会長日記
2026年7月1日
会長 池田 耕一郎(50期)
5月下旬から6月中旬にかけても、様々な行事が執り行われました。各行事における意見交換を通じてお互いの思索を深め合い、それが大きな財産になることの意義をあらためて実感しております。
定期総会の開催
5月27日(水)、福岡県弁護士会定期総会を開催しました。本総会では、(1)「全面的な取調べの録音・録画」及び「弁護人の取調べへの立会い」の法制化とともに早期実施を求める決議、(2)すべての子どもがともに学び育つインクルーシブ教育の実現を求める決議、(3)子どもの最善の利益を確保し子どもの権利保障を推進する宣言、のいずれも賛成多数で採択されました。会場からは多数のご意見を頂戴し、真摯に議論へご参加いただきましたことに心より感謝申し上げます。
インクルーシブ教育に関しては、「従来の特別支援教育にも評価すべき点があるのではないか」とのご意見もありました。これに対しては、今回の決議も教育現場の先生方の思いやご尽力を十分に受け止めたうえで、これまで培われた専門性や知見を通常学級でも活かしていくことを念頭に置いたものである旨、説明がなされました。
上記宣言・決議は、採択後、関係機関等へ発出いたしましたが、その際、送付文に各機関に理解と協力を求める表現を盛り込むなどの工夫を凝らしております。私たち執行部としては、宣言・決議を採択して終わりとするのではなく、その内容を具体化していくことが重要であると考えています。今後、各委員会と緊密に連携しながら、実践的な活動を推進してまいります。
記念講演会の開催
定期総会終了後、大阪弁護士会所属の山本了宣(りょうせん)弁護士を講師にお迎えし、「今からでも大丈夫!法律事務所におけるIT環境の整備とAI利活用の留意点」と題した記念講演会を開催しました。会場には約80名の会員の皆様にご参加いただきました。1月7日に配信した会長立候補の所信において、事務所運営の基盤整備に関する基礎的情報、弁護士業務へのAI技術の利活用方法とリスクを低減するための方策についての情報を提供する企画を実行すると述べました。今回の記念講演会は、その所信を具現化するものでもありました。
山本弁護士は、開示証拠がペーパー換算で15万枚(ファイル合計300冊)にも及ぶ裁判員裁判を担当された際、大量の文書を整理・活用するシステムを自ら開発された経歴をお持ちです。講師ご自身が実務で悩み、考え抜いたからこその、IT化に関する極めて実践的なお話を伺うことができました。また、日弁連の「弁護士業務における情報セキュリティに関するワーキンググループ」に所属されている立場から、情報流出などの実例を交えて解説いただきました。事務所のIT環境整備におけるリスク管理の必要性を痛感させられるとともに、執行部としても今後の弁護士会運営の参考としたいと考えています。なお、当日ご参加いただけなかった会員への情報提供のため、別途、録画内容の放映・配信などの方法を検討しています。
三庁合同ウォークラリーの開催
5月29日(金)、裁判所、検察庁、弁護士会の共催による「三庁合同ウォークラリー」を開催しました。この取り組みは、近年、地元・草ヶ江小学校の総合的な学習「くさがえ科」の一環として、6年生の児童を弁護士会館に招いて行っているものです。
弁護士会の企画では、刑事事件の模擬裁判を行い、児童の皆さんに弁護人役を体験してもらいました。児童が目を輝かせ、いきいきとした表情で取り組んでいる姿に深く感動いたしました。児童側からも「実際に裁判で活動しているような気持ちになれた」と大変好評でした。なお、裁判所では裁判官による質疑応答、検察庁では施設見学や用具の説明が行われたとのことです。企画を通じて、草ヶ江小学校の児童の皆さんに、地域の施設やそこで働く人々への関心を深めてもらうという目的は十分に達成できたのではないかと考えております。それと同時に、将来の職業の選択肢として法曹の世界を意識してもらう契機となったのであれば、これほどうれしいことはありません。次代を担う子どもたちの期待に応えるべく、弁護士会としての信頼を維持していく決意を新たにしました。開催にあたり、子どもたちに関心を持ってもらうための素材作り、当日の進行を担った対外広報委員会の委員の尽力に深く感謝いたします。
法曹合同歓迎会の開催
6月16日(火)18時30分より、「法曹合同歓迎会」を開催しました。当会では例年、裁判所および検察庁との共催により、法曹として福岡の地で新たな生活をスタートされた方々をお迎えして歓迎会を開催しております。今回の招待者は、昨年5月15日以降に、①他の弁護士会や裁判官・検察官・公証人等を経て当会に入会した会員、②司法修習を経て当会に入会した会員、③他任地から福岡に赴任した裁判官・検察官(新任を含む)です。例年は4月ないし5月に開催していましたが、着任時期等に配慮し、本年度は6月開催としました。開催場所にも趣向を凝らし、昨年福岡市中央区天神にオープンした「ONE FUKUOKA BLDG.」内の【ONE FUKUOKA HOTEL】を会場としました。
デジタル化の進展は多くの利便性をもたらす一方、人間関係を希薄化させる要素も含んでいます。そのような時代だからこそ、業務を円滑に遂行するためには、法曹三者がお互いに強固な信頼関係を築くことが不可欠だと思います。その観点からも、法曹三者が直接顔を合わせ、膝を突き合わせて交流する場は極めて貴重であると考えます。当日は、久々に再会した方々が旧交を温める姿や、初対面同士で活発に意見を交わす様子などが見られ、意義深い行事となりました。


