会長日記

2014年4月 この1年を振り返って

会 長 橋 本 千 尋(36期)

■任期の満了

3月31日をもって福岡県弁護士会の会長の任期を終えましたので、現時点では退任しておりますが、4月号では新会長が就任のご挨拶を掲載する関係で、今回まで前年度の会長がこの欄を担当することになっています。5月号で退任の挨拶をさせていただきますので今回まではこの会長日記にお付き合いを願います。

■挨拶回りの効能

当会会長の仕事は就任時の挨拶回りから始まります。昨年の本誌5月号で「会長事始め」で述べたとおりです。

そのときに対応していただいた様々な方々と、その後、弁護士会の活動の中で再びお目にかかりました。例えば、同じプロフェッションである医師の団体にもご挨拶にうかがいましたが、福岡県医師会の松田峻一良会長は、福岡県高齢者総合相談事業運営委員会の委員長を務めておられ、私も同委員会の法律専門職団体会長として委員として列席し、お話しする機会を得ました。また、福岡市医師会の江頭啓介会長は、福岡市要保護児童支援地域協議会の会長を務めておられ、私は同協議会の副会長として会議で席を並べることになりました。このように挨拶回りで得た面識は、様々な形での関係諸機関の活動に加わる当会の責任者として非常に役に立ったと考えています。

■役職の兼務

日本弁護士連合会の理事や九州弁護士会連合会の副理事長を兼務するということやその役職の内容は、昨年の本誌6月号で「重責兼務」と題してご紹介しました。

■全国的な課題と取り組み

全国的な課題は本当に難問山積状態でしたが、強く印象に残っているのは、司法修習生の給費制復活に向けての活動と特定秘密保護法に反対する活動です。前者については、昨年の本誌8月号で「給費制の復活を」と題し、貧しい者は法律家を目指せなくなる!と訴えました。後者については、同法成立を受けて1月号の「旅の途上で」と題して思いを述べました。いずれについても今後の粘り強い活動が必要だと考えています。

■九弁連での課題と取り組み

この欄ではご紹介できなかったのですが、九州・沖縄地区の弁護士過疎地対策の主力事業である「あさかぜ基金法律事務所」の経営危機が最重要課題でした。同事務所は、過疎地の事務所に赴任する弁護士を養成する事務所です。昨年8月も鹿児島県の奄美群島内の徳之島に初めて弁護士事務所を開設する等の成果をあげてきました。しかし、毎年、新人弁護士が入れ替わる養成事務所は経営基盤が構造的に弱く、同様の事務所を運営する北海道弁連、東北弁連と共に日弁連に更なる援助を要請するという事態に至っています。

■当会の課題と取り組み

最大の課題は、不祥事により失墜した当会の信用回復でした。昨年5月の定期総会で「不祥事の根絶をめざす宣言」を決議し、前年度の古賀会長の方針を引継ぎ、預り金口座の届出制度など全国でも一番厳しい制度を実施し規律の回復に努めました。これからも、更に総合的な対策を講じて不祥事の根絶を目指して努力する必要があると考えています。

当会のかかえる課題も多岐に及んでおり、若手会員も増えたことから、「弁護士会の三権分立」(7月号)、「弁護士会の国際交流」(9月号)、「法律相談活動の30年」(10月号)、「会長声明」(11月号)、「弁護士会の相互交流」(12月号)、「広告の時代」(2月号)など、角度を変えて弁護士会の実情をご紹介してきました。

各位の参考になれば幸いです。