福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

声明

2018年8月 1日

死刑執行に関する会長声明

2018年(平成30年)7月26日,東京拘置所で3名,名古屋拘置所で2名,仙台拘置所で1名,合計6名の死刑が執行された。この6名は,オウム真理教による一連の事件で死刑が確定していた13名のうち,7月6日に執行された7名を除く6名である。これにより,オウム真理教関連事件の死刑確定者13名全員がわずか21日間のうちに死刑執行されたことになる。

 当会は,本年7月6日の死刑執行に対し,これに抗議する声明を発表し,すべての死刑の執行を停止することを強く要請した。それにもかかわらず,今回の死刑が執行されたことは,まことに遺憾であり,当会は,今回の死刑執行に対し,強く抗議するものである。

 1995年(平成7年)3月20日に発生した地下鉄サリン事件では29人の死者と6500人以上の負傷者が出ており,今なお多数の人々が後遺症等に苦しんでいる。これらのご遺族や被害者の方々の苦しみを決して忘れることなく,被害者救済のための努力をあらゆる方面で続けていかなければならない。
 しかし,死刑制度そのものの是非については,別の問題として慎重に考えるべきである。また,今回行われた合計13名という多数の死刑執行が今後の死刑執行を容易にする契機となってはならない。
 
我が国では,死刑事件について,すでに4件もの再審無罪判決が確定しており(免田・財田川・松山・島田各事件),えん罪によって死刑が執行される可能性が現実のものであることが明らかにされた。また,2014年(平成26年)3月27日には,静岡地方裁判所によって,死刑判決を受けた袴田巖氏の再審開始が決定され,同時に死刑および拘置の執行停止も決定された。この再審決定は,2018年(平成30年)6月11日,東京高等裁判所によって取り消されたが,袴田巖氏は最高裁判所に特別抗告しており,現在でもなお死刑えん罪が存在する可能性は否定できない。

そもそも,死刑は,生命を剥奪するという重大かつ深刻な人権侵害行為であること,誤判・えん罪により死刑を執行した場合には取り返しがつかないことなど様々な問題を内包している。
そのため,欧州連合(EU)加盟国を中心とする世界の約3分の2の国々が死刑を廃止又は停止し,死刑存置国とされているアメリカ合衆国においても2017年(平成29年)6月の時点で19州が死刑廃止を宣言するなど,死刑廃止は国際的な潮流となっている。
国連総会は過去6度に亘り「死刑廃止を視野に入れた死刑執行の停止を求める。」決議案を採択し,国連人権理事会で実施された過去3回のUPR(普遍的定期的審査)においては,日本に対し,死刑廃止に向けた行動の勧告を出している。
今回のような短期間における多数の死刑執行は,国際社会において強い非難を受けることは避けられない。実際にも,駐日EU代表部及びEU加盟国の駐日大使らは,本年7月6日の死刑執行に対して,オウム真理教による事件が,日本そして日本国民にとってとりわけ辛く特殊な事件でありテロ行為を断じて非難するとしながらも,いかなる状況下でも極刑を使用することに強く明白に反対し,日本に対して死刑を廃止することを視野に入れた執行停止を呼びかける共同声明を出したが,今回の死刑執行に対しても,同様の共同声明が出されている。日本は,2018年(平成30年)7月17日にEUとの間で戦略的パートナーシップ協定(SPA)の合意に至ったが,協定では,民主主義,法の支配,人権及び基本的自由についての価値を共有していることが求められている。EUは,人権について生命権を絶対として死刑廃止をその加盟条件としており,今回の死刑執行は,SPAの当事者国が共有すべき人権や基本的自由という価値の共有に懸念を抱かせることになる。

当会は,本件死刑執行について強く抗議の意思を表明するとともに,死刑制度についての全社会的議論を求め,この議論が尽くされるまでの間,すべての死刑の執行を停止することを強く要請するものである。

2018年(平成30年)7月31日
福岡県弁護士会 会長  上 田 英 友

2018年7月11日

死刑執行に関する会長声明

 2018年(平成30年)7月6日,東京拘置所で3名,大阪拘置所で2名,広島拘置所で1名,福岡拘置所で1名,合計7名の死刑が執行された。この7名は,オウム真理教による一連の事件で殺人等の罪に問われ,死刑が確定していた13名のうちの7名である。
 
 1995年(平成7年)3月20日に発生した地下鉄サリン事件では29人の死者と6500人以上の負傷者が出ており,今なお多数の人々が後遺症等に苦しんでいる。これらのご遺族や被害者の方々の苦しみを決して忘れることなく,被害者救済のための努力をあらゆる方面で続けていかなければならない。
 
