らかになったあと、急転直下、見向きもされなくなってしまった。私も、そう言えば『ガロ』を読まなくなった。なんだか、いつまでも暗くて泥臭い雰囲気を敬遠してしまった。
 この本は、白土三平のマンガをところどころで紹介しながら、その思想的な変遷をふくめて、刻明にたどっている。白土三平を語るこの本を、単なるノスタルジーの本と切って捨てていいのか。私にも、いろいろ考えさせられるところがあった。

アメリカの正義の裏側

カテゴリー:未分類

著者:スコット・タイラー、出版社:平凡社
 元カナダ軍人のジャーナリストによるコソボ紛争の実情を現地レポートした本です。
 NATOの空爆は、150億ドルものミサイルや爆弾を投下したものの、78日間で、わずか13両の戦車を破壊しただけだった。アメリカのオルブライト国務長官は、1999年にミロシェヴィッチをヒトラーになぞらえて批判した。しかし、実は、その前の1996年には「平和の人」ともてはやしていた。
 ユーゴスラビアの内戦について、私は正直言って何が正しいのか、どこが間違っているのか、よく分かりません。でも、ひとつ言えることは、ジャーナリストがけたたましく叫びたてている「事実」は決してうのみにしてはいけないということです。セルビア人とアルバニア人の双方に過激派が存在している以上、単純にどちらかを全面的に悪いと決めつけるのは間違っているように思います。過去のいきさつを捨ててでも、なんとか平和共存していかなければならないからです。そうでないと、民族が違う、宗教が異なるというだけで殺しあい、その憎悪の連鎖は止まらないでしょう。
 アメリカのコソボ介入の本当の目的は、コソボにアメリカ軍の基地を手に入れることだったのではないか。訳者は、そのように解説しています。イラク復興で有名になったアメリカの建設会社ハリバートン社が、周囲14キロ、内部には300もの建物が立ち並ぶ3つの居住地区とショッピングセンター、教会、図書館、24時間営業のスポーツ施設、ヨーロッパ最高水準の病院まである基地をつくりあげました。このボンドスティールの基地は、中東からカスピ海までをカバーする最大規模の海外基地だというのです。
 アメリカによるマスコミ操作の怖さを、ここでも感じました。

けっこん、せんか

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著者:檀ふみ・阿川佐和子、出版社:文芸春秋
 この2人の女性は、ともに有名作家の娘であり、慶応大学卒業であると同時に50歳になろうとする(なった)今も、なぜか独身であるという共通性がある。
 2人とも知的であり、美人である。結婚願望がない(かった)わけでもない。しかし、本人たちが言うように男運には恵まれなかった。『ああ言えばこう食う』『ああ言えばこう嫁行く』『太ったんでないのッ!?』どれも読ませるし、笑わせる。
 女同士の絆はもろい。女友達が長続きしないと言われることを、まんざら的はずれではないと思っている。アガワサワコはこう言う。しかし、なぜかこの2人の女性はお互いを悪しざまに罵倒しあうのに、20年来の友人であり続け、その対談集というか共著が爆発的に売れて、お金を稼げるまでになっている。不思議な女性(ヒト)たちだ。
 女は、男のように、暇さえあれば引き出しのなかから「過去」という思い出を引っ張り出し、ウジウジぐずぐずロマンチックな気分に酔いしれるような動物では決してない。
 うーん、そうなのかー。トホホ、マイッタネ・・・。いつまでもウジウジしている私は泣けてくるばかりだ。オビに恋を語るとあるが、実は、そんなことはない。この本には結婚願望をめぐるバトルはあっても、恋は真面目に語られてなんかいない。家族は語られている。それぞれの父たる有名作家の素顔が描かれ、父と娘の関係は語られている。しかし、敬遠しているのは似ているからで、「結婚」相手も父親に似たような人になりがちだ(なってはいない)という。いつまで続くコンビなのか。おばあさんになっても続くかもしれないなと思わせる序文とあとがきではあった・・・。

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