福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

会長談話

2023年11月17日

元会員の逮捕に関する会長談話

 当会の会員であった立野憲司(たての けんじ)弁護士(2023年3月31日に第一東京弁護士会に登録換え)が、当会所属期間中に、依頼者からの預り金約840万円を業務上横領したとして、2023年11月16日、逮捕されたとの報道に接しました。
 当会としては、元会員が業務上横領事件で逮捕されたことについて、極めて重大なこととして厳粛に受けとめています。
 被疑事実の真偽につきましては今後の捜査及び裁判の進展を待つことになりますが、仮に事実であるとすれば、弁護士の職務に対する社会的信頼を著しく傷つけるものであり、到底許されるものではありません。
 当会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の職務を全うするため、会員一人一人に対してあらためて弁護士としての自覚と倫理意識の徹底を求めるとともに、所属会員の非行事案に関し迅速かつ適正な処分を行い、弁護士及び弁護士会に対する社会の皆さまからの信頼の回復及び向上に努力する所存です。
                     

2023年11月17日
                          福岡県弁護士会
                           会長  大神 昌憲

2023年6月 7日

会長談話

 当会の会員であった小山格(おやま ただし)元弁護士が、当会所属期間中に、供託金を要するなどと偽り530万円を詐取したとして、2023年(令和5年)6月6日、逮捕されたとの報道に接しました。
 当会としては、元会員が詐欺被疑事件で逮捕されたことについて、極めて重大なこととして厳粛に受けとめています。
 被疑事実の真偽につきましては今後の捜査及び裁判の進展を待つことになりますが、仮に事実であるとすれば、弁護士の職務に対する社会的信頼を著しく傷つけるものであり、到底許されるものではありません。
 当会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の職務を全うするため、会員一人一人に対してあらためて弁護士としての自覚と倫理意識の徹底を求めるとともに、会員の非行事案に関し迅速かつ適正な処分を行い、弁護士及び弁護士会に対する社会の皆さまからの信頼の回復及び向上に努力する所存です。


2023年(令和5年)6月7日
福岡県弁護士会
会長 大 神 昌 憲

2023年5月 3日

憲法記念日にあたっての会長談話

本日、施行から76年を迎える日本国憲法は、その前文において、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認しています。
昨年2月、ロシア連邦がウクライナへの軍事侵攻を開始し、既に1年以上が過ぎましたが、未だ解決に向けた動きもないまま、多数の兵士そして子どもたちを含む民間人の命が失われ、何百万人もの人々が故郷を追われたままとなっています。温暖化に伴う異常気象、新型コロナウイルスによる経済停滞、各地で続く紛争によって、安定的な食料生産が脅かされる地域が 拡大する中、ウクライナ情勢がさらなる打撃となり、世界規模での深刻な食糧危機も懸念されるなど、「 恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」が脅かされています。
このような状況の中、昨年12月、岸田内閣は、いわゆる安保三文書(「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」)を閣議決定し、その中で、「反撃能力」を保有するとしました。当会は、これが「戦力」にあたり憲法9条2項に違反するとして強く抗議し撤回を求める会長声明を、本年3月に発出しました。
日本国憲法は 、前文で平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、私たちの安全と生存を保持するとしています。お互いの「国家主権」と「 生存する権利 」を尊重し、武力ではなく、法の支配、対話、信頼、人道支援を通じて平和を実現するという憲法の理念にこそ、解決の糸口があるのではないでしょうか。
「不安を、安心に」をモットーとする当会は、今後も、個人の尊重を最高の価値とする日本国憲法の理念を生かし、基本的人権を擁護し、社会正義を実現する、そして、法的助力の必要な市民一人ひとりに寄り添う弁護士の団体として、 全力をあげて活動してまいります。

