福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2006年7月13日

死刑執行の停止を求める会長声明

声明

2006(平成18)年7月12日

福岡県弁護士会 会長 羽田野節夫


1 わが国での死刑執行は、1989年11月から1993年3月までの3年以上にわたって執行が控えられていた。
 ところが、その後死刑執行が再開され、2005年9月16日までに19回にわたり執行され、その被執行者数の累計は47名に及んでいる。
 しかし、国際的には、1989年に国連総会において採択された死刑廃止条約が、1991年7月に発効しており、2006年6月7日現在、死刑存置国71カ国に対して死刑廃止国125カ国(法律で廃止している国と過去10年以上執行していない事実上の廃止国を含む。)と、死刑廃止が国際的な潮流となっている。その中で、1998年11月5日、日本政府の第4回定期報告書を審査した国連規約人権委員会は、その最終見解において、わが国の死刑制度に関して1993年11月4日に同委員会が表明した懸念事項が実施されていないことにつき重大な懸念を抱いていることを示し、改めて死刑廃止に向けた措置をとるよう勧告している。
 国内的には、1993年9月21日の最高裁判決中の大野正男裁判官の補足意見にて、死刑の廃止に向かいつつある国際的動向とその存続を支持するわが国民の意識の整合を図るための立法施策が考えられるとの指摘がありながらも、十分な議論が尽くされないまま死刑執行が繰り返されてきた。
2 このような国際的な潮流と国内的な状況を踏まえ、とりわけ、現に死刑確定者が収容されている死刑執行施設を備えた福岡拘置所がある当地において、当会は、これまでに、死刑確定者からの処遇改善や再審援助要請といった人権救済申立事件を受理し、同事件処理をとおして、死刑制度の存廃を含めた問題に取り組む必要性を痛感し、より積極的な取組みをするべきであると考えてきた。
 ゆえに、当会は、これまで、数回にわたり、当会会長声明において、死刑執行に対して極めて遺憾であるとの意を表明し、法務大臣に対し、死刑の執行を差し控えるべきであるとの要望を重ねてきた。
 また、当会は、2004年10月7日の日弁連人権大会に向けたプレシンポを九州弁護士会連合会と共に「アジアにおける死刑―死刑廃止の胎動」と題して9月4日に開催し、隣国の韓国及び台湾(中華民国)が死刑廃止立法に向けた確かな歩みをしている事例を紹介し、日本においても死刑廃止を含めた死刑制度の国民的議論の必要性を喚起した。
3 しかしながら、死刑制度存廃につき国民的議論が尽くされないまま、死刑の執行が繰り返されてきた。しかも、これまで国会閉会直後や国政選挙直前あるいは年末など、国会による議論を避け、国民の関心が他に向けられやすい日程で死刑の執行が行われている。
このような状況に照らせば、83名の死刑確定者(2006年6月6日現在)に対し、今後、近いうちに死刑の執行が行われる可能性がある。
 そこで、当会は、法務大臣に対して、今後、死刑の執行を停止するよう強く要請する。
              