 しかし,死刑制度そのものの是非については,別の問題として慎重に考えるべきである。また,今回行われた7名という多数の死刑執行が今後の死刑執行を容易にする契機となってはならない。
 

 我が国では,死刑事件について,すでに4件もの再審無罪判決が確定しており(免田・財田川・松山・島田各事件),えん罪によって死刑が執行される可能性が現実のものであることが明らかにされた。また,2014年(平成26年)3月27日には,静岡地方裁判所によって,死刑判決を受けた袴田巖氏の再審開始が決定され,同時に「拘置をこれ以上継続することは,耐え難いほど正義に反する」として,死刑および拘置の執行停止も決定された。この再審決定は,2018年(平成30年)6月11日,東京高等裁判所によって取り消されたが,拘置の執行停止は維持されたままであり,えん罪が疑われる状況は残されたままである。袴田巖氏は最高裁判所に特別抗告しており,現在でもなお死刑えん罪が存在する可能性は否定できない。


 そもそも,死刑は人間の尊厳を侵害する非人道的行為であること,誤判・えん罪により死刑を執行した場合には取り返しがつかないことなどの様々な問題 を内包している。

 そのため,EU(欧州連合)加盟国を中心とする世界の約3分の2の国々が死刑を廃止又は停止し,死刑存置国とされているアメリカ合衆国においても2017年(平成29年)6月の時点で19州が死刑廃止を宣言するなど,死刑廃止は国際的な潮流となっている。


 国連総会は過去6度に亘り「死刑廃止を視野に入れた死刑執行の停止を求める。」決議案を採択し,国連人権理事会で実施された過去3回のUPR(普遍的定期的審査)においては,日本に対し,死刑廃止に向けた行動の勧告を出している。これに対し,日本政府は,国民世論を理由に死刑の存知と執行を正当化しているが,2014年(平成26年)の内閣府世論調査からは,仮釈放を認めにくい代替刑の創設により死刑廃止を容認する国民的世論が形成されうる可能性が窺われる。


 このような中,日本弁護士連合会は,再審無罪となった事件や袴田事件再審決定に代表される誤判・えん罪の現実的危険性を踏まえ,また,いかなる者であろうとも人として変わり得ることを前提に社会内に包摂すべきことを主な理由として,2016年(平成28年)10月7日の第59回人権擁護大会において「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択した。この宣言は,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきこと,また,代替刑として,刑の言渡し時に「仮釈放の可能性がない終身刑制度」,あるいは,現行の無期刑が仮釈放の開始時期を10年としている要件を加重して仮釈放の開始期間を20年,25年等に延ばす「重無期刑制度」の導入の検討等を政府に求めたものである。
 

 当会は,本件死刑執行について強く抗議の意思を表明するとともに,死刑制度についての全社会的議論を求め,この議論が尽くされるまでの間,すべての死刑の執行を停止することを強く要請するものである。

2018年(平成30年)7月11日

福岡県弁護士会 会長  上 田 英 友

2018年6月 8日

最低賃金の大幅な引き上げを求める会長声明

福岡地方最低賃金審議会は,本年8月頃,福岡労働局長に対し,本年度の地域別最低賃金額の改定に関する答申を行う見込みである。

昨年,同審議会は,福岡県最低賃金の改正決定について,前年度比24円増額の789円とする答申を行った。しかし,時給789円という水準は,未だあまりに低すぎるものと言わざるを得ない。すなわち,時給789円で,1日8時間,月22日間働いた場合の収入は,月収13万8864円,年収約167万円に止まる。この金額では,労働者がその賃金だけで自らの生活を維持していくことは容易ではなく,ましてや家族内において家計の主たる担い手となるのは困難である。労働者の生活を安定させ,労働力の質的向上を図るためにも,最低賃金の大幅な引き上げが不可欠である。

また,福岡県が,2016年(平成28年)3月に公表した「福岡県子どもの貧困対策推進計画」において,子どもの貧困の原因として,「現在の貧困の根底には、家庭(親)の収入が少ないことがあります。」との指摘をしているとおり,子どもの貧困対策の視点からも,労働者全体の賃金の底上げにもつながる最低賃金の引き上げは喫緊の重要課題である。

ここ数年,最低賃金の大幅な引き上げは,格差と貧困の解消の視点から諸外国において実現されてきており,時給1000円以上の国ないし地域も広がってきている。例えば、フランスの最低賃金は9.76ユーロ(約1259円)、イギリスの最低賃金は7.5ポンド(25歳以上。約1110円)、ドイツの最低賃金は8.84ユーロ(約1140円)であり、アメリカでも、15ドル(約1635円)への引上げを決めたニューヨーク州やカリフォルニア州をはじめ最低賃金を大幅に引き上げる動きが各地に広がっている(円換算は2018年5月上旬の為替レートで計算。)。この動きは,我が国においても参照されるべきである。