2023年(令和5年)5月3日
福岡県弁護士会
会長 大 神 昌 憲

2022年5月 3日

憲法記念日にあたっての会長談話

日本国憲法は,本日,施行から75年を迎えました。

今年2月,ロシア連邦がウクライナへの軍事侵攻を開始し,戦争によって,兵士のみならず,子どもたちを含む多くの民間人までもが犠牲になっています。
戦争は最大の人権侵害です。日本も,先の大戦において,多くの日本国民の生命,のみならず多くの世界の人々の生命が奪われるという戦争の惨禍を経験しました。その歴史を痛切に反省し,政府によって二度とこのような過ちが起こされることのないようにとの固い決意のもと,日本国憲法は,基本的人権の尊重,国民主権,恒久平和主義の三原則を基本原理としました。
日本国憲法は,武力行使を禁じ(9条1項),戦力不保持・交戦権否認を定め(同2項),徹底した恒久平和主義をとっています。前文では,「全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有すること」を確認しています。そして,戦争の惨禍を繰り返さないために,「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持」する方策をとることを宣言しています。武力を手段として国際紛争を解決するのではなく,対話と協調を積み重ねる外交努力によって平和を維持していく,これこそが日本国憲法が目指す国際平和のあり方です。
武力により人々の命と暮らしを奪い,肥沃な国土を焦土と化す今回のロシア連邦の軍事侵攻は,絶対に許されないものです。当会は,これに厳しく抗議し,平和の回復に向けた積極的な外交努力を日本政府に求める会長談話を,本年3月2日に発表しました。

日本国内では,2020年から続く新型コロナウイルスの感染拡大により,多くの業種や低所得者層が大きな経済的打撃を受け,貧困や格差が広がっています。多数の非正規労働者を含む解雇や雇い止めによる失業者の増加,母子世帯をはじめとする困窮世帯の生活のいっそうの貧困・困窮化や負債の増大,女性や高齢者,若年者の自死の増加,ドメスティック・バイオレンスや性暴力被害の増加など,多くの課題が浮き彫りになっています。子どもたちの教育への影響も深刻です。感染やワクチン接種に関する偏見や差別の問題も生じています。また,ロシア連邦による戦争は,今後,物価の上昇等によって,生活への打撃を加速する恐れがあります。
人々が安心して暮らせる社会であるために,憲法が保障する基本的人権,とりわけ生存権(25条),勤労の権利(27条),営業の自由(22条),平等権(14条),教育を受ける権利(26条),幸福追求権(13条)などを守るための取り組みが,いっそう重要になっていることを私たちは自覚しなければなりません。

当会は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体として,憲法の理念をふまえ,平和と人権擁護のために全力をあげて活動してまいります。


2022年(令和4年)5月3日
福岡県弁護士会
会長  野田部 哲也

2015年5月 7日

憲法記念日にあたっての会長談話

 本日、日本国憲法が施行されてから68周年となる憲法記念日を迎えました。
 我が国の憲法は、先の大戦において、アジア諸国をはじめとする他国と国内に甚大な人権侵害を引き起こしたことへの痛切な反省のうえに立ち、基本的人権の保障、恒久平和主義、国民主権を基本原理としています。そして、国家権力の濫用による人権侵害を防ぐために国家権力を制約する、立憲主義を根本理念としています。
 ところが、近時、このような憲法の基本原理と根本理念が危機に瀕しています。
 昨年7月、内閣は、歴代内閣が堅持してきた憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を強行しました。これは恒久平和主義に反するとともに立憲主義に反する暴挙です。それにもかかわらず、国会では、この解釈変更を踏まえた安全保障関連の法改正が審議されようとしています。
 また、昨年12月には特定秘密保護法が施行されました。同法により、国政に関する重要な情報が国民の目から隠される虞があります。これは国民の知る権利を侵害するとともに、国政に関する国民の判断を誤らせ、国民主権を歪める虞があります。特に、集団的自衛権行使に関する情報が特定秘密に指定されれば、国民が知らないままに戦争に突入するという事態ともなりかねません。
 しかも、衆参両議院の選挙において一票の価値の不平等が是正されないままに、このような政治的意思決定がなされています。国民の意思が適切に反映されない構成の国会と、その国会に指名された総理大臣が組閣した内閣が行った政治的意思決定が、国民意思を反映しているとは言えません。
 このように日本国憲法の基本原理と根本理念が危機に瀕している今であるからこそ、私たちは、改めて基本的人権の保障、恒久平和主義、国民主権という憲法の基本原理、及び立憲主義という憲法の根本理念の意義と価値を確認することが大切だと考えます。そのために、福岡県弁護士会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を職業的使命とする法律家団体として、国民とともに全力を尽くします。