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北九州矯正センター構想に反対する声明

声明

2006(平成18)年7月12日

福岡県弁護士会 会長 羽田野節夫
同北九州部会 部会長  横光幸雄


1,当会は、平成7年2月に小倉刑務所敷地に医療刑務所・小倉少年鑑別所(現福岡少年鑑別所小倉支所)・福岡拘置所小倉支所の3施設を移転させるという「北九州矯正センター構想」(以下、「本構想」という)が発表されて以来、一貫して本構想に反対し、対策本部を設置して、様々な活動を展開してきた。その結果、本構想は長期にわたり凍結されたままの状態となっていたところである。
2,ところが、平成16年度に小倉少年鑑別所を小倉刑務所跡地に移転する計画が突然予算化された。そこで、当会は、本構想に反対することとあわせ、当面の問題として少年鑑別所を刑務所と隣接敷地に設置することにより、少年鑑別所に収容される少年に多大な悪影響を及ぼし、少年の健全な育成が阻害されること、少年鑑別所が刑務所と類似した矯正施設であるかのような誤解や偏見を世間に与える事態が生じることなどを理由に、小倉少年鑑別所を小倉刑務所跡地に移転させる構想に断固として反対してきたところである。
3,その後、法務省は、地域住民の反対もあって、一旦着工を延期したものの、地域住民から提出された道路整備等を内容とする要望書の一部を受け入れる形で地域住民の自治会組織である小倉南区自治総連合会の同意を取り付け、平成18年6月7日に小倉少年鑑別所新築工事の入札を実施し、平成19年3月までに完成させる予定で工事を着工しようとしている。
4,しかしながら、法務省は矯正施設である刑務所、鑑別施設である少年鑑別所、無罪の推定の働く未決者の拘置施設である拘置所を併設することの問題点について、抜本的な解決を図る姿勢が全くない。のみならず、地域住民に対して、本構想の全容、特に将来的には本構想に基づき福岡拘置所小倉支所の小倉刑務所跡地への移転計画が存在することについて十分な説明を行っておらず、地域住民の鑑別所移転についての合意形成手続についても重大な疑問があるといわざるを得ない。
5,そこで、当会としては、このような経過を踏まえて、改めて、本構想の撤回及び少年の健全な育成を理念とする少年法の趣旨に反する小倉少年鑑別所の小倉刑務所跡地への移転に断固として反対するものである。
  さらに、当会としては、本構想に基づき近い将来予想される福岡拘置所小倉支所の小倉刑務所跡地への移転にも強く反対し、引き続き本構想の全面的な撤回を求めるものである。
                          以 上

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2006年7月18日

福岡県弁会長日記

会長日記

会長 羽 田 野 節 夫

県内各地の相談センターの巡回と同センターの活性化策!
 2月10日17:00県弁会長選挙当選証書を受領すると同時に肩の荷がずしりと重くなった感じがする。
 緊張と重責感の連続に耐えながら健康に留意しつつ、この1年間を乗り切っていこうと心に誓う。
 会長の任期は、4月1日から始まるが、事務引継ぎ等による準備期間からその仕事は始まる。2月中旬頃、ゴールが見えた前年度執行部各位は、すれ違い様の声かけに際し、心、晴れ晴れ、気持すっきり感が漂う。
 当選証書を受け取るや、手始めに県内の主要な法律相談センターの実状調査を始めた。手始めに、宗像センター、博多駅前センター、いとしまセンターを訪問し、その後、飯塚部会管内の3地区(田川、直方、飯塚)の法律相談センターを巡り、北九州部会、筑後部会の順序で廻った。北九州と筑後各部会へは、作間功福岡部会長兼副会長予定者(当時)と共に巡った。
 各地の法律相談センターを巡って判ったことは地方の施設の大半が稼働率が悪く、且つ、相談件数が軒なみ下がっていることである。この要因は、何か真剣に考える必要がある。私は、法律相談センターの拡充こそが来たる2007年問題(法曹大増員)の対策の解決の鍵だと認識しているからである。相談件数の落ち込み乃至は伸び悩みの原因は、他士業、 例えば司法書士会や行政書士による無料法律相談の実施(行政書士は非弁活動の疑いあり)等により有料相談を原則とする当会の法律相談センターが影響を受けていると思われる。
 又、各センターの実施日を調査すると週に3〜4日とあって、施設を利用していない所謂遊休施設も見られる。今後、これらの法律相談センターの有効利用を考え、併せて、広報宣伝をしていく必要がある。特に、遊休時のセンター施設の有効利用促進策を会員の皆様で考えて欲しい。私は、この施設で毎週1回、消費者問題、高齢者・障害者問題、住宅紛争問題等につきミニコンサート風に有料(低額)のミニ法律セミナーを実施し、その後に無料相談会を実施しては如何かと考え、各委員会に検討をお願いしている。