 ただし,最低賃金の引き上げに際して,地域の中小企業の経営に特別の不利益を与えないよう配慮することは必要である。最低賃金の大幅な引き上げを実施するに際しては,中小企業を対象とした補助金制度や減税措置等も併せ検討されるべきである。

 なお,最低賃金の審議に関し,福岡地方最低賃金審議会は,審議会の議事の傍聴を認め,傍聴者にも資料を配布するとともに,議事要旨の公表を行っており,この点は評価できる。ただし,議事のさらなる透明性と公正の確保の観点から,議事要旨にとどまらずより詳細な議事録の作成及び公表を求めたい。

 以上,当会は,福岡地方最低賃金審議会に対し,今年度の答申に当たっては,中央最低賃金審議会の答申に捉われることなく,労働者の健康で文化的な生活を確保するとともに,これにより地域経済の健全な発展を促すためにも,最低賃金を大幅に引き上げる答申を行うよう求める。

2018年(平成30年)6月8日
福岡県弁護士会会長  上田 英友

2018年6月 7日

「特定複合観光施設区域整備法案」(いわゆる「カジノ解禁実施法案」)に反対し,廃案を求める会長声明

2018年(平成30年)4月27日に,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(平成28年法律第115号)を実施するための法案(「特定複合観光施設区域整備法案」,いわゆる「カジノ解禁実施法案」)が閣議決定され,国会に上程されている。


当会は,2014年(平成26年)10月15日及び2016年(平成28年)12月13日の会長声明において,暴力団員その他カジノ施設に対する関与が不適当な者の関与,犯罪の発生,風俗環境の悪化,青少年の健全育成への悪影響,ギャンブル依存症の拡大,多重債務問題再燃の危険性等,様々な問題があることを理由に,カジノ解禁に強く反対してきた。


カジノ解禁には,地域経済の振興への寄与などが目的として掲げられているが,例えば,唯一内国人が入場可能なカジノが誘致された韓国の広原(カンウォン)ランドでは,地元への経済効果が見込めないばかりか,ギャンブル依存症患者が増えて,カジノ導入時点で25,000人だった人口が,その後12,000人まで減少するなど,かえって悪影響を及ぼしている(九弁連第69回定期大会シンポジウム「ギャンブル依存症のない社会をめざして」報告書(増補版)184頁)。


今回提出されたカジノ解禁実施法案では,ギャンブル依存症の対策のための措置がとられてはいるものの,極めて不十分である。例えば,ギャンブル依存症対策として,入場回数制限を「7日間で3回,28日間で10回まで」とし,入場料を「6,000円」と定めている。しかし,7日間で3回も入場していれば,既にカジノに依存しているともいえるし,入場料を支払えばカジノに入場できるのであるから,これらの制限によりカジノ依存が抑止されるとは言えない。


さらに,カジノ解禁実施法案では,「特定資金貸付業務」として,顧客に金銭を貸し付ける業務が認められているところ,そこでは,一定の金額を預け入れた顧客に対しては,カジノ事業者が直接カジノ資金を貸し付けることが予定されている。しかも,年収の3分の1を超える貸付を禁止する貸金業法の総量規制が適用されることもないのであって,顧客をギャンブル依存に陥らせる危険性は極めて高いと言わざるを得ない。


さらに,2018年(平成30年)5月25日には,ギャンブル等依存症対策基本法案が衆議院で可決されたところ,同法案の提案理由として,「ギャンブル等依存症がこれを有する者等及びその家族の日常生活及び社会生活に様々な問題を生じさせるおそれのある疾患」であるために,「ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進する必要がある」ことが掲げられている。このように,ギャンブル依存症の予防及びギャンブル依存症を有する者の回復を,社会的な取組みとして図ろうとしている時期に,カジノを解禁して,依存症発生のリスクを高めることは妥当ではない。


そして,昨年8月に実施された意見募集(パブリックコメント)でも,提出された1,234件のうち,829件がカジノに反対するという意見であって,カジノ解禁に対して国民の理解が得られたという状況にはない。


よって,当会は,カジノ解禁実施法案に反対し,その廃案を求めるものである。


2018年(平成30年)6月7日
福岡県弁護士会
会長 上 田 英 友

2018年3月23日

「消費者契約法の一部を改正する法律案」にかかる会長声明

2018年(平成30年)3月2日,「消費者契約法の一部を改正する法律案」が閣議決定され,消費者契約法改正案(以下,「本改正案」という。)が国会に提出された。本改正案は,内閣府消費者委員会答申(以下,「委員会答申」という。)を受けたものであり,多発する消費者被害の防止及び救済を図るため,国会における速やかな審議及び可決に向けた取り組みがされることを望むものであるが,必ずしも委員会答申の趣旨を十分に踏まえたものではない。

