会長日記
2022年8月1日
会長 野田部 哲也(43期)
◆再度の領事館訪問
福岡県弁護士会は、5月27日、定期総会において、「ヘイトスピーチのない社会の実現のために活動する宣言」を決議し、ヘイトスピーチ解消に向けて条例制定等を働きかける活動を開始しています。
7月19日、中国領事館に2度目の訪問をしました。この訪問にあたっては、宣言を担当した、国際委員会委員長と担当副会長にも同行してもらいました。総領事は、終始、極めて友好的で、この宣言について、感謝されました。
韓国領事館について、総領事が交代するため、いまだ再度の訪問ができておりませんが、総領事の着任後、直ちに再度の訪問をしたいと思います。
少しでも、国際的な関係の改善や良好な関係の構築にお役に立てれば、幸いです。
◆包括外部監査人に向けて
包括外部監査人は、県、政令指定都市、中核市に対して、公認会計士や弁護士等の外部の者と契約を結んで、特定のテーマについて、外部の監査人から監査を受け、その報告を受けるものです。
公認会計士が担当することが多いですが、テーマは、会計的なものに限られず、債権の管理に係る事務の執行、補助金の執行状況等の適法性や効率性も、その対象となりますので、弁護士が関与することも多くなっています。2020年は、全体の16.8%の包括外部監査人は、弁護士となっています。
過去には福岡市の包括外部監査人に当会所属の弁護士が就任していたこともあります。
福岡県と福岡市は、現在、包括外部監査人として公認会計士を採用されておりますが、弁護士の登用について、この後も働きかけを続けていきたいと考えます。
◆ある若手弁護士の開拓!
弁護士になって数年の若手弁護士が、ある企業の組織内弁護士となりました。その弁護士は、コンプライアンス統括部において、会社が抱える法律的な課題について、懸命に取り組み、克服していきました。上司たちは、これを評価し、またすぐに同じ部署に弁護士を迎え入れました。2人の若手弁護士は、力を合わせて、さらに会社に貢献しました。その後、会社は、法務部ではない部署にも、若手弁護士を採用しました。これらのことが、約1年の間に起きたそうです。
その企業の上司たちから、「若い弁護士たちが組織内に入ってくれたおかげで、組織が活性化した」とお褒めいただいております。
若手弁護士が、そのやる気や能力を発揮して、その結果として新たな業務を開拓していく。そのチャレンジ精神に敬服するとともに、意を強くしました。
◆「何かあったらどうする症候群」
この症候群は、未来を予測してコントロールできると考え、その逆算で完璧な準備をしようとする考え方です。これは、社会に安定をもたらしますが、その副作用として、停滞を生み、個人の可能性を抑制してしまう危険を生じるように思われます。
しかし、実際には、予想しないことが必ず起きます。未来は、予測もコントロールもできません。だからと言って、無謀な試みを推奨するわけではありません。
ただ、停滞から抜け出すためには、「やってみなけりゃ、わからない。」、「失敗を叩くより称える。」というようなメンタリティが必要なように思われます。やった場合のリスクをしっかりと検討することも大事なのですが、やらないことのリスク、機会の喪失についても、これをしっかりと検討しなければならないと考えます。
未来は、予測もコントロールもできない、予想しないことが必ず起こることを想定して、リスクを正しく認識した上で、リスクテイクし、これを最小限に抑える努力を怠らずに、チャレンジし続けていけたらと考えています。