会長日記

2017年3月15日

会 長 原 田 直 子(34期)

福岡県弁護士会のHPにおいでいただきありがとうございます。

日に日に春の気配が感じられるこの頃、あと一週間もすれば、桜が開花しそうです。杉花粉の飛散もピークをすぎ、本格的な春が待たれます。

巣立っていく子ども達を思い、複雑な心境の保護者の方もいらっしゃるかもしれません。それでも春は心を浮き立たせますね。

南スーダンからの自衛隊の撤退

3月10日、安倍首相は南スーダンからの自衛隊の撤退を発表しました。 振り返ってみれば、

  • 2015年9月19日、世論の反対を押し切って安保関連法を強行採決で成立させ、
  • 昨年7月、現地の自衛隊が作成した日報に「戦闘」という言葉が記載され、また宿営地が襲われたのではないかという報道もあって、「戦闘地域」である南スーダンに自衛隊を派遣することは憲法に反するという議論の中
  • 10月に稲田防衛大臣がジェノバを訪問して治安は落ち着いていると報告したので
  • 11月15日には自衛隊に駆けつけ警護の任務を付与して当たらな舞台を派遣した

のです。

ここまで強硬にことを進めながら撤退するというのは、それだけ治安が悪化しているのかと思いますが、政府の発表では「南スーダンの国つくりが新たな段階を迎える中、自衛隊の施設整備は一定の区切りがついた」として自衛隊を撤退させるとされています。

もし、本当に治安が安定し、新たな国つくりの段階なのであれば、今こそ平和憲法を持つ日本が、武力ではない人道支援を行い、国の再建のために力を尽くすべきではないのでしょうか。銃を持つ少年兵、連れ去られ集団レイプされる少女や女性達の記事や写真を見るたび胸が痛みます。

軍隊ではなく、文民警察と人道支援という本来の意味でのPKO活動が展開されることを祈ります。

国際女性デーに思う

3月8日は国際女性デーでした。1904年3月8日にアメリカの女性労働者が婦人参政権を求めてデモを行ったことがきっかけです。1910年にコペンハーゲンで行われた国際社会主義会議で「女性の政治的自由と平等のために戦う」日として提唱され広がっていきました。日本では1923年3月8日に初めて取り組まれましたが、反対派の妨害もあり、40分で警察から解散させられたそうです。

国連では1975年の国際婦人年に「国際女性デー」が実施され、1977年に国連総会で、3月8日を「国際女性デー」とすることが決議されました。

世界中で様々な取り組みが行われており、ハリウッドの女性スター達も応援するメッセージを発信しています。

2017年の国際女性デーのテーマは「変化する仕事の世界における女性達、2030年までのプラネット50:50を実現しよう」です。このテーマにちなんで、3月10日あすばる主催で行われた「プロフェッショナルな組織を動かす女性達」というテーマのセミナーに出席しました。北部九州税理士会副会長の吉田扶久子さん、福岡県中小企業診断士協会常務理事梅山香里さん、福岡県弁護士会会長の原田の3人でのセッションでしたが、それぞれ子育てや仕事のバランスをとりながら働き続けた経験や、組織の中でのポジションなどを率直に話しました。集まった方は、私から見れば、10年、20年前の私のようにもがきながら仕事を続ける女性達という感じで、その後の懇談を含め楽しいひと時でした。

国際女性デーの企画ではありませんが、13日は私の所属する法律家団体の福岡支部で、女性弁護士の集まりを行いました。夜の集まりは難しいのでランチ会でしたが、子育て真っ最中の方が多く、「大変!」という声が一様に聞かれました。私はつい「いつも大変だから、今だけ大変と思わないで!」と言ってしまいましたが、言葉足らずだったなと思います。仕事はいつも大変、子育てもいつも大変、介護もあります。子どもがいないと、仕事がどっと押し寄せます。だから少し荷物を減らしてバランスを取る必要があると言いたかったのです。減らした荷物を一緒に背負ってくれるパートナー、仕事仲間を作り、少し楽をしても許してくれる社会を弁護士会を・・。会長の任期も残りわずかですが、これからも声を大にして「楽に生きよう!」と訴えていこうと思います。
UN Women 2017年国際女性デー記事