当会は,2017年(平成29年)9月13日,「消費者契約法の改正に係る意見」(以下,「当会意見書」という)を公表しているところ,今後の本改正案の審議にあたって,以下のとおり,委員会答申及び当会の意見の趣旨を十分に踏まえた所要の修正がなされることを求める。

1 困惑類型の追加

本改正案においては,いわゆる「つけ込み型」勧誘行為における消費者の取消権が設けられていない。

委員会答申は,「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させるいわゆる『つけ込み型』勧誘の類型につき,特に,高齢者・若年成人・障害者等の知識・経験・判断力の不足を不当に利用し過大な不利益をもたらす契約の勧誘が行われた場合における消費者の取消権」について,早急に検討し明らかにすべき喫緊の課題としていた。当会意見書も,「合理的な判断をすることができない事情の利用にかかる困惑類型(法第4条第3項)につき,年齢又は障害などによる消費者の判断力の不足に乗じた勧誘行為を追加すべきである。」ことを提言していた。

したがって,「つけ込み型」勧誘行為に対する消費者の取消権を追加するべきである。

2 「社会生活上の経験が乏しいこと」という要件の修正

本改正案は,契約締結過程に関する規律における困惑類型として,消費者が抱いている不安(本改正案第4条第3項第3号)又は勧誘者に対する恋愛感情等(同項第4号)につけ込んだ勧誘を理由とする取消権を設けたが,その取消しの要件として,「社会生活上の経験が乏しいこと」という要件を加えている。

この要件が付け加えられた結果,霊感商法など高齢者に対する勧誘がこの取消権の対象から除外されるおそれがある。

今回の消費者契約法改正は,若年者だけではなく高齢者など社会的経験・知識・判断力の不十分な者にかかる消費者被害の防止及び救済を図ることにその目的の一つがあるのであって,かかる困惑類型の対象から高齢者など判断力の不十分な者を除外すべきではない。

本改正案については,「社会生活上の経験が乏しいこと」との文言は削除すべきであり,あるいは少なくとも「社会生活上の経験又は判断力が乏しいこと」との文言に修正されるべきである。

3 「平均的な損害の額」の立証について

本改正案は,消費者契約法第9条第1号の「平均的な損害の額」に関して,消費者の立証責任軽減のための推定規定を導入していない。

判例(最判平成18年11月27日民集60巻9号3437頁)の立場によれば,「平均的な損害の額」の主張立証責任は消費者にあるとされているところ,この算定に必要な資料が事業者の元にあることから,消費者にとって,その主張立証はきわめて困難なものである。

そこで,委員会答申は,消費者の立証困難性を緩和し,消費者が「事業の内容が類似する同種の事業者に生ずべき平均的な損害の額」を立証した場合において,その額が「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」と推定される旨の規定を設けるべきことを提言していた。当会意見書では,かかる推定規定にとどまらず,さらに進んで,「平均的な損害の額」にかかる立証責任を事業者に転換する旨を法律上規定すべきことを提言した。法9条の1号の規定を実効化するためには必要不可欠なものであるから,かかる推定規定を設けないのは,委員会答申の趣旨を大きく損なうものである。

本改正案においては,推定規定を導入すべきである。

2018年(平成30年)3月23日
福岡県弁護士会 会長 作間 功

2018年3月 9日

生活保護基準のさらなる引下げを行わないよう求める会長声明

政府は,2017年12月22日,生活保護基準を引き下げ,年間160億円を削減することを含む次年度予算案を閣議決定した。今回の基準改定では,毎日の生活費に相当する生活扶助基準が最大5%,母子加算が約20%削減される予定となっている。基準改定によって基準額が上がる世帯も存在するものの,全体では約70%の世帯が基準引き下げの対象となり,特に都市部の子どものいる世帯や高齢世帯において大幅な引き下げになることが見込まれている。
生活保護基準については,すでに2013年から3年間かけて生活扶助基準の引下げ(平均6.5%,最大10%)が実施されており,2015年からは住宅扶助基準や冬季加算の削減も行われてきたところである。これらに続くさらなる生活保護基準の引下げは,我が国全体の貧困化を促すことになりかねないと危惧される。
今回の引下げは,生活保護基準を第1・十分位層(所得階層を10に分けた最も下位10%の階層)の消費水準に合わせるという考え方の基づくものである。しかし,そもそも我が国における生活保護の捕捉率(生活保護基準未満の世帯のうち実際に生活保護を利用している世帯が占める割合)は,厚生労働省が公表した資料(2010年4月9日付厚生労働省「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について」)によっても15%から32%程度と推測されているところであり,第1・十分位層の中には生活保護の利用が可能であるもののこれを利用することなく,生活保護基準未満の所得のみでの苦しい生活を余儀なくされている人たちが多数含まれている。この層の消費水準を比較対象とすれば,必然的に生活保護基準を最も貧困な水準に至るまで引下げ続けることにならざるを得ず,合理性がないことは明らかである。
生活保護基準は,憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であるのみならず,住民税の非課税基準,国民健康保険料の減免基準,介護保険の保険料・利用料や障害者総合支援法による利用料の減免基準,就学援助の給付対象基準,最低賃金等の多様な施策にも直接,間接の影響を及ぼすものである。すなわち,生活保護基準の引下げは,生活保護利用世帯の生存権を直接脅かすとともに,生活保護を利用していない市民生活全般にも多大な影響を及ぼすのである。
今回の生活保護基準のさらなる引下げは,すでに度重なる引下げを実施されている生活保護利用者をさらに追い詰めるだけでなく,市民生活全般の地盤沈下をもたらすものであり,容認できないものである。
よって,当会は,政府に対し,生活保護基準のさらなる引下げを行わないよう強く求めるものである。

