会長日記

2026年10月1日

会長 池田 耕一郎(50期)

本年度福岡県弁護士会執行部がスタートして半年が経過しました。

弁護士会の運営における日々の課題への対応とともに、会長立候補時の所信で掲げた施策は継続して実行していきたいと思っています。その中でも会員の事務所運営の基盤整備に資するセミナー等の準備を進めています。開催にあたってはあらためてご案内いたします。

弁護士業務改革シンポジウムの開催

9月5日(土)、福岡市の西南学院大学キャンパスを会場として日弁連主催の第24回弁護士業務改革シンポジウム(業革シンポ)が開催されました(西南学院大学には多大なお力添えを賜りました。)。

業革シンポは、弁護士業務に関わるテーマについて、最先端の研究成果、情報を共有し、会員の業務、諸活動に活用してもらうことを目的として開催されています(隔年開催)。今回の業革シンポには、会場・オンラインをあわせて業革シンポ史上最多の2000人以上の参加申込みがありました。

福岡県での開催は、1989年(平成元年)1月(当時は「弁護士業務対策シンポジウム」)以来37年ぶりでした。約2年にわたり日弁連事務局及び運営委員会と準備を進めてきたことを振り返ると感慨深いものがあります。当会製作のノベルティグッズも好評で、ランチマップを活用しましたという多くの声も聞きました(いずれも日弁連から開催地の地元弁護士会に割り当てられる予算で製作したものです。)。事前準備から当日の誘導、分科会等の受付まで、当会実行委員会の委員にご尽力いただき、滞りなく開催できましたことにあらためて感謝いたします。

荘厳なチャペルでの全体会の後、8つの分科会及び4つのワークショップが開催されました。AIによる業務効率化、弁護士が支援する「食と農」など、時代を表すテーマと共に、これまでにも取り上げられてきたテーマに関してもさらに深化させた情報が提供されました。業革シンポの意義は、その内容を活用し実践することにあります。各分科会・ワークショップには、当会の多くの会員が携わりましたので、ぜひ、業革シンポでの知見や人的関係を活かして、新たな企画を立てる展開を期待します。

釜山地方弁護士会との交流

当会執行部、国際委員会委員を中心に、9月17日(木)から19日(土)にかけて釜山地方弁護士会を訪問しました。

当会と釜山地方弁護士会との交流は、1990年から始まり、36年の長い歴史があります。毎年交互に訪問しており、昨年度は釜山地方弁護士会の皆様に福岡にお越しいただき、本年度は当会が釜山地方弁護士会を訪問しました。

釜山地方弁護士会との交流に関する詳細は月報11月号において報告される予定です。

17日の空港到着時には、廉正旭(ヨム・ジョンウク)国際委員長をはじめとする皆様から花束で歓迎していただきました。同日夕刻、私と松井仁国際委員会委員長は、金容敏(キム・ヨンミン)会長との会食に臨み、釜山地方弁護士会と当会のそれぞれの実情について情報交換しました。釜山地方弁護士会では、同好会活動が盛んで、ベテラン、中堅、若手会員が同好会で交流する中で経験や知見を受け継いでいく伝統があることなどをうかがいました。当会も、委員会活動や研究会その他の機会を通じて世代を超えた交流がなされ、様々なノウハウや心構えが承継される伝統がありますが、釜山地方弁護士会の場合には趣味に特化した交流が広く行われているところに特色があると感じました。

18日、ホテルを出発した後、釜山地方弁護士会での懇談、釜山地方裁判所における所長との懇談、裁判官の講義・質疑応答、検察庁での検事長(韓国では検事正ではなく検事長あるいは地検長と呼称されます。)との懇談、心理分析を通じた捜査手法の解説(実際の機材等に触れながらの説明)、現役検察官との質疑応答が行われました。日本と韓国の身体拘束手続の実際の運用面での相違などにも話が及び、当会が様々な提言をしていくうえで貴重な示唆を得ることができました。韓国では、従前の検察庁が廃止され、10月2日から新制度が発足しました。まさに韓国検察庁の最後の時期に訪問したことになります(質疑応答では、検察庁の廃止に関する現場の率直な意見を聴くこともできました。)。

夕刻からは、釜山地方弁護士会との討論会、その後の晩餐会、二次会と続きました。

近年の釜山地方弁護士会との交流は、実務面での情報交換も大きな意味を持っています。本年度の討論会のテーマは「法律分野におけるAI活用の現況と法的・制度的課題」でした。釜山地方弁護士会の李龍珉(イ・ヨンミン)国際理事、当会の原智輝会員から、弁護士業務における生成AIの利活用の積極面での報告と今後の展望について報告がなされるとともに、司法分野における証拠の偽造変造の可能性、非弁行為の助長の危険性、ガイドラインの在り方、さらには、生成AIの活用が進むことによる法律事務所における弁護士の採用数の減少の可能性など、踏み込んだ議論がなされました(韓国では、他士業の例として生成AIの発達が採用者数の減少に結びついているとの分析があります。)。熱い議論が交わされ、参加者全員が、生成AIの利活用の在り方について多角的な考察を深める貴重な機会となりました。

来年度は当会が釜山地方弁護士会の皆様をお迎えする立場になります。

本年度釜山地方弁護士会から受けた温かく充実した対応を当会においても実行できればと思います。

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