会長日記

2016年5月15日

会 長 原 田 直 子(34期)

福岡県弁護士会のHPにおいでいただきありがとうございます。

西南学院創立100周年 おめでとうございます。

5月14日、西南学院創立100周年記念行事にお招きを受け、参加させていただきました。

当会にも西南学院出身の会員がたくさんおられご活躍いただいています。また、毎年、当会の主宰するジュニアロースクールでの会場をお借りしており、お世話になっておりますし、西南学院大学の先生方にも、法教育、虐待問題、法曹養成等多くの分野でお力を貸していただいております。当会の会員のお子さんたちも多数学院に通っており、大変近しくお付き合いさせていただいておりますことを、感謝申し上げます。

私は、西南学院創立100周年にあたっての平和宣言を拝見いたしまして大変感動いたしました。

100年前といれば、1916年、世界は第一次大戦の真ただ中で、ベルリンで予定されていたオリンピクが中止されました。1917年には日本もヨーロッパ戦線に参戦し、代わりに中国や南洋諸島におけるドイツ権益を引き継ぐことを英米諸国に認めさせて、大東亜共栄圏への道を突き進んでいく時代でした。

その後の30年は、キリスト教主義に基づく学校としては大変なご苦労があったと推察いたします。創設者のご家族を含む多くの外国人教員は帰国を余儀なくされたそうです。しかし、その時代を振りかえり、「平和と人権を大切にする学校」として、戦争責任・戦後責任の告白を踏まえ、「自国本位の価値観を絶対視し、武力・暴力の行使によって人々の尊厳を抑圧するという過ちを二度と繰り返すことのないよう」決意されたと述べられ、今の時代に大変重要な教えであると思いました。

弁護士会は、基本的人権と社会正義を実現することを使命としております。そして、国内においては、基本的人権の尊重、平和主義、国民主権を3本柱とする日本国憲法を大切にし、世界の各地で行われている武力紛争の平和的解決に貢献する日本を目指して、活動しております。これは、西南学院の建学の精神とも共通するものと思っております。

今後とも、人権と平和を大切にする心を一つにして、様々な活動をご一緒させていただくことをお願いいたします。

今年も司法試験が行われました

5月15日、司法試験の受験生に、ご苦労様のビラ配りをしました。

現在、法曹資格(弁護士、裁判官、検察官になる資格)を得るためには、法科大学院を卒業して司法試験合格、あるいは司法試験予備試験に合格した上で司法試験に合格し、1年間の司法修習を終了しなければなりません。今年は5月11日から15日まで司法試験が、15日には司法試験予備試験の短答式試験が行われました。

皆さま、司法試験ってとっても難しい試験!ということはご存知でしょう。私が合格した36年前は、大学卒業後何年も勉強して合格する方が沢山いました。12年前に法科大学院という制度ができ、法曹に多様な人材を求め、頼り甲斐のある司法を実現することを目指しました。しかし、大学卒業後、さらに法科大学院へ行くためには経済的負担が大変です。法科大学院に行かなくても受けられる司法試験として予備試験制度ができましたが、合格者の人数は限られています。

さらに、2011年からは司法修習生に対する給費制が廃止されました。

4年制大学を卒業して、法科大学院に入り(最短でも2年)、約半年は司法試験の発表待ち、さらに1年間の司法修習を受けるとなると、学費、生活費を含め多額の費用がかかります。奨学金や修習中の貸与金をうけ、法曹になったときには、数百万円から1000万円近い負債を負っている人も少なくありません。これでは、豊かな家庭に育った人でないと法律家になれないことになってしまいます。また、基本的人権擁護と社会正義の実現という弁護士の使命を果たすために、手弁当で仕事をするということも難しくなってしまいます。現に、法曹志願者は激減しており、多様な知識や経験をもった人々が法曹になるという目標からは、遠い制度になっています。

そこで、弁護士会では、司法修習中の修習生に対して、給費制の復活、またはなんらかの手当てを支給するよう求めて運動しています。国会議員の方々の過半数をから賛同のメッセージをいただき、もう一歩というところに来ています。

法の支配と社会正義の実現に高い志を持つ方々が、出身や経済基盤に関わらず法曹を目指して夢を実現できるよう、市民の皆様のご支持とご協力をお願いいたします。