福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2008年1月18日

福岡県弁護士会会長日記

会長日記

                  会長  福島康夫(30期)
     
1 九弁連大会 
10月26日宮崎で九弁連大会が開催された。今回のシンポでは相変わらず弁護士の敷居が高いことが明らかになった。しかし,今回は宮崎の若手会員が中心となって宮崎県内の市民の方にアンケートを採るなどして,実証的な調査であった。特に今回衝撃的だったのが,えびの・小林西諸地区では自殺率が全国平均の2倍以上という異常な高さであり,その原因として医療と司法の過疎が大きいことが報告されていた。多重債務に一人苦しんで誰にも相談できずに自殺する人も多いということである。多重債務問題での自殺者は全国で年間8000人。まだまだ法の支配を社会の隅々にという理念は道半ばであるという感を強くした。過疎偏在解消が急務であることが小林の自殺率の高さが明らかにしている。
九弁連大会では世話係の宮崎の若手弁護士の姿が目立った。若手弁護士が急増しているとのことであり,宮崎県弁護士会は活気が出ていることが実感できた。いまブロックの活動範囲は格段に広くなっている。次回九弁連大会は10月24日に大分別府で開催されることが決まっている。多数の参加をお願いしたい。


2 テレビ会議システム
11月10日,担当の大石副会長からの光ファイバーが開通し,テレビ電話会議システムが設置できるめどが立ったとのメールが入った。これまで文化財保護の関係で,県弁の会館ではテレビ電話はできないということが定説だった。そのため天神センターにテレビ会議システムを設置しやむなく悪条件で日弁連の委員会をテレビ会議で行っていたが,ようやくこれでちゃんとしたテレビで会議ができることになった。日弁連の全国テレビ会議網設置をきっかけに念のため福岡高裁に問い合わせをしたところ,平田高裁事務局長をはじめとして高裁事務局から快くご協力をいただくことができた。感謝。 
今回のテレビ会議システムで日弁連は勿論全国52単位会を結ぶことができ,委員会は勿論研修もテレビ会議でできるようになった。九弁連も多額の交通費が節約することができ,財政も楽になった。また部会もつなぐことができ,県弁の委員会活動が活発になるシステムが完成した。問題は最も重要な会員の熱い熱意である。せっかく設備がそろったのであるから,これまで以上に活発な会議ができるよう委員会活動の活性化を期待したい。


3 BBCニュースの可視化報道
10月29日,吉野正会員(法テラス福岡事務所長)から鹿児島の志布志事件がBBCニュースで紹介されているということで英文の記事をFAXしていただいた。99パーセントの有罪率,自白強要,代用監獄という問題点について鹿児島志布志事件を紹介しながら報道されていた。そして,鹿児島志布志事件の元被告人の方が今取調の可視化の運動をしているという報道がなされていた。BBCニュースで日本が報道されるのはせいぜい自然災害程度ということであり,極めて珍しい報道とのことである。当番弁護士発祥の地で,かなり以前から取調の可視化を実施しているイギリスにとって驚きであろう。この報道を日本政府は恥ずかしくないのであろうか。取調の可視化を裁判員制度実施前の来年,必ず実現しなければならない。決意を新たにした貴重な報道であった。


4 家裁の接見室の設置(11月13日)
福岡家庭裁判所には接見室がなく,付添人として当日の家裁追送致に対応できないという問題点があった。接見室の設置は接見交通権の重要性から当然のことであるが,これまで設置がなされないままとなっていた。接見室の設置問題を6月27日に開催された福岡家裁との協議会で提案していたが,このときははかばかしい回答が得られなかった。ところが,10月に入り,福岡家裁の裁判所の建物内に接見室を新設するという連絡を受けた。家裁内部ではあれこれ検討していただいていたことがわかった。そして,11月13日斉藤副会長,橋山子どもの権利委員会委員長並びに委員と一緒に新設予定の場所を視察した。当日は浜崎家裁所長自ら新設に案内していただいた。場所は審判廷の隣の合議室を改造して新設するとのことであり,絶好の場所である。これで更に充実した付添人活動が可能となった。家裁のご尽力に感謝した次第である。