2015年(平成27年)5月3日
                      福岡県弁護士会
                        会長 斉藤 芳朗

2012年11月21日

当会会員の起訴についての会長談話

 本日、当会の島内正人会員(北九州部会)が成年後見人を欺罔し、多額の金員を詐取したという公訴事実で起訴されました。このことは真に慙愧に堪えません。
 当会では、近時、刑事事件を含む会員の不祥事が続発し、当会のみならず弁護士、弁護士会全体に対する国民皆様の信頼を大きく毀損しており、重大な事態であると厳粛に受け止めております。
 当会は、国民の皆様からの信頼を回復し、基本的人権の擁護を使命とする弁護士として期待される職務を全うするため、会員一人一人に対して更なる倫理意識の徹底と自覚を求めるとともに、弁護士の職務を忘れ不正を行った弁護士に対しては、除名を含む厳しい態度で臨む決意です。

                         2012(平成24)年11月21日
                                 福岡県弁護士会
                                 会長 古賀 和孝

2012年10月31日

当会会員の逮捕についての会長談話


 
 本日、当会の島内正人会員(北九州部会)が詐欺の容疑で逮捕されましたことは誠に遺憾です。
 当会は、同会員について成年後見監督人の立場を利用して成年後見人が管理する成年被後見人の財産を詐取したことを理由として、平成24年10月25日、会立件で懲戒手続に付し、同日これを公表しました。
 当会では、近時会員の不祥事が続発したことから、不祥事の再発を防止する対策を検討しておりますが、その最中、同会員の逮捕に至ったことは、当会のみならず弁護士、弁護士会全体に対する国民皆様の信頼を大きく毀損する事態であると、重く受け止めております。
 当会は、国民の皆様からの信頼を回復するため、会員一人一人に対して更なる倫理意識の徹底と自覚を求めるとともに、弁護士の職務を忘れ不正を行った弁護士に対しては、除名を含む厳しい態度で臨む決意です。


                       
2012(平成24)年10月31日                          
福岡県弁護士会                                 
会長 古賀 和孝

2012年10月11日

当会元会員の実刑判決についての会長談話

会長談話

当会元会員高橋浩文が、本日、被害額約4億6000万円に上る詐欺、業務上横領罪にて懲役14年の実刑判決を受けたことは、誠に遺憾というほかありません。市民の権利擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士が、こともあろうに、依頼者を欺き、多額の被害を与えたことは、慚愧に堪えません。
当会は、市民の弁護士、弁護士会に寄せる信頼を回復すべく、改めて全ての会員に対して弁護士に課せられた使命の自覚を促すとともに、不祥事防止策を早急に講じる所存です。

