会長日記

2023年3月31日

会長 野田部 哲也(43期)

◆1年を振り返って

会長日記に最後までお付き合いいただきありがとうございます。

あっという間の1年でした。サーバントリーダーシップの考え方に基づき、会長は、副会長たちのために、執行部は、委員会のために、支援して活動することを心がけ、副会長たちには、自由と挑戦を基調として、その能力を存分に発揮してもらいました。

ただ、この1年をよくよく振り返ってみると、副会長と事務局長に支えられ、私自身が、のびのび自由に挑戦させてもらったと思っています。2022年度もコロナ禍に悩まされましたが、これも収束へと向かい、社会がWithコロナに舵を切り、リアルな活動ができました。新入会員歓迎会等をはじめとする会合もリアルに開催しました。また、対外的なシンポジウムやセミナー等も数多く開催しました。他の単位会や釜山地方弁護士会との交流会も、実施し、交流しました。

リアルに活動できた幸運に、心から感謝しています。

◆希望の種をまき続ける!

これまでのリーガルサービスを継続し、さらに充実させ、弁護士が社会の隅々に浸透し、「法の支配」を実現できるよう、希望の種をまき続けることを目標に活動してきました。弁護士を広く活用していただけるよう、関係各所(自治体、団体、企業等)との連携を広げ深め、社会のニーズに適切かつ迅速に対応し、リーガルサービスを積極的に提案し提供するよう尽力しました。

ここで、この1年間を振り返って、独断と偏見に基づき、その状況や感想を述べ、総括したいと思います。

◆委員会活動の活性化

~委員会活動をわかりやすく~

弁護士会の活動は、すべて会員による委員会活動により支えられています。執行部は、各委員会が、活性化し、存分にその能力を発揮して、円滑に活動できるよう、これを支えるのがその役目と考えます。会員が、委員会活動について、その内容を理解して活動できるよう、委員会にわかりやすい運営をお願いするとともに、企画の流れ、宣言等の発出の流れ等について、文章のみならず図表を用いて、わかりやすく説明書を作成し、配布しました。

誰もが容易に委員会に参加できることを心掛け、これを実行できたのではないかと思います。

~委員会相互、会員相互の連帯~

委員会活動は、専門化・複雑化する傾向にあり、委員会ごとの縦割りになりがちです。そこで、月報やFニュース等を駆使したり、委員長会議を活用したりして、お互いの活動を知り、委員会相互、会員相互が連帯して活動できるよう心掛けました。

◆法律相談の充実

~天神センターの機能移転~

当会は、市民が容易に弁護士と法律相談できるよう、法律相談センターを県内に全面展開し、充実させてきました。

天神弁護士センターは、福岡部会の法律相談について、その重要な機能を担ってきましたが、昨年度、その機能を弁護士会館に移転を開始し、丁寧に試行を行い、その機能を後退させることなく、本年度、その移転が完了しました。

~チケット制の拡大~

当会は、法律相談について、地方公共団体にチケットを買っていただき、これを必要な住民に配布し、法律相談に来ていただく、「チケット制」を実施してきました。本年度は、チケット制の拡大に注力し、1つの自治体から年度途中に導入していただきましたし、複数の自治体から導入を検討していただいています。

市民により身近な自治体を通じて、法律相談の拡大・充実が図られると考えます。

~連携相談事業の協定の締結~

本年度は、2つの自治体の間で、障害者と高齢者らの権利擁護を実現するため、各々に連携相談事業の協定を締結しました。これにより、当会の弁護士が、地域包括支援センターと基幹相談支援センターを巡回する等したり、電話やメールを通じて、職員の支援をしたりすることとなり、法律相談の充実が図られると思います。