                    2018年(平成30年)3月9日
                           福岡県弁護士会  
                             会長 作間 功

2018年3月 1日

死刑執行に抗議する会長声明

 2017年(平成29年)12月19日,東京拘置所において2名の死刑が執行された。2名ともに弁護人による再審請求が裁判所に係属している中であり,うち一人は犯行時19歳と未成年であった。この度の死刑執行は,政府において弁護人を付した再審請求中であっても,また,犯行時未成年であっても,死刑を執行するとの強い意志を示したものと言える。
 しかし,再審は,刑事裁判手続の誤謬を是正し,無実の者を誤判冤罪から救済するための最後の砦というべき制度であるところ,いったん死刑が執行されれば,失われた生命を取り戻すすべはない。再審請求に理由があるか否かは司法府(裁判所)が判断すべきことであり行政府(法務大臣)が判断できるものではないことからすれば,再審請求中に死刑を執行することは,行政府の判断によって生命を奪い去ることとなる結果を発生させるものであって,問題が大きい。
また,犯行時未成年であった者に対して死刑を執行することは極めて慎重であるべきである。未成年者は,生育環境の影響を受けやすく,完成された人格とは言いがたい。その一方で,大きな可塑性を有し,将来の更生が期待できる存在である。そのような犯行時未成年者であった者に対し,死刑を執行することは,刑罰のあり方として公正・適正と言えるのかという点から疑問である。
さらに,国連は,死刑は人の生命を剥奪する非人道的行為であるとの観点から,1966年に人権自由権規約(B規約)において,「生命に対する権利」を保障し,次いで1989年には,「死刑の廃止が人間の尊厳の向上と人権の漸進的発展に寄与する」とする第二選択議定書(死刑廃止条約)を採択している。国連は,国連総会決議及び国連人権自由権規約委員会の勧告を通じて,日本を含むすべての死刑存置国に対し,死刑廃止に向けての行動と死刑の執行停止を求め続けている。この国連の要請を受け,EUを中心とする世界の約3分の2の国々が死刑を廃止又は停止し,死刑存置国とされているアメリカ合衆国においても2017年6月の時点で19州が死刑廃止を,4州が死刑モラトリアム(執行停止)を宣言するなど,多くの国連加盟国(アメリカは州)は国連の理念に協調しようとしている。
ところが,政府は,国際社会からの死刑廃止に向けた勧告に対し,「死刑制度については,国民の多数が極めて悪質,凶悪な犯罪について死刑はやむを得ないと考えており,特別に議論する場所を設けることは現在のところ考えていない。」との政府見解を表明し,国連からの勧告に背を向け,日本における死刑の存置と執行を正当化している(UPR第2回日本政府審査・勧告に対する日本政府の対応)。
政府は,かかる態度をとる理由は国民世論にあると説明する。しかし,2014年(平成26年)の内閣府世論調査結果を子細にみると,死刑もやむを得ない(80.3%)と回答した者の中の40.5%は状況が変われば将来は死刑を廃止して良いとする考えに賛成であり,「死刑存置」の意見に賛成する者と「死刑廃止または廃止の可能性を認める」の意見に賛成する者は,おおよそ10:9の割合で拮抗しているのであって,国民世論の圧倒的多数が積極的に死刑に賛成している訳ではない。
誤判,冤罪によって理不尽に生命・自由が奪われるということへの危惧は,机上のものではない。そのことは,4件の死刑再審無罪判決(免田・財田川・松山・島田各事件),再審開始決定が出された袴田事件,そして,死刑求刑事件ではないものの,比較的近年の事件である東住吉事件,東電OL事件,氷見事件などから明らかである。冤罪による無辜の処罰は,過去の例外的事例として葬り去ることはできない。我々は,死刑制度が無実の者の生命を奪う危険性のある制度であることを十分に踏まえ,その上で,死刑を存置させるのか廃止させるのかを議論を尽くす必要がある。
政府は,国連の死刑廃止に向けた要請を真摯に受け止め,積極的・能動的に,日本国民に対し,自由と平等と平和を維持するために採択した人権自由権規約(B規約)の中核にある人間の尊厳・生存権を奪うことのできない権利とする価値観・理念の普遍化に努めるべきである。
 日本弁護士連合会は,2016年(平成28年)10月7日の第59回人権擁護大会において「死刑廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑廃止を含む刑罰制度改革を目指すべきことを政府に求めた。
当会は,日本弁護士連合会の前記宣言の趣旨を踏まえ,2016年11月11日当会会長声明を発出して,死刑執行に抗議を行っている。当会は,改めて,本件死刑執行について,ここに強く抗議の意思を表明するとともに,死刑制度についての全社会的議論を求め,死刑廃止に向けた議論が尽くされるまでの間,すべての死刑の執行を停止することを強く要請する。

