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2003年10月 の投稿

地球のすばらしい樹木たち

カテゴリー:未分類

著者:トマス・パケナム、出版社:早川書房
 地球上には、まだたくさんの巨樹、奇樹、神木が残されている。それを訪れ歩き、写真を撮る。樹齢46000年とか、樹高80メートルとか、いかに人間がちっぽけな存在であるか、写真は雄弁に語っている。
 日本のクスノキも神木として紹介されている。いろんな形の樹があるが、なかでも私の目を魅きつけてやまなかったのは、マダカスカルにあるバオバブ・アベニューの日没の写真。夕焼けの鈍い黄金色に20本ほどのバオバブが照り輝いている。まさに息をのむ美しさだ。

リンボウ先生の書斎のある暮らし

カテゴリー:未分類

著者:林望、出版社:知恵の森文庫
 林望先生は自宅地下に22坪の書斎をもっているそうです。1万5千冊入るので大丈夫のつもりだったようですが、既に満杯とのこと。私も小さな書斎をもっていますが、本格的な書庫まではもっていませんので、うらやましい限りです。知的生活を送る人は、やはり本は極力保存すべきだという考えに同感します。ニュースをテレビだけで観ている人には批判が育たない。テレビの記者なりデスクなりが一定の考え方のなかで取捨選択して一定の枠をはめた(かなり窮屈に誘導された)考えしか出てこないのがテレビというもの。そこには手垢のついたニュースしかない。少しずつでも毎日継続していくと絶対力になる。何事も10年やれば、ものになる。私も30年間、毎日ラジオ講座を続けて聴いてフランス語が分かるようになりました(この夏、ついに仏検の準一級に合格!)リンボウ先生は常にワイシャツの胸ポケットに80円のペンとスパイラルメモ帳を入れている。メモ帳は動く書斎。地道な仕込みがあって、ものを書ける。
 私も、ポケットにいつもメモ帳を入れ、極細の水性ボールペンと赤エンピツを手離しません。自動車を運転中でも、メモ用紙とサインペンを助手席に置き、信号停止中に書きつけるようにしています。 忙しいからこそ趣味が必要となる。仕事で疲れた神経を鎮める力として、全然違う神経を使うカウンターパワーが必要になる。趣味がないということは、その人の人間性が乏しいということにほかならない。リンボウ先生は私と同じで二次会には一切つきあわないということです。世の中には、そんな変人が多いことを知って、改めて安心しました。

松本清張の時代小説

カテゴリー:未分類

著者:中島誠、出版社:現代書館
 松本清張は40年の作家生活のなかで1000点の著作を世に出したそうです。私も、松本清張はかなり読んだつもりでいたのですが、それを知って、おっとっとと腰がよろめいてしまいました。学生時代に読んだ『昭和史発掘』シリーズなど、今でも読後の興奮を忘れることができません。世の中って、こんなことになっているのか。怒りをこめた驚きが私の身体の芯を貫いたのです。
 この本を読むと、実は、読んだつもりの松本清張をいかに読んでいないか、思い知らされます。もちろん、『西郷札』など、いくらかは読んでいるのですが、まだまだ読んでいない方が圧倒的に多いのです。
 北九州市にある松本清張記念館に一度だけ行ったことがあります。清張の作品が映画化されたものが、ビデオで紹介されていたり、清張の書斎が再現されていて、とてもいい記念館でした。独学で英語もできたという清張に少しでもあやかりたいと願い、私もフランス語を続けています。いずれフランス語でも小説を書いてみたいと思っているのです。

江戸夢あかり

カテゴリー:未分類

出版社:学研M文庫
 久しぶりに山本周五郎を読みました。司法修習生のとき(いつのまにか30年も前のことになってしまいました)、同じ横浜修習の庄司さんが山本周五郎にいれこんでいるので読んでみたのが初めです。『さぶ』とか『赤ひげ診療譚』など、江戸情緒たっぷりの人情話に私もぐいぐい魅きこまれ、すっかり耽読したものです。
 この本は「市井・人情小説傑作選」と銘うち、宮部みゆきもはいっています。いずれの話もしばし、しっとりとした江戸情緒に浸ることができます。日本人の人情って、昔から変わっていないんだな。ほろっとさせられたり、冷やっとしたりします。物売りの声やカランコロンという下駄の音とともに江戸の香りが漂ってきそうな短編を、秋の夜長にじっくり堪能してはいかがでしょうか?

朝陽門外の虹

カテゴリー:未分類

著者:山崎朋子、出版社:岩波書店
 私は、大学1年生のとき、先輩に誘われて5月病の危険もあった心の空間を埋めるべく、耳慣れないセツルメントなる学生サークルに入った。以来、大学を卒業するまで、どっぷりセツラー生活に浸った。この本は久しぶりにセツルメント・ハウス(愛隣館)が登場し、本当になつかしかった。私の活動した地域はスラム街ではなく、下町の労働者住宅地であったが、そこにもセツルメント診療所があり、学生セツラーのためのセツルメント・ハウスがあった。
 この本は、東京の桜美林大学の創始者である清水安三(敬称は略させていただきます)が、戦前の中国・北京のスラム街のまっただなかに少女たちを集めて学校をつくった経緯を紹介している。もっとも成績優秀な女の子が、実は小さな娼婦であったこと、それを知りながら日本に送って勉強させたが、帰国して教員にしたところ中国人の父兄から排斥されたことなども語られている。
 この女学校には中国人だけでなく、朝鮮人も日本人も学んでいて、戦後まで無事に生き延びて活躍した女性からの聞きとりもあり、涙なくしては読めない。中国大陸に侵略した日本人がすべて残虐行為ばかりしていたわけではないということを知って、少し救われた思いだった。

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