福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2016年11月11日

死刑執行に関する会長声明

声明

1 本日,福岡拘置所において1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
この執行は,昨年12月から1年にも満たない期間の3回、5人目の死刑執行であり,裁判員制度の下で死刑が確定し,執行された2例目となるものである。
死刑制度の存廃について意見が分かれており、また,裁判員への負担が問題になっているにもかかわらず,国会においてほとんど議論されないまま,死刑の執行のみが行われ続けている。
2 国際社会において,死刑制度は,徐々に廃止へと向かっており,現在では国連加盟国の約3分の2が死刑を廃止又は停止をしている。そして,国連人権関連機関からは,日本を含む死刑存置国に対し,幾度となく死刑廃止に向けた行動を取ることを勧告され続けている。
このような中,日本弁護士連合会は,再審無罪となった事件(免田・財田川・松山・島田)や袴田事件再審決定に代表される誤判・冤罪の現実的危険性を踏まえ,また,いかなる者であろうとも変わり得ることを前提に社会内包摂を目指すべきことを主な理由として,本年,「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきこと,また,代替刑として,刑の言渡し時に「仮釈放の可能性がない終身刑制度」,あるいは,現行の無期刑が仮釈放の開始時期を10年としている要件を加重し,仮釈放の開始期間を20年,25年等に延ばす「重無期刑制度」の導入の検討等を政府に求めたばかりである。
3 当会は,政府に対して,今回の死刑執行について強く抗議の意志を表明するとともに,早急に,死刑制度の廃止へ向けた検討がなされ,それに基づいた施策が実施されるまでの間,一切の死刑執行を停止することを強く要請するものである。



2016年(平成28年)11月11日
                 福岡県弁護士会会長  原 田 直 子

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