5 対外広報PT設置
11月8日の常議員会で対外広報PTの設置の承認をしていただいた。現在,電話帳広告に約800万円,年1回発行している広報誌ウオークに90万円の予算支出をし,これまで対外広報はこれが慣例という様相を呈していた。しかし,今年度の多重債務者救済広報でテレビ,ラジオの宣伝を行い,これまでと同様に紙ベースの広報に頼っただけでいいのかじっくり検討する必要があると考えられた。多額の広報予算を使っているにもかかわらず広報効果が少ないというのでは広報の意味はない。来年の広報予算編成のためにもここで広報を抜本的に見直す必要があると考え設置した次第である。対外広報の問題は全国どこの会でも共通である。時代に乗り遅れない最先端の広報戦略ができたらすばらしい成果である。


6 ひまわりサーチ(弁護士情報提供制度)(11月1日)
11月1日から日弁連単位でホームページ上での情報提供制度が発足した。
市民の弁護士に関する情報を知りたいという要望に対応して発足した制度であるが,まだ始まったばかりである。市民のかたの中には最もその分野に精通した弁護士に依頼したいという欲求があるが,なかなか難しい問題である。弁護士会が精通弁護士の認定,専門職の認定をすることは困難であり,古くて新しい問題である。特に,当会は法律相談センターでの登録,登録弁護士の研修という点を重視しており一部の弁護士を専門弁護士として紹介するという制度は採っていない。その意味でこれまでの基本線に乗っ取った新たな制度をいうことになろう。当会では重点取り扱い項目を5項目設けることにする制度設計をした。使い勝手は今後考えながら改善するべきは改善することで考えることにしている。いずれにしても市民の期待に応えるためには会員各位の掲載の協力が必要である。


7 民暴拡大全国会議(11月16日)
11月16日ホテル日航福岡で民暴対策全国拡大協議会が開催された。当日,平山日弁連会長は6時の飛行機で来福された。先週は徳島での四国弁連大会で御一緒だったが1週間後に福岡の会議とは。70歳を過ぎておられるのにタフさにびっくりである。当日の参加が心配されたが全国各地から400人近くが参加をし,会場一杯な参加者があふれ盛況であった。田中九弁連理事長から6月の司法シンポに引き続いて今回の拡大協議会と年に2回も大きな会議をやって福岡はすごいですねとほめられた。最近の若手を中心にした活動が福岡の実力を上げていることを実感した。今回は企業対象暴力がテーマであり,実務的に非常に有益な会議であった。当会の今年度の全国規模の大会は無事に終了した。関係各位に感謝。

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福岡県弁護士会会長日記

会長日記

                       会長 福島 康夫(30期)


1 年の初めにあたって
以前ならば執行部の実質の仕事は忘年会で終わりという感があったが,年々忙しくなっていき,今年は最後まで忙しそうである。自ら忙しくしているのではないかという声も聞こえそうであるが,断じてそうではないことをお断りしたい。
全国から公募した2007年の世相を表す漢字は「偽」ということである。昨年はミートホープの偽挽き肉,白い恋人,不二家,赤福,船場吉兆等大手や老舗の度重なる食品偽装問題,年金記録,政治資金を巡る偽装,橋梁の強度偽装等,ありとあらゆる偽装が発覚した。あまりに多いので鈍感になった感があるが,1年間の世相を表す漢字であることは認めざるを得ない。しかし,今年はマイナスイメージの漢字はもうたくさんである。
いよいよ裁判員制度のスタートまで1年となった。が国民の司法参加という観点から大きく司法制度が転換する要素を含んだ重要な制度であるが,取調の可視化が裁判員制度実施の上で必要不可欠である。裁判員になった市民が冤罪を生み出すことがないよう,制度を作っておかなければ市民の方に申し訳ない。また来年は被疑者国選制度が対象事件を10倍に拡大する。重大な制度開始まで残すところは1年。もし失敗でもすれば司法に対する市民の信頼は完全に失墜してしまう。失敗は許されない。今年は弁護士会にとって正念場である。