事務引継ぎ会議
 2月25日(土)新旧執行部の事務引継会議を実施。
 分厚い会務引継書を新執行部は重い気持ちで受け取り、旧執行部は、重責感から解放される思いが心を晴ればれとさせるのであろう。心うきうきである。それにしても、多岐に渡る会務活動をよくもまあ系統立てて整理しているものよと感嘆しきりである。
 近年の会務活動の広がりと中身の濃さはすさまじく、平成10年に福岡部会長兼副会長を勤めた経験がある私も戸惑うばかりである。とりわけ、平成10年当時は、部会長及び担当副会長としての仕事をこなしておけばよかったが、会長ともなると県弁全体と会務全般に気を配らねばならず、昨今の日弁連の活動の充実振りと併せ考えるとため息の連続である。引継ぎ会議の後、旧執行部の手厚いもてなしの懇親会の御接待を受け、良き伝統を有難く感じた。

大連律師協会訪問
 2月26日〜2月28日、久し振りに厳冬(夜間温度−15℃、昼間−1〜2℃)の中国の大連市律師協会を訪問した。平成12年10月頃に当会を訪問し柳川の川下りを当会の吉村安先生と共に御案内した当時の律師協会の副会長であった王法瑞氏が、大連律師協会の会長となられていて、お会いして一目で判り、懐かしい思いがした。会長王氏の御挨拶の端々に、当時の訪問の様子が語られ国際交流の小さな成果がみられた。今後は、大連律師協会との交流をどのように充実させていくか、さらには、台湾の高尾市も当会との交流を希望しているようであり、如何に両立させるかが課題である。

愛知、横浜、当会との三会交流会
 3月11日(土)〜3月12日(日)にかけて、名古屋市において、愛知県弁護士会主管の下で、三会交流会が開催された。この会には、新旧執行部が揃って参加し、旧執行部にとっては反省会となり、新執行部としては今後の課題と展望が見聞された。
 特に印象に残ったのは、?会務活動の義務化?問題である。今後、大量に増員される見込みの会員の会務離れを如何に食い止めるか、その方策を両会共に検討中とのことである。会員が大量に増えると会員の顔も判別しがたくなり、会への帰属意識も低下し、会務離れも激しくなることが予想される。東京三会は、既に重要な会務について義務化をはかっているそうである。当会も、今後、いずれは考えなければならないであろう。

あいさつ廻り
 3月27日〜4月4日まで実質10日間、福岡県や福岡市、北九州市、久留米市、大牟田市、その他の重要市町村、約160ヶ所にあいさつ廻りを実施した。
 又、マスコミ各社も訪問した。当会の種々の活動に対して、深く理解されていること、又種々感謝されていることが体感できた。話題の中心は3年後に実施される裁判員制度である。
 しかし、その中味は余り理解されていないので、広報宣伝の必要性とこの制度が有する問題点を市民に理解してもらう必要性を感じた。

第1回常議員会と福岡県弁の花見の宴
 4月8日(土)午前10時より、羽田野執行部の第1回目の試練である第1回常議員会が開始。午後に予定される福岡県弁の花見の宴のために会議を早々に切り上げたがっていた執行部ではあったが、歴戦の兵ばかりの常議員も、そうはさせじと質問と意見が多発し、とりわけ、代用監獄法案に反対する会長声明については、文章の一部を撤回修正を余儀なくさせられるなど、前途多難なうちにも、好調なすべり出しである。
 午後1時からの花見の宴は、桜は満開、天気は良し、弁当はうまい。総勢80人を超える会員に集まって戴き、平成18年度執行部としては幸運に恵まれ、上々の滑り出しである。

