会長日記

2016年3月

会 長 斉 藤 芳 朗(39期)

1 処理遅滞・報告遅滞の回避【会員各位へのお願い】

  1. 小職らの任期もあとわずかとなりました。別れ際に一つお願いがございます。それは、依頼を受けた案件の処理及びその報告を遅滞しないように、という点です。
  2. 第一に、事件処理の依頼を受けた案件につきましては、示談交渉を進める手紙を書く、提訴又は申立てをするといった具体的な作業に、早めに取りかかっていただきたいと存じます。それなりの期間事件処理を放置しておけば、その放置は職務怠慢との評価を受けることとなります。(弁護士職務基本規程35条には、「弁護士は、事件を受任したときは、速やかに着手し、遅滞なく処理しなければならない」と定められております。)
    時間の進み方をどのように感じ取るかについては、人それぞれでしょうが、苦情の申出がなされ、又は懲戒申立てがなされた場合には、事件が放置されたままになっていた時間(放置期間)については、第三者の立場から、遅滞なくと評価できるか否かについて判断されることとなります。今更ですが、時間というのは思ったよりも早く進むものであることを是非念頭に置いていただきたいと存じます。
  3. 第二に、法律相談センター経由又は法テラス経由で受任した事件については、処理に着手し、又は処理が終了した場合、センター又は法テラスに対して報告書を提出することとされております。この点も是非励行していただきたいと存じます。簡単な書類を提出するだけで、手間を取らせるものではありません。
    現実に、多数の未報告案件を抱えている会員の方がおられます。着手したけど報告しないのか、又は着手すらしていないので報告できないのか判然としませんが、いずれにせよ、報告していない以上、一定の不利益や制裁を課せられてもやむをえません。(特に、法律相談センターの場合、弁護士報酬の一定割合を負担金としてセンターに拠出していただいておりますが、報告書が提出されない以上、負担金の額を算出することすらできません。真面目に報告し、負担金を拠出していただいている会員との関係においても、見過ごすことはできません。)

2 気軽に第三者に相談を【会員各位へのアドバイス】

  1. 会員の不祥事の多くは、故意によるものですが、なかには過失によるものも散見されます。自分としては「良かれ」「この程度は」と思っての受任が命取りになりかねません。
    このような場合、第三者の意見を聞くように努めることをお勧めします。第三者は、同じ事務所の弁護士でもよいし、委員会で知り合った弁護士でもよいですが、弁護士会が選任しているサポート弁護士を選択することも可能です。サポート弁護士とは、27期から57期まで、15名の、気軽に電話できる弁護士で、会員専用HP上に表示されております。相談内容については秘匿されます。
  2. 「こんな事件を受任しても大丈夫かな?」と気付く力は、会員各位で身につける必要がありますが、気づけば、あとは、相談すればよいわけです。このような相談によって、過失による不祥事の大半は回避することができると思います。
    是非、気軽に相談されるようお願いします。