2018年(平成30年)3月 1日
                 福岡県弁護士会会長  作 間  功

2018年2月26日

犯罪報道において、犯罪被害者や遺族の名誉、プライバシー、平穏な生活を送る権利を尊重することを求める会長声明

 2017年(平成29年)10月,神奈川県座間市のアパートから9名の方の遺体が発見されるという事件が発生した。その後,被害者の方の身元が判明すると,被害者の遺族が被害者の実名や顔写真を公表しないよう報道機関に対して要請していたにもかかわらず,被害者の実名と顔写真が新聞,雑誌,テレビ等に掲載されるという事態が生じた。しかも,被害者の生活状況,家族構成,被害者に自殺願望があった可能性や凄惨な被害状況までもが仔細に報道され続けた。
 およそ犯罪被害者や遺族は,犯罪そのものによって容易に回復し難い深刻な被害を受けている。それに加えて,公表されることを望まない情報が報道されると,犯罪被害者や遺族は,さらなる精神的苦痛を受け,二重の苦しみを蒙ることになる。犯罪報道は,そのあり方如何によっては,犯罪被害者や遺族の名誉,プライバシーと平穏な生活を送る権利を著しく侵害するもので,さきの座間市の事件における事態は,看過できないものであった。
 確かに,報道の自由は,国民の知る権利に奉仕するための憲法上重要な権利であり,そのための取材の自由も尊重されるべきことは言うまでもない。犯罪報道も,一般に公共の利害に関することと考えられており,被害の影響を広く訴えることによって社会を変革するという大きな意義を有するものであること,また,犯罪被害者の実名報道についても捜査の事後的な検証を可能にするという意義もあることは承知している。
 しかし,そのような報道の意義は,果たして匿名報道によっても達成できないのか,名誉・プライバシーという,現代社会において最大限に守られるべき重要な人権との関係において,事案ごとに慎重な吟味・検討が必要と考える。犯罪被害者や遺族は,犯罪被害に遭わなければ普通の市民生活を送っていたはずであり,実名報道をすべき公共の利害に関するものと言えるかは,慎重に検討されなければならない。まして実名報道の上に被害者のプライバシーを白日のもとに曝す詳細な報道については一層慎重な検討が必要である。しかも,現代のインターネット社会では,いったん情報が報道されれば,その情報は半永久的に残存することとなり,一度侵害された犯罪被害者とその遺族の権利の回復は,もはや不可能である。
 そこで,当会は,報道機関に対し,犯罪被害者に関する情報を報道するにあたっては,犯罪被害者や遺族の名誉,プライバシー,平穏な生活を送る権利を尊重し,厳密な検討を加え,慎重な判断に基づく適切な報道を行うことを求める。

                 
                 2018年(平成30年)2月26日
                       福岡県弁護士会 会長 作間 功

2018年2月23日

民法の成年年齢引下げに反対する会長声明

1 現在,民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることが検討されており,成年年齢に関する民法の一部を改正する法律案の提出が今国会に提出される見通しである。

しかし,この法案には反対である。その理由は次のとおりである。

2 2009年(平成21年)10月の法制審議会による「民法の成年年齢の引下げについての最終報告書」(以下「最終報告書」という。)において,「民法の成年年齢の引下げの法整備を行うには,若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現されることが必要である」とされ,引下げの時期については,「これらの施策の効果の若年者を中心とする国民への浸透の程度やそれについての国民の意識」が重視されていた。