日弁連第1回理事会
 4月14日(金)、同15日(土)の二日間、本田副会長と私の2人が上京し、日弁連会館にて、日弁連理事会が開催された。朝10時から夕方5時まで11時間、身柄を拘束された思いで大量に排出される莫大な資料を読まされ、質疑応答と意見を求められる。    私は、専ら
(1) 日本司法支援センターの取り扱う民事扶助事件について、司法書士会とどのように住み分けするのかを問うた。
  そもそも、司法書士が有する訴訟代理権は、訴訟物140万円以下の簡易裁判所の代理権という限定的資格しかない。ましてや、家庭裁判所の代理権限がないにもかかわらず、司法書士が離婚、相続等の家事事件はもとより、高額の事件についても相談に乗っている。そして、無料相談と称して何でも相談をしている実態があり、果たしてこれでよいのか。事件を配転するについてその基準を早期に明確にすべきであると注文をつけた。
(2)スタッフ弁護士の地位と弁護士増員(2007年)問題
  司法支援センターは、全国に弁護士を派遣できるようにスタッフ弁護士を雇用しようと考えている。そのスタッフ弁護士に対しては、所属会への入会金及び会費すら免除させようと考えている。又、スタッフ弁護士に対し所属会の会務活動をさせるのかさせないのかあいまいである。これでは、所属部会に帰属意識がなく、3年毎に転勤していくジプシー弁護士を養成することとなり、異質な弁護士集団を作りかねないとの懸念があると意見を述べた。私は、スタッフ弁護士は、弁護士が大量に増員されるまでのつなぎ役でしかありえないと考える。そうでないと、会員少数の地方単位会では、スタッフ弁護士が存在するから、国選も、民事扶助事件もスタッフ弁護士に委ねてしまい、一般会員は、国選事件離れが進みかねないし、スタッフ弁護士がいるばかりに、地方単位会が大量増員される新人の受け皿となりえない結果となりかねない。
  今後は、スタッフ弁護士が地方に根付くように、地方単位会の会務活動を担わせるような配慮をすべきである。

おわりに。
 理事会終了後、最高裁長官町田顕氏を迎えて日弁連会長副会長等役員就任披露パーティーがユーモアあふれる平山正剛会長のあいさつではじまり、なごやかに催された。
 執行部を預かり2週間たらずで随分と鍛えられている。思わず出すため息を会員にさとられず、平然たる思いで会務に勤しみたい。会員の皆様が会務の一つでもよいから担当して御協力くださることを切望します。

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会 務 報 告

副会長日記

副会長 小 宮 和 彦

 詳しい会務内容は会長日記にゆずることにして、ここでは私の担当の一つである刑事弁護関係のことを報告します。現在刑事弁護関係の委員会としては、刑事弁護等委員会、刑事弁護センター運営委員会、国選シンポ実行委員会、公的弁護態勢確立PTがあります。公判前整理手続、裁判員制度、9月8日に福岡で開催される日弁連国選シンポジウムの準備など様々な課題がありますが、喫緊の重要課題は今年10月からスタートする新しい国選弁護制度への対応問題です。そこでこの新しい国選弁護制度の概要について報告するとともに会員の皆様に国選弁護を担っていただくようお願い申し上げます。

 ○被疑者国選のスタート
 10月にスタートする新しい国選弁護制度の目玉は何と言っても被疑者国選です。短期1年以上の重罪事件について、被疑者の請求があり、国選弁護人の選任要件(資力のある被疑者については弁護士会への私選弁護人紹介手続を経ることが必要)を満たせば、起訴前であっても勾留決定後からの国選弁護人が選任されることになります(刑訴法37条の2)。いわゆる被疑者国選のスタートです。被疑者国選は平成21年5月までには現在の必要的弁護事件にまで拡大されます。選任要件である資力チェックのために被疑者は資力申告書(簡単な1枚の書面となる予定)を提出しなければなりませんが、資力の基準は現金・預貯金などの合計額が50万円以上かどうかになると言われています。

 ○支援センターによる国選指名
 また被疑者・被告人の国選弁護人の指名等は4月に発足した日本司法支援センターの所管となります(総合法律支援法38条)。したがって裁判所は支援センターに国選弁護人の候補者を指名して通知するように求め、これを受けた支援センターは遅滞なく国選弁護人となることを契約した弁護士の中から国選弁護人候補者を指名し、裁判所に通知することとなります。このため国選弁護人として選任されるためには支援センターとの間で予め契約を締結することが必要です。
被疑者段階の弁護人ですから、国選に選任されたらできるだけ速やかに接見することが求められますが、支援センターに名簿を備えおいて、現在の「当番弁護士+被疑者弁護人援助制度」に似た運用をすることになると思われます。

 ○私選弁護人選任紹介手続
 さらに私選弁護人を依頼したい被疑者・被告人に対して弁護士会が速やかに私選弁護人を紹介する私選弁護人紹介手続もスタートします(刑訴法31条の2)。

