会長日記

2016年8月1日

会 長 原 田 直 子(34期)

福岡県弁護士会のHPにおいでいただき ありがとうございます。

夏真っ盛り、連日の猛暑に汗をかきつつ、様々なイベントに参加しました。熊本地震被災者の皆様、避難所や仮設住宅での生活は、堪えるでしょうね。
お見舞い申し上げます。

福岡県よろず女子会 マルシェ~後援・ブース出店しました。

福岡県弁護士会では、中小企業支援センターを設置し、中小企業の皆様のご相談に応じたり、研修への講師派遣をしています。

7月30日、JR博多駅博多口賑わい交流空間で行われた「福岡の頑張る女性起業家応援マルシェ」に福岡県弁護士会もブース出店し、弁護士会の活動をご紹介し、ご相談にも応じました。公益財団法人福岡県中小企業振興センター 福岡県よろず支援拠点が主催したもので、60店ものブースが出され、美容、食品、装飾雑貨等の販売が行われました。女性起業家のブースらしく、扱われているもののほとんどが女性向けのもので、来場者も圧倒的に女性でにぎやかなイベントでした。当会も、若い女性弁護士達が、担当して広報に努めました。

男女共同参画社会基本法や女性活躍推進法など、女性の社会参加や活躍が期待され、そのための助成金や支援制度が提案されています。しかし、男性を含めた長時間労働と家庭責任の分担を改善しなければ、女性の過労死が増えかねません。また、いったんキャリアを中断すると、なかなか元に戻れず、非正規で低い賃金しか望めない現状も、女性の活躍を阻んでいます。現在深刻な社会問題となっている子どもの貧困の多くは、シングルマザーの貧困の反映です。女性活躍推進の施策が、困難な状況の女性達の活躍・自立につながることを期待したいと思います。

今回のブースの一つに、女子高校生と企業のコラボがありました。彼女たちが、様々なアイデアを商品化する力と同時に、社会人として自立する視点を身に付け、女性が輝く社会を目指して巣立っていって欲しいなと思いました。

ガンバレ女子高生!女性起業家! 女性弁護士!

ジュニアロースクール~弁護士は法律を全部暗記している?

7月22日、西南大学法科大学院の法廷型講義室をお借りして、ジュニアロースクールを開催しました。このイベントは、主に中高生を対象に、法的思考を体験していただくもので、今回は、文化祭を行うにはどんなルールが許されるのか、ルールを作る人をどうやって決めるのかなどの議論を通じて、「民主主義と代表制」について考えていただく主権者教育をテーマとしました。福岡市内外から集まった中高生が、活発に意見を交わし、発表してくれました。

高校生の皆さんは、1,2年で選挙権が得られます。まさに主権者。これを機会に国のルールである法律を作り、その執行をする内閣総理大臣を選ぶ国会議員選挙、あるいは地元に密着した地方議会や首長の選挙を身近なものに感じていただければと思います。

ところで、イベント終了後、法学部進学を迷っているという生徒さんに話しかけられました。「興味はあるけど、暗記が苦手なので、法律を全部覚えるのは難しい。」というものでした。こんな質問は、よく受けます。いえいえ、法律家は法律を暗記しているのではありません。確かに、皆様のお困り事を解決するのに、法律はどうなっているかは重要ですが、私たちが勉強するのは、なぜ、そのような法律ができているのか、具体的にどんな場面にどのように適用するのかなのです。ですから、司法試験の論文試験でも六法を見ながら回答することができます。

法律家に興味ある学生、生徒の皆さん!福岡県弁護士会では、出前授業や裁判ウォッチングの企画も行っていますから、先生と相談して是非体験してくださいね。

相模原事件に思う

先週は、戦後最大といわれる障がい者施設での殺人事件という悲しい事件がおきました。亡くなられた皆様には心から哀悼の意を表すると共に、怪我をされた皆様には一日も早い回復をお祈りいたします。また、直接被害にあわれた方でなくても、障がいをもって懸命に生きておられる方々は、大きな衝撃を受けられたこととお見舞い申し上げます。

こんな事件は防げなかったのか・・これから様々な議論がされると思います。被疑者が措置入院していたのに、どうして退院させたのか、犯行予告文書があったのに対応ができていないのではないか、施設の防犯体制は問題なかったのか?などなど

しかし、この被疑者はどうして「障がい者なんていなくなればいい」と思うようになったのでしょう。しかも、それを実行しようとすることに、背筋の寒い思いがします。施設で働いた経験が、誰かを悪者にして、他人を傷つけたり、排斥したりしなければ気が済まない矛盾を生んだのかもしれませんが、「すべて国民は個人として尊重される」という憲法13条の精神が、机上の空論ではなく、私たちの心に浸透していれば、簡単に人を殺したりできないはずです。ヘイトスピーチもしかりです。これでは何も解決しないし、かえって憎しみを生み出すだけです。また、そんなことで世の中の矛盾が変わるとも思えません。

ひとりひとりが大切にされる社会のために、弁護士会も力をつくします。