また,内閣府消費者委員会は,2017年(平成29年)1月10日付けで,「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書」を踏まえ,成年年齢引下げにより若年者の消費者被害の拡大への懸念と被害防止及び救済の施策の必要性を指摘していた。

私たちの法律実務上の経験によれば,18歳,19歳の若年者を中心に,マルチ商法,キャッチセールスやアポイントメントセールス,サイドビジネス,エステなどの医療美容サービス,インターネット取引などにおいて,被害が多く発生している。18歳,19歳といえば,高校生,大学や専門学校の1年生,2年生,あるいは高校卒業後就職して間もない頃であり,大学受験,大学や専門学校への進学,就職,上京,転居など,人生における大きな節目を迎えるとともに,高額の支払いを伴う様々な契約(各種学校への入学や,留学に伴う諸手続き,賃貸借契約など)を締結したり,アルバイトをするなど社会と接触する機会が一気に増える時期である。また,学校等における先輩後輩関係や友人関係等の影響を受けやすく,リスクを十分把握しないままに断りきれずに誘いに応じるといったことから,人間関係を介して被害が拡大し,また,被害に遭ったときにどう対応すればいいかも分からずに一人で問題を抱え込んでしまい,被害の解決が遅れ,さらに被害が深刻になったり,拡大してしまうという事態が生じやすい。したがって,18歳,19歳という時期こそ消費者被害に巻き込まれる可能性が格段に高まり,こうした被害から若者を守るべきことが必要な年代なのである。

このような被害について,私たちは,現状,未成年者取消権を用いることで若年者を救済している。

しかしながら,今後,18歳,19歳の若年者の取消権が失われれば,若年者が消費者被害に巻き込まれた際に,これを解決する残された主な手段は,債務整理しかないこととなり,救済策として極めて不十分である。加えて若年者が多額の負債を抱えてしまった場合,生活に困窮したことでさらなるトラブルを抱えてしまったり,あるいはその負債の返済に負われて進学を諦めてしまうという事態が危惧される。また,債務整理を行うことで信用情報(いわゆるブラックリスト)に記録が残ってしまい,希望する就職先に就職することができないといった深刻かつ重大な結果をもたらすことになってしまうことも懸念される。

その他にも,成年年齢が引き下げられることで,養育費を受けている場合ではその支払いの終期が早まってしまったり,未成年者に不利な労働契約の解除権(労働基準法58条2項)行使ができなくなる結果,若年労働者の労働環境が悪化してしまうということも危惧される。

さらに,教育の現場においても,法改正により,高校において成年者と未成年者が混在する事態が生じることになる。そのうえ,学生においては,18歳になった時点から自由に取引ができることになるが,消費者契約法や特定商取引法,割賦販売法など消費者保護法制について習熟しているとはいえない状況で,18歳,19歳の若年者に対する保護がなくなった場合,自己責任の名の下に,悪徳業者から狙い撃ちにされてしまう危険がある。

3(1) 以上の次第で,若年者を深刻な消費者被害に巻き込む重大な懸念があり,その救済が極めて困難となることから,民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることについては反対である。

(2) 仮に引き下げを行うとしても,若年者保護の見地から,それに先立って若年者が自らの利益を適切に守ることができる法的措置がなされることが前提とされなければならないと考える。

具体的には,少なくとも,(1)事業者が消費者の判断力,知識,経験等の不足につけ込んで締結させた契約を取り消すことができる規定を定めること(消費者契約法の改正),(2)知識,経験,財産状況に照らして,当該取引を行うのが適切でない若年者に対する勧誘を禁止するとともに,そのような勧誘が行われた場合にはその契約を取り消すことができる規定を定めること(特定商取引法の改正),(3)若年者の若年者がクレジット契約をする際の資力要件とその確認方法を厳格化すること(割賦販売法の改正),(4)若年者が貸金業者,銀行等金融機関から借入れを行う際の資力要件とその確認方法につき厳格化を図ること(貸金業法と主要行等向けの総合的な監督指針等の改正)が必要である。

これらの法制度が構築され,社会に浸透し,国民の理解が得られた時点において成年年齢の引下げが行われるべきであり,これらの前提なく民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることには強く反対せざるを得ない。