2 弁護士会館問題―大阪,広島との3会交流での感想
11月17日昨年オープンした大阪弁護士会館で大阪弁護士会,広島弁護士会との3会交流を行った。噂には聞いていたが,大阪弁護士会の執行部の先生方から会館の1階から最上階の14階まで案内していただいた。会館は敷地面積1500坪,建物は地上14階,地下2階建,延べ床面積5000坪。土地の取得費を含めた総費用78億円。2階には800人収容の大ホールを備え,規模の大きさに圧倒された。今や日弁連会館よりも豪華な会館であり,5月の日弁連定期総会はこの大阪弁護士会館で開催されることになっている。 1階の一部と地下(ただし採光が行き届いた半地下である)に法テラスが業務を行っており,親密な関係を保っている。また,市民に開かれた会館を象徴するように,オープン時には大阪フィルハーモニーが大ホールでコンサートを開き,2ヶ月に1回はロビーでクラシックコンサートが開催されている。会館のコンセプトは「市民に開かれた会館」「リーガルサービスの拠点」。建物は大阪の弁護士の夢が実現した,そういう感じの弁護士会館だった。大阪弁護士会は現在会員数が3000人を超えているが,将来,会員登録が5000人になっても大丈夫なようにレターケースを準備しているとのことである。一方,私たちの会館はおそらく弁護士会館の中で最も老朽化しているのではないか。今のところ平成25年には福岡県弁護士会は九大六本松跡地に移転し,新会館がオープンする予定となっている。当会の会員数は現在752名だから,大阪と比べること自体笑われそうであるが,大阪のように会館でコンサートができれば素晴らしいことである。各人が会館の夢を持ちあって,夢を実現したいものである。
ところで,昨年の会館問題は福岡市が設置した九大跡地利用計画策定委員会が利用計画をデザインして以降,表だった動きはなかった。移転時期は平成25年までになっており,今年は大きな動きがありそうである。
夢と言えば,当会が全国で初めて(待機制)当番弁護士制度を創設したのが1990年12月であった。被疑者国(公)選弁護士制度の夢を実現すべく当会は先頭を切って立ち上がった。資金はなかったが夢があった。今それが実現する一歩手前にきている。私も是非とも夢の実現のためにもう一頑張りをしたい。皆さんにももう一頑張りをお願いしたい。


3 拠点事務所問題
12月6日日弁連臨時総会において弁護士偏在解消のための経済的支援策が承認された。
偏在問題の解消は「法の支配を社会の隅々に」という目的を実現するものであり,被疑者国選弁護対応体制の確立と密接に関係している。経済的支援策では各ブロックに拠点事務所が設置されブロックの偏在問題の解消を図ることが期待されている。そこで,九弁連は離島を抱え実質ゼロワン地域が16もあり,北海道,東北と同様に過疎偏在の地域である。
当会は11月7日の常議員会で拠点事務所問題検討プロジェクトチームを設置し,この問題を検討している。現在検討中の内容は次のとおりである。
(1) 指導弁護士の人材確保等の問題から福岡市内に拠点事務所を設置する。
(2) 拠点事務所の主体は九弁連とする。
(3) 福岡県弁護士会は技術的支援をする。
一番問題になる費用についてシュミレーションを策定すべく準備中である。この点を早急に詰める必要がある。プロジェクトチームの結論は2月には出る予定である。当会として,拠点事務所設置に向けて,早急に,かつ前向きな結論を出したい。
いずれにしても,北海道弁連は「すずらん基金法律事務所」を,東北弁連は「やまびこ基金法律事務所」を既に拠点事務所として設置している。日弁連の経済的支援策を契機として,九弁連において,過疎偏在問題解消のための拠点事務所設置が今後の緊急かつ重要課題である。


