会長日記

2023年5月1日

会長 大神 昌憲(48期)

◆続・挨拶回り

皆さま、こんにちは。

前回の会長日記ではちょうど100か所ほどを回った旨ご報告いたしましたが、現時点では138か所を回り終え、残るは筑豊部会管内の11か所と福岡県選出の国会議員の事務所(残り24か所)その他3か所となりました。

これまでの挨拶回りの中で印象深かった話を紹介させていただきますが、ある国の領事は、福岡は企業・大学・行政が連携したエコシステム(環境に優しいシステムのことではありません!ビジネスやIT業界等において、同じ分野の企業の製品同士が連携する、あるいは異業種の企業がそれぞれの技術やノウハウを共有しながら、収益を上げていく構造を意味します。)の確立を目指しているようだが、高度な技術を有する外国人を福岡に招き入れるのであれば、そのような外国人が安心して暮らせる街づくりをしなければならない、特に、医療の分野や刑事司法の分野が重要である旨おっしゃっていました。

日本は今後少子高齢化が進み、外国人労働者が増えていくことが予想されますので、医療の分野でも、司法の分野でも、言語対応の問題を含め、グローバルスタンダード化が重要であることを認識させられました。

◆再審法の改正問題議

今年度初めての日弁連理事会が4月13日から2日間にわたって開催されました。

日弁連の定期総会(6月16日午後0時30分より大阪弁護士会館において開催されます。)において採択予定の決議案や宣言案等、多数の議題が審議されましたが、なかでも今年度の日弁連の重要課題の1つとして、刑事訴訟法・第4編「再審」(以下「再審法」)の改正問題が取り上げられました。

わずか19条の条文しかない現行再審法は、70年以上にわたり一度も改正されておらず今日に至っています。

このような現行再審法は様々な問題を抱えていますが、特に問題視されているのは
(1)証拠開示が制度化されていないこと
(2)検察官が再審開始決定に対し不服申立てができること、の2点です。

今年3月に再審開始決定(静岡地裁2014年3月27日)が確定した袴田事件においては、再審開始の決め手となった証拠は最初の再審請求(1981年4月)から約30年が経過した後にようやく開示されたものです。

また、この静岡地裁の再審開始決定が確定に至るまで9年もの年月を要したのは、先進諸外国では認められていない再審開始決定に対する検察官の不服申立権が認められているからです。

日弁連は、5月12日に再審法改正問題について国会議員に対する一斉要請行動を取る予定ですが、私も日弁連理事の一人として微力ながら福岡県選出の国会議員に対する要請行動を行いたいと思います。

◆ローエイシア福岡人権大会のご案内

今年9月2日(土)から4日(月)まで、ローエイシア(LAWASIA)(アジア・太平洋地域の法曹団体および法律家の団体)の人権大会が福岡県弁護士会館で開催されます。昨年度の常議員会の承認を得て、当会は、日弁連とともに、ローエイシア福岡人権大会を共催します。 そのため、ローエイシア福岡人権大会準備委員会を立ち上げ(今年度の第2回常議員会で承認されました。)、万全の準備を行い、ローエイシア人権大会の円滑な運営を図る所存です。 予定されているテーマは以下のとおりであり、国際的な人権問題に触れることができる貴重な機会です。一般の方も参加可能ですが、有料です。申込は6月初旬開始予定です。
(1) 武力紛争や大規模人権侵害(被害者救済のための弁護士会の協働)
(2) 入管難民問題・外国人の司法アクセス
(3) 刑事司法協力を阻む死刑その他の刑罰制度
(4) 地球温暖化と子どもの権利
(5) ジェンダー暴力に対する国境を越えた取り組み
(6) ビジネスと人権に取り組む(弁護士の国際的ネットワークに向けて

ローエイシア福岡人権大会