2018年(平成30年)2月23日
福岡県弁護士会 会長 作間 功

2018年1月15日

給費を受けられなかった6年間の司法修習生(「谷間世代」)が被っている不公平・不平等の是正措置を求める会長声明

1 昨年4月19日,司法修習生に対して,月額13万5000円,住居が必要となる者にはさらに月額3万5000円を支給する修習給付金制度を創設する裁判所法改正がなされた。司法修習費用給費制(以下「給費制」という)の重要性を訴え,その廃止後は一貫してその復活を求めてきた当会としては,ここに改めて,法務省,最高裁判所,衆参両院はじめ関係各位のご理解とご支援・ご英断に篤く感謝申し上げる。
 司法は,三権の一翼として,法の支配を実現し国民の権利を守るための枢要な社会インフラであり,法曹はこの司法の担い手として公共的使命を負っている。そこで国は,高度な技術と倫理感が備わった法曹を国の責任で養成するために,現行の司法修習制度を,1948年(昭和23年),日本国憲法施行と同時に発足させ運営している。この制度の中で,司法修習生は,修習専念義務(兼職の禁止),守秘義務等の職務上の義務を負いながら,裁判官・検察官・弁護士になる法律家の卵として,将来の進路にかかわらず,全ての分野の法曹実務を現場で実習し,法曹三者全ての倫理と技術を習得してきた。
司法修習制度が,修習専念義務を課したうえで国の責任で法曹を養成する制度である以上,修習に専念できるに足る生活保障を行うのは当然であり,戦後60余年にわたり維持されてきた給費制を2011年(平成23年)に廃止したことを見直して,今回の裁判所法改正によって修習給付金制度を創設したことは,司法修習生に対してあるべき経済的支援策の回復に向けての大きな前進として評価できる。


2 ただ,修習給付金は,その金額が安心して修習に専念できる十分な金額かどうかの問題があり,これについては継続的な調査・検討が必要であるが,これに加えて,上記裁判所法改正法の遡及適用が見送られたため,給費制が廃止されていた2011年(平成23年)度から2016(平成28年)度までの6カ年間に,無給のもと,同じ修習専念義務を負って同じ内容の修習を遂行した新65期から70期の司法修習修了者(以下「谷間世代」という)の経済的負担が旧65期以前及び71期以降の修習修了者に比して著しく重くなるという不公平・不平等な事態が発生している。しかも,谷間世代の法曹は約1万1000人に達し,全法曹(約4万3000人)の約4分の1を占め,看過できない事態となっている。
 国の責任で司法修習という制度を設置・運営している以上,このような不公平・不平等な事態を放置することは不合理かつ不条理というべきである。


3 当会では昨年8月,谷間世代の声を聴く会を開き,また同年11月には「修習給付金の創設に感謝し,谷間世代1万人の置き去りについて考える福岡集会」を開催するなど,谷間世代の会員の声に耳を傾けてきたところ,「もっと社会公益的な活動をしたくて弁護士になったが,貸与金返済が控えていて経済的余裕がないために、公益活動や積極的な業務への取り組みを自制しがちとなっており残念だ」,「貸与金の返済が始まるとコストパフォーマンスの良い仕事を優先してしまうのではないかと不安である」,「多額の貸与金や奨学金の返済債務のために、妊娠・出産を躊躇してしまう」等の切実な声が多数寄せられた。
法曹人口が急増し,弁護士の経営・収入状況の悪化という事態が生じている昨今,谷間世代の者が負わされた経済的負担を放置することは,彼らの法曹としての自由闊達な活動の制約要因となり,「法曹人材確保の充実・強化」が目指す司法の充実・強化という目的に反することとなる。
  また,今回の法改正の趣旨は,「法曹人材確保の充実・強化」という点にあるところ,制度の設置・運営責任者である国が上記のような事態を放置していることは,法曹を目指す者に対して,給付金制度の存続について不安を生じさせ,上記改正法の趣旨を減殺させる結果を招きかねない。
さらに,そもそもわが国の司法修習制度は,法曹一元の理念を背景に統一修習制度として設置・運用され,これがわが国法曹の一体感と公共的使命感の醸成に寄与してきた点で貴重なものであるところ,谷間世代のかかる不公平・不平等を放置することは谷間世代とその前後の世代との間での分断を生じることとなる点でも看過できない深刻な問題である。
これらの弊害を是正することで、谷間世代を含んだ法曹全体に一体感が生まれ、そのことにより特に若手の法曹がこれまで以上に幅広い分野で国民の権利擁護のために活躍することが可能となるなど、ひいて国民の利益に叶うことは明らかである。


4 以上の次第であるので,当会は,法務省,最高裁判所,国会に対して,谷間世代の経済的負担が旧65期以前及び71期以降の修習修了者に比して著しく重くなったままであるという不公平・不平等な事態が発生していることについて,一律給付などの方法によりこれを是正する措置を講じることを求める。なお,これとあわせて,本年7月25日(新65期司法修習修了者の貸与金返還開始時期)までに上記の措置が講じられない場合,上記是正措置が講じられるまでの間,貸与金の返還期限を一律猶予する措置を講ずることを求める。

                    2019年(平成30年) 1月11日
                      福岡県弁護士会  
                      会長 作 間  功

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