4 法律相談事業及び弁護士過疎対策に関する九州ブロック協議会イン石垣島(12月1日・2日)
石垣島は台湾の東にあり緯度は変わらない。気温は25度。さすがに暑い。
リゾート気分のルンルンの観光客を横目にしながら4時間の会議はもったいないが,仕方がない。会議では九州各地の偏在過疎問題が議題となった。福岡では柳川支部に弁護士がいないことが問題になった。柳川は全国に3カ所しかないゼロ地域ということで早急に解消するように迫られた。筑後部会からはゼロ地域の解消に向けて鋭意努力中とのことである。今年早々には朗報がくることを期待したい。
2日間の会議の後のわずかな時間を利用して星の砂で有名な竹富島を観光した。竹富島は石垣島からわずかに船で10分のところにあるが,海は青々と澄んでおり,ゆったりとした時間を感じさせる島だった。暑かったが,いっぺんに気に入ってしまった。島の人口は356人。猫51匹,犬29匹,水牛20頭,山羊24頭,牛400頭,ニワトリ10羽と正確に調査がなされていたのにはおかしかった。まさに顔の見える平和な島である。しばしの休息を楽しんだ。


5 日本弁護士政治連盟(弁政連)九州支部設立の件
近時,弁護士会の問題は政治家との折衝が多いということである。確かに以前は法曹三者での協議に任せるという慣習があったが,規制緩和の動き等の中で司法制度改革審議会が設立された前後頃から政府や国会で決めていくことばかりである。法曹人口問題しかりである。それだけに弁護士会の運動を支える超党派の弁護士政治連盟の必要性が高い。特に,司法書士会,行政書士会の総会,懇親会に出席すると,運動に支援をされている多くの政治家が出席されていた。司法書士会,行政書士会の政治力の強さ,それに比べて弁護士会の政治力のなさを実感することが度々であった。日本弁護士政治連盟本部は東京であり,今般九州支部が設立されることになった。弁護士会の運動を強化する意味で喜ばしい限りである。
ところで,2009年から被疑者国選弁護制度は現在の10倍に対象事件が拡大するが,現在のような低額報酬では私たち弁護士の犠牲も限界である。2009年には報酬改善をして適正な報酬でなければ国選弁護のモチベーションはあがらない。来年の予算審議の中で報酬の大幅増額を獲得しなければならないし,この機を逃せば国選弁護報酬を適正化することはできないのではないかと思える。さらには,また,現在,取調べの可視化問題は民主党が参議院に可視化法案を提出し,次年度の通常国会で本格的な審議がなされる可能性が高いとのことである。私たちの弁護士会の理想を追い求め,運動を結実させるためには,超党派の弁政連の活動は必須不可欠である。弁政連九州支部設立総会は1月19日午後5時からである。多くの会員の結集をお願いしたい。


6 私たち執行部の任期は残すところ3ヶ月を切ってしまったが,新年を迎え心機一転全力で会務の舵取りをしたい。これまでの会員の皆さんのご理解とご支援に心から感謝すると共に,残った任期中のご支援をお願いしたい。

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2008年1月24日

経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会の割賦販売法改正に関する最終報告に対する会長声明

声明

1 経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会において2007年11月29日付で割賦販売法改正についての報告書が取りまとめられた(以下「報告書」という)。
 これまで福岡県弁護士会は、悪質商法を助長するクレジットが深刻な消費者被害をもたらすことから、その救済と安全なクレジット社会の実現に向けて、割賦販売法改正を求め、シンポジウムの開催、意見書の提出、請願署名活動等に取り組んできた。
 今回の報告書は、(1)個品割賦購入あっせん業者取引において、特定商取引法類型の取引を行う販売業者が与信契約に関する重要事項について不実の告知を行った場合、あるいは、与信契約の締結を必要とする事情または与信契約締結の判断に影響を及ぼすことになる重要なものについて不実の告知を行った場合、購入者は与信契約を取り消すことができるよう措置を講ずるとして、その範囲で過失を要件としない既払金の返還を認めた点、(2)すべての割賦購入あっせん業者に一般的義務として悪質な加盟店を排除し適正与信義務を負うこととした点、(3)特商法適用取引の場合の個品割賦購入あっせん業者に加盟店の勧誘販売方法等に関する調査義務を課し、その調査結果に基づく適正与信義務を負うものとした点、(4)すべての割賦購入あっせん業者に対し、一般的過剰与信防止義務と信用情報機関の利用義務を定め、支払い能力を超える与信を行わない点の義務違反の場合には行政処分の対象にするとした点、(5)特商法適用取引の場合の個品割賦購入あっせん業者には収入、資産等の支払い能力、販売数量や過去の購入履歴、購入意思などについて個別具体的な調査義務を課し、その場合における信用情報機関の利用義務及び調査結果の信用情報機関への登録義務を定めた点、このほか、(6)現行法の割賦要件を撤廃して、1回払い・2回払いのクレジット契約も適用対象とした点、(7)指定商品・指定役務制を廃止した点、(8)個品割賦購入あっせん業者に対し登録制を導入、(9)個品割賦購入あっせん業者に契約書面交付義務と、訪問販売に伴う個品式クレジット契約にクーリング・オフを導入した点、など従来我々が求めてきた消費者保護の観点に立つ重要な制度の策定であり、画期的な内容であると評価できる。
 しかしながら、報告書の意見にはなお不十分な部分があるので、改正の趣旨をさらに徹底させる見地から、福岡県弁護士会は割賦販売法改正の国会審議にあたり、以下の点を強く求めて意見を述べるものである。