 ○即決裁判制度
 それだけではありません。まったく新しい手続である即決裁判制度がスタートします(刑訴法350条の2〜350条の14)。即日判決が原則で、判決では必ず執行猶予の言い渡しをしなければならない裁判です。短期1年以上の重罪事件を除く事件で、事案が明白かつ軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれること、被疑者の書面による同意があること、その他の事情を考慮し、検察官が相当と認めるときに、公訴提起と同時に書面によって申し立てることとされています。必要的弁護事件とされているため国選弁護になることが多いと考えらます。

 ○国選契約締結のお願い
 このように10月から国選制度を中心とした刑事手続が大きく変わります。このため、これに対応できるように準備をしなければなりません。現在最高裁判所規則の整備や支援センターの諸規則の制定などが進められていますので決まり次第会員の皆さんにお知らせする予定です。
 被疑者国選制度を成功させ、被疑者・被告人に対する適正手続を保障するためには、多くの会員が国選弁護制度を担う必要があると思います。そのためには1人でも多くの会員が支援センターとの間で国選弁護人契約を締結することが必要です。今年6月より契約締結が開始しますが、弁護士会でとりまとめる方向で検討していますので、是非国選弁護を担っていただくようお願い申し上げます。

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福岡県弁会長日記

会長日記

会 長  羽 田 野 節 夫

 会長就任後4月16日から5月15日までの活動と思索について報告します。

1 部会集会について
 福岡県弁護士会は、4つの部会に分かれ、各々の部会に自治制度があることは、全国的に珍しい制度です。先にFニュースでも紹介されたことです。明治時代、幕藩体制の名残がある中で出発した代言人組合が、昭和8年、旧弁護士法の制定と共に歴史的事情を考慮して4つの部会(福岡、小倉、久留米、飯塚)に引き継がれています。
4月中旬以降は、その部会集会のラッシュです。
(1)4月20日(木)作間部会長の招集に基づき福岡部会集会が開催され、参加者は僅か19人でした。昨年も同様でした。
  部会集会の参加者が少ないこともあって、特に集会でもめることもなく平成17年度決算及び平成18年度予算が承認されました。参加者が少ないことに作間部会長は意気消沈。
(2)4月21日(金)飯塚部会集会。会員10名。私は、県弁の重要委員会(刑事弁護センター運営委員会)への出席のため部会集会には参加できず、その後の懇親会に小宮、作間両副会長と多川、古賀両事務局長と共に参加しました。中村博則部会長を中心に若い会員が力を発揮しています。
(3)4月27日(木)筑後部会集会。会員は木下隆一部会長以下48名。3月末に寺澤真由美会員が弁護士任官のため、名古屋地裁へ赴任し会員1名減。しかし、部会集会には、25名が参加し質疑応答もあって盛況でした。
  集会後の懇親会には、事務職員全員と県弁執行部4名(私、作間、増永、多川)が参加し盛会でした。
(4)4月28日(金)北九州部会集会。午後1時から始まった執行部会議で、5月の常議員会と県弁の総会通知の内容確定に時間がかかり、北九州部会集会に少し遅れて参加しました。集会には、福田玄祥元会長や80を超えてなおお元気な岩成重義先生のお顔を久し振りに拝見しました。集会の参加者は50名と盛況で本庁昇格運動にも気合が入っていました。懇親会には、県弁執行部から4名(私、増永、作間、古賀(克))が参加し、事務職員も含め60名を越える人数となり壮感でした。懇親会の席上、県弁の委員会に北九州部会員の参加が少ないことについて、配川前部会長と話をした際、北九州部会員は、部会で独自に開催する県弁の委員会と別途県弁の委員会に参加することが二重の負担となる旨の話がありました。そうであれば、北九州部会独自の委員会の議事内容を県弁の委員会に議事録として提出し、県弁としての一体感と知識の共有化をはかって欲しいと願います。

