会長日記

2018年12月15日

会長 上田 英友(40期)

皆さま、こんにちは。今回は、前回に引き続き、11月に開催された行事について参加した感想や行事の意義などをお伝えしたいと思います。

◆来たれ、リーガル女子!(11月3日)

主に中高生と保護者を対象として、女性の弁護士、裁判官、検察官から、直接、仕事の内容や生活環境などの話を聞いて貰い、女性の法曹志望者を増やすためのイベントが西南学院大学法科大学院棟にて行われました。

これは、一昨年の早稲田大学、昨年の大阪大学に次ぐもので、今回の参加者は、中学生20名、高校生37名、保護者35名を含め、100名近くに上り、大講義室が満員になりました。

第1部は原田直子会員が対談形式で弁護士の魅力について話をされ、参加者は、原田会員の弁護士の魅力は人の役に立ち、それを直接実感できることなどの話を熱心に聞かれていました。アンケートでも、女性弁護士の仕事やプライベートが詳しく聞かれて興味深かった、女性弁護士の実情が分かって良かったなどの声が多数あり、法曹を目指したいとの回答も多く寄せられました。

第2部のパネルディスカッション「女性法律家のさまざまな働き方」や第3部のグループセッション(刑事・民事家事・企業法務・国際関連等)も好評でした。

進路を悩んでいる中高生とその保護者に、女性法曹の具体的な仕事や生活を伝えることができて、有意義な企画でした。また、企画の関知経路は、学内チラシ・ポスターが約37%で、中高生に対する学内広報の力を再確認いたしました。

来たれ、リーガル女子!

◆大連市律師協会との定例交流会(11月9日)

毎年恒例の大連市律師協会との交流会が11月9日に開催されました。これは、隔年の相互訪問で、本年度は、大連市律師協会が当会を訪問されました。

大連市律師協会からは、楊家君会長をはじめ15名のメンバーで、当会は、執行部と歴代会長、国際委員会を中心として、31名でお迎えしました。

当日は、午前中、福岡地裁で刑事事件を傍聴し、福岡高裁で小林昭彦長官を表敬訪問しました。その後、建設中の当会新会館をご覧いただき、午後からは、明倫国際法律事務所・天神弁護士センター・法テラス福岡地方事務所を訪問し、それぞれの場所で、業務の案内と質疑応答を行いました。

午後3時からは、ソラリア西鉄ホテル福岡にて討論会を行いました。テーマは、司法修習制度とインターネット裁判でしたが、インターネット裁判については、現在、裁判手続等のIT化に向けた準備が進んでいる中、興味深い報告を聞くことができました。

中国では、最高人民法院により、2016年7月1日から、全ての公開開廷審理事件を原則としてインターネットを通じて生放送することとなったそうです。現在、毎日4000を越える開廷審理がインターネットを通じて生放送されています。プライバシー関係や企業秘密の事件を除いて審理が生放送されるため、多くの人が裁判ではなく仲裁を選択する傾向が出てきたとのことです。

また、オンライン開廷が、一部の事件について実施されています。オンライン開廷審理では、テレビ会議などの通信方式によって審理が進められ、全ての訴訟資料が開廷審理プラットフォームにアップロードされるので、当事者は随時閲覧をすることができ、開廷中の関係当事者や裁判官の発言も自動的に文字に変換されるシステムとなっています。

しかし、オンライン開廷が実施されているのは、現在、北京、広州、深圳の3つの裁判所だけであり、対象事件は、ネットショッピング、ネットファイナンス、権利侵害訴訟などの紛争に限られています。

オンライン開廷では、平均審理期間が32日間と大幅に迅速化されていますが、受理件数はまだ少なく、弁護士としては、オンライン開廷が業務に影響を及ぼしていると実感はあまりないとのことでした。

報告を聞いて、インターネット裁判所で開廷生放送が行われていることに、大変驚きました。確かに、日本においても裁判の公開は保障されていますが、それは、法廷が公開されており、誰もが法廷傍聴を行うことができるという程度であり、審理がインターネットを通じて配信されるというのは、別世界のことのようでした。確かに、裁判の公開を突き詰めれば、インターネット配信ということも考えられなくはありませんが、プライバシーの観点など弊害も発生しうると思われ、現に中国においても、多くの人が裁判ではなく仲裁を選択するようになったのも頷けます。

大連