2 悪質な販売業者が個品割賦購入あっせん取引を利用して不適正な販売方法により被害を生じさせる場合は、特定商取引法適用の訪問販売等の取引に限らず店舗取引においても大規模な被害が発生している(ココ山岡事件)。また、そもそも個品割賦購入あっせん取引は、販売業者がクレジット業者から代金の一括立替払いを受け、クレジット業者が購入者に割賦代金の支払い請求を行う構造なので、自ら代金回収の努力をしない販売業者の悪質商法に利用されやすい。また、購入者が販売契約の詐欺や債務不履行などに遭い契約の無効、取消、解除を訴え契約関係を解消しても、既に支払った代金を回収できず、あるいはトラブルの交渉の間も支払い請求を受けるので、悪質商法被害の負担は消費者にかかる。しかし、クレジット業者は加盟店管理を通じて販売業者の履行体制を調査・確認できる体制にあり、かつ、クレジットシステムを提供して加盟店との提携の利益を得る地位にあるので、クレジット契約のトラブルに関し加盟店のもたらすリスクを負担すべきは消費者ではなくクレジット業者であるべきである。さらに、特定商取引法適用に限定して店舗取引を除外すると、実態は訪問販売と異ならない販売方法を店舗販売に用いて脱法的な行為を助長することになり、規制の趣旨が潜脱されるおそれがある。
 したがって、クレジットシステムから生じる被害の防止義務、救済措置は、特定商取引法適用取引以外の取引についても要請され、報告書のように限定すべきではない。
 同様に、加盟店調査等の管理を適正に行なう適正与信義務についても、店舗取引被害が生じている実態や店舗取引に詐欺行為などの悪質商法があった場合には課されないのは狭すぎることから、特定商取引法適用取引に限るべきではなく広く適正与信義務を導入すべきである。
 報告書は過剰与信防止についての義務に関し、何が過剰与信かの判断を一律に決めず、具体的な調査義務を課すことにしている。しかし実効的な過剰与信防止のためには明確な基準が必要であり、具体的数値を設けるか、具体的数値を盛り込んだ詳しいガイドラインを策定すべきである。


3 福岡県弁護士会は、今後国会での割賦販売法改正案審議にあたり、以下の点を強 く求めるものである。

  (1) 個品割賦購入あっせん取引において、販売契約の取消・無効・債務不履行による解除事由がある場合は、クレジット事業者に対し、既払い金の返還を求めることができるよう特定商取引法適用取引に限らず対象を個品割賦購入あっせん全体に拡大すべきである。
  (2) 適正与信を行うための具体的な加盟店調査義務、契約締結過程の調査義務は、適用対象を店舗取引・通信販売を含む個品割賦購入あっせん全体に拡大すべきである。
  (3) 過剰与信に当たるか否かの具体的な判断基準が必要であり、年収基準などのわかりやすい基準を設けるべきである。
                           
2008年1月24日
                     福岡県弁護士会 会 長 福島康夫

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