2 福岡部会集会対策
 それにしても、福岡部会を除く他の3部会は、いずれも、会員数に比して4〜5割の会員を集めているが、福岡部会はどうしてこんなに参加者が少ないのか。作間部会長と協議したところこんな実態が判りました。
 4月20日福岡部会集会当日、県弁会館には部会集会の時間帯に他の委員会が同時開催されており、会館内には、約60人近くの会員が参集していました。委員会の日程は、前年度の委員会が4月の予定まで決めるが、部会集会は4月に入って決めることからダブルブッキング状態が起こっていたのです。そこで、今後は、来年の福岡部会集会は予め日程を固定しておき、その日の部会集会の時間帯の会館の使用は禁止する方策を来年のために執りました。これで、福岡部会の来年の集会には、人が多数参加できる状態にあります。来年、部会長に立候補を予定している方は平成19年4月20日を福岡部会集会の日と定めましたのでそのつもりでいてください。

3 常議員会の公開について
 去る4月19日の常議員会において、常議員会は、県弁会員に対し原則公開とすることを可決承認しました。常議員会の議題については、既に、県弁会員に対し、Fニュース等のメールで事前配信されていましたが、議事内容について常議員会で意見の応酬を聞くためには、常議員会の議長に傍聴許可の事前承認手続きが必要でした。しかし、この手続きは煩わしく、これを県弁会員に限って包括承認し、原則として傍聴名簿に署名すれば会議を傍聴でき、資料も閲覧することが可能としました。勿論、会議自体を非公開とすべき議題については傍聴は許されません。早速、5月10日(水)に開かれた常議員においては、5名の会員が傍聴されました。少しでも福岡県弁活動の活性化につながれば幸いです。

4 どんたく参加について
 去る5月3日午後4時頃、明治通りを「裁判員制度を支える司法ネットワーク福岡どんたく隊」がどんたくパレードに参加しました。参加者は、県弁の執行部を中心とした弁護士有志(15名)及び検察庁有志(絹川検事正を筆頭に約50名)、弁護士が家族や友人等で集めた約30人、そして市民団体が集めた約40人、そして西南学園高等学校のブラスバンド部員60人の総勢約200名。五月晴れの福博の町を川端から福岡市役所まで約1.5kmを約40分近くかけて練り歩きました。3年後に始まる裁判員制度に対し、市民が関心を寄せてもらうための広報宣伝活動と同制度の司法ネットワークを構築しようとの試みでした。パレードの影響かどうかは定かでありませんが、どんたく報道の後は、新聞各紙で「裁判員制度」の特集が組まれたようです。沿道の市民の注目を浴びてのパレードもいいものですよ!

5 4本の会長声明
 執行部発足後、既に4本の会長声明を発しました。一つ目は、4月10日代用監獄を恒常化させる刑事未決拘禁法案反対に関する会長声明。
 二つ目は、5月8日、共謀罪新設反対の会長声明。
 三つ目、四つ目は、5月11日、「教育基本法の廃案と慎重審議を求める会長声明」及び「少年法改正反対の会長声明」。
 いずれも、私と担当副会長が司法記者クラブに赴き、担当副会長が会長声明を読み上げるや会長のコメントを求められることが多く、その内容をよく理解する必要があり、少しも気が抜けません。会長声明後に個別にインタビューを受け、顔写真付きで全国版に掲載されるなどしたため、いよいよ身を引き締めなくてはと思っています。

6 司法支援センターその他
 司法支援センターが4月に発足したものの、まだまだ不透明な部分があります。しかし、10月に発足する被疑者国選制を充分に対応するために当番弁護士名簿と被疑者国選弁護名簿を連携させるべきではないかと考えています。
 会員各位には、是非従前通り当番弁護士名簿と国選弁護人名簿に御登載願えますように御協力の程を願います。

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会務報告〜4つの会長声明〜

副会長日記

副会長  小 宮 和 彦

 現在の国会(会期延長がない場合6月18日まで)では重要な法案が目白押しで審議されています。弁護士会として放置できない重大な問題を含んだ法案も多いため、これらの法案に反対する会長声明を連続的に出しました。声明自体は県弁のホームページにアップしています。ここでは声明の概要を紹介します。いずれの声明についても衆参両議院議長、内閣総理大臣、衆参両議院の関係委員会、関係諸機関に送付するとともに記者会見をして執行しました。なお、情勢についての記載は本原稿を執筆している5月22日現在のものです。