◆社外役員と組織内弁護士

日当会は、女性社外役員名簿を設置する等し、弁護士の社外役員への就任を推奨してきました。本年度は、会内の現役の社外役員の弁護士による研修を実施しました。当会の弁護士の社外役員への就任を推奨する活動について、報道がされました。これを読んだ複数の上場企業から、この活動の推奨をお願いした会社に対し、問い合わせがあり、その中の一社に対し、幸いにも、当会の女性社外役員名簿に登載されている女性弁護士が推薦され、役員面接を合格し、社長面接を受けている状況にあります(結果待ち)。企業の方々から、名簿へのアクセスについて、ご指摘を受け、アクセスを簡便にし、活用していただく準備をしています。

組織内弁護士については、JILA(日本組織内弁護士協会)との交流を図り、企業等の弁護士に対する要望や需要について、その実情をお聞かせいただく等しました。

企業や自治体等に対し、フルタイムのみならず、パートタイムでの組織内弁護士の採用を推奨したところ、企業内では、すでに複数の弁護士がパートタイムで活躍している実情を知り、さらなる活用をお願いする等しています。

◆会員の積極的な支援

留学支援制度(成立)、成年後見人等支援の制度(定期総会の承認の待ち)については、より良い制度の実現という観点から、担当の委員会、関連委員会の調整を要する場面はありましたが、粘り強く調整し、より良い制度を設定することができました。今後、各々の場面で、会員への積極的な支援が期待されます。

福谷間世代については、死刑廃止の国会対策活動の際、これに便乗し、九弁連と連帯して、地元の国会議員に働きかける等しました。現在、国会議員の半数を超える議員から、その救済に向けて支援のメッセージを頂いています。

◆自ら、襟を正す?!

社会の弁護士に対する信頼を守るため、弁護士の不祥事に対しては、厳しく対処し、襟を正さなければなりません。本年度も、会立件と事前公表をしました。

ただ、襟を正すにしても、不祥事となる前の早期に、自主的に、襟を正した方が良いに決まっています。本年度も、会員サポート窓口を利用したり、周りの協力者の援助を得る等したりして、早期に、自ら、襟を正していただいた例もありました。

ところで、6か月を超える会費の滞納は、懲戒の対象とされ、近時、会費の滞納を理由とする退会処分等の厳しい懲戒処分が目にされます。当会では、粘り強く納付のお願いをし、自らこれに応じていただくことで、会員の滞納の状況をなくし、会費滞納による懲戒処分をしないで済みました。

◆男女共同参画の推進

男女共同参画推進本部の活動を推進し、第2次男女共同参画基本計画の周知を図りました。

2023年2月、男女共同参画について、専団連と意見交換会を開催し、3月、男女共同参画社会の推進をテーマとするシンポジウム「すべての人が輝く社会へ」を実施しました。

本年度は、常議員会について、会員の参加の容易さを考え、常議員会の開始時間を1時間繰り上げて午後2時としました。幸いにも、常議員会の30名の定員のうち、10名が女性会員となり、男女共同参画が推進されました。

◆開かれた弁護士会

弁護士や当会の活動や魅力等について、シンポジウム、セミナー、講演、ミーティングを積極的に行い、市民や社会に向けてわかりやすく発信しました。

4年ぶりに、会館を市民に開放し、市民の皆様と触れ合うオープンデーを開催しました。この中で、前記シンポジウム、「RGB最強の85才」の上映会、や、無料法律相談会等を行い、市民に元気を発信し、また、市民から感謝や激励の言葉をいただき、元気をもらいました。

◆若手弁護士たち

関係各所を訪問する際、若手弁護士にも同行してもらいました。組織のトップの中には、若手弁護士のしっかりとした受け答えに感心し、弁護士会の活動に対して協力的な姿勢を示していただいたり、組織内弁護士としての採用を申し出られたりすることもありました。

また、同行してくれた若手の中から、その活動の範囲を広げたり、社外役員名簿への登録を推奨したりする若手弁護士たちが出てくれました。若手弁護士たちが、自ら積極的に社会への浸透を実践してくれて、嬉しい限りです。

この1年、会員の皆様には、お支えいただき、誠にありがとうございました。

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