                      
                        2012年(平成24年)10月11日
                     福岡県弁護士会会長 古 賀 和 孝

2012年9月25日

発達障がいのある被告人による実姉刺殺事件の大阪地裁判決に関する会長談話


発達障がいのある被告人による実姉刺殺事件の
大阪地裁判決に関する会長談話


 本年7月30日、大阪地方裁判所は、発達障がいがある男性が実姉を刺殺した殺人被告事件において、被告人に対し、検察官の求刑(懲役16年)を上回る懲役20年の判決を言い渡した。
 同判決は、犯行に至る経緯や動機について、被告人に、発達障がいの一種であるアスペルガー症候群の影響があったとし、被告人が十分に反省する態度をしめすことができないことには同症候群の影響があり、通常人と同様の倫理的非難を加えることはできないとしながら、他方、十分な反省のないまま被告人が社会復帰すれば、そのころ被告人と接点を持つ者の中で、被告人の意に沿わない者に対して、被告人が同様の犯行に及ぶことが心配されるとし、社会内で被告人の同症候群に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、その見込みもないという現状の下では再犯のおそれが更に強く心配され、被告人に対しては、許される限り長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうすることが社会秩序の維持にも資するとして、有期懲役刑の上限にあたる刑を言い渡したものである。
 しかし、同判決には看過できない以下の問題点がある。
 第1は、同判決は、刑法の理念である責任主義に反している点である。人が同症候群を有することは、その人の責任ではない。同判決が、通常人と同様の倫理的非難を加えることはできないと認めるとおり、同症候群の影響は、刑を減じる方向に働くべき事情である。にもかかわらず同判決は、同症候群の影響をもって再犯のおそれを強調し、逆に刑を加重しており、責任主義に反していている。被告人に対し、許される限り長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうすることが社会秩序の維持に資するという発想は、保安処分につながるものであり、到底許されるものではない。
 第2は、同判決が、同症候群の障がい特性に対する無理解に基づいている点である。同症候群を有する人は、社会的なコミュニケーション力や、相手の気持ち・場の雰囲気を読み取る力が弱く、限定した興味に対するこだわりが強い、といった特性を有しているが、同症候群が危険であるとか、直接犯罪に結び付くといったことは決してない。むしろ同症候群を有する人は、これらの特性を周囲に理解してもらえず、ストレスに苦しみながら真面目に生活している人が多く、十分な支援があれば、逸脱行動を取ることは稀である。
 本件において被告人の再犯防止に必要なことは、障がい特性に応じた十分な支援を受けさせることである。わが国の刑務所では、同症候群を含む発達障がいに対する支援体制は乏しく、長期間刑務所に収容しても、その効果を期待することはできない。
 同判決は、障がい特性に対する無理解により、被告人に対する再犯防止への道筋を誤っており、同判決が、同症候群に対する社会の偏見や差別を助長することを深く懸念するものである。
 第3は、同判決が、同症候群を含む発達障がいに対する法的・社会的状況について明らかに誤った認識を有している点である。発達障がいを有する人に対しては、2005年(平成17年)に発達障害者支援法が施行され、発達障がいを有する人の自立及び社会参加に資するようその生活全般にわたる支援を図ることが社会全体の責務とされ、都道府県及び政令指定都市において発達障害者支援センターが設置されている。また厚生労働省においても、障がいにより福祉的な支援を必要とする矯正施設退所者について、退所後直ちに福祉サービス等につなげるために「地域生活定着支援センター」が各都道府県に開設されるなど、目下、諸施策が立案・実施されているところである。
 同判決が、社会内で被告人の同症候群に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、その見込みもない、という認識は明らかに誤っており、その誤った認識から、被告人を許される限り長期間刑務所に収容すべきとすることもまた、明らかに誤っている。
 司法を担う裁判所が判決において、このような誤った認識を示すことは、同症候群をはじめとする発達障がいを有する人に対する社会的偏見や差別を助長するものであって到底看過できない。
 当会は、同判決が有する重大な問題点を指摘するとともに、広く社会に対し、障がい特性や、障がい者を取り巻く法的・社会的状況等を正しく理解することを求める。


2012年(平成24年)9月25日
福岡県弁護士会会長 古 賀 和 孝

2012年5月10日

会長談話

                会長談話


 本日、当会会員が詐欺の容疑で逮捕されましたことは誠に遺憾です。
 当会は、同会員について預かり金の返還遅滞を理由として、平成24年3月22日、会立件の形で懲戒手続に付し、翌23日、これを公表しました。上記懲戒手続につきましては、4月19日、綱紀委員会の議決を経て、懲戒委員会による審査手続に入っております。
 同会員の行為が返還遅滞に止まらず今回の逮捕容疑事実に及んでいたとすれば、その行為は弁護士に対する信頼を根底から覆すものであることが明白です。
 昨年、当会の別の元会員が業務上横領で有罪判決を受けております。このような問題の続発により、当会のみならず弁護士全体に対する国民の信頼を失いかねない状況に至っていることを深く自覚し、重く受け止めております。
 当会は、国民の皆さまからの信頼を回復するため、不正を行った弁護士に対しては、常に除名を含む厳しい態度で臨む決意です。
 こうした制度上の措置に加え、会員の倫理意識を一層高め、会員一人一人に更なる自覚を求めるとともに、こうした事件の再発防止策についての検討を急ぐ所存です。


                        2012(平成24)年5月10日
                              福岡県弁護士会
                                会長 古賀 和孝

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