【4月10日・未決拘禁法案の廃案を求める会長声明】
 法案の正式名称は「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案」で、未決拘禁者に関する処遇を定めています。法案は、代用監獄を存続させながら、その廃止の方向性すら明示していない等の多くの問題点を含んでいます。代用監獄は長年にわたって弁護士会が廃止を求めて運動を展開してきたものです。また、国際的にも、国連の規約人権委員会が2度にわたり廃止に向けた勧告を行い、「ダイヨーカンゴク」という言葉が外国でも通用するほどに問題のある制度として認識されています。声明では、自白の温床となってきた代用監獄を存続させていることを中心に批判をし、同法案を廃案として抜本的な見直しをするよう求めました。
 しかし、同法案は、衆議院法務委員会及び衆議院本会議で可決され、5月22日現在参議院で審議されています。ただ、衆議院法務委員会で、刑事施設の収容能力の増強に努めて被勾留者を刑事留置場(代用監獄)に収容する例を漸次少なくするよう努めることや、取調べの可視化を含めた代用刑事施設制度のあり方について刑事手続全体との関連の中で検討すべきことなどの附帯決議がなされました。

【5月8日・共謀罪の新設に反対する会長声明】
 法案の正式名称は「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高速化に対処するために刑法等の一部を改正する法律案」です。一旦廃案となった法案を修正して提案したもので、当会は以前の法案に対して昨年8月31日に反対の会長声明を出しています。法案の修正内容は、適用対象団体や「共謀」の構成要件を絞り、思想良心の自由侵害や団体の正当な活動の制限をしてはならないと注意規程を設けたことです。しかし、意思形成段階に過ぎない共謀それ自体を処罰の対象にしていることには変わりはなく、対象とされる犯罪の種類も膨大なものです。人の内心を取り締まろうとするものであり、政府に反対する市民団体や労働組合を警察が事前に弾圧することを可能にするものです。また、共謀を立証するものは人と人とのコミュニケーションしかありませんので、盗聴、密告、スパイ強要などが横行するおそれがあります。そこで、このような共謀罪を新設しようとする法案は廃案にすべきであるとの声明を出しました。法案は5月22日現在衆議院法務委員会で審議中です。

【5月11日・少年法等「改正」法案に反対する会長声明】
 この法案は、以前国会に上程して廃案とされたものをそのままの内容で再上程したものです。当会は昨年6月23日に反対の会長声明を出していましたが、再度反対の会長声明を出しました。反対している法案の主要な問題点は、? 14歳未満の低年齢非行少年に対する少年院送致を可能とすること、? 触法少年・ぐ犯少年に対する警察官の調査権限を付与すること、? 保護観察中の遵守事項を守らない少年に対する少年院収容処分を導入すること等です。いずれも可塑性に富んだ少年の特性を無視し、福祉的対応を後退させて、いたずらに厳罰化を図ろうとするもので容認できません。ただ同法案が国選付添人制度を導入している点については一定評価できますが、これもかなり限定的な場合にしか適用されません。そこで、当会としては同法案に反対する声明を出しました。同法案は5月22日現在衆議院法務委員会で審議中です。

【5月11日・教育基本法改正法案を廃案とし、あらためて十分かつ慎重な調査と検討を求める会長声明】
 今回上程された教育基本法改正法案は現行の教育基本法を大幅に改正するもので、新しく制定するに等しい内容となっています。「愛国心」問題については、教育の目標のひとつとして、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」と規定されています。また、現行法では「教育は…国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」(10条1項)と定められていましたが、改正案ではこのような規定は削除され、教育は法律の定めるところにより行われるとだけなっています。さらに現在の9年の義務教育制度も廃止されています。このように大きな改正でありながら、国民に開かれた議論はほとんどなされておらず、与党内の非公開の審議機関で議論され作成された法案が国会に上程されて審議されようとしています。教育基本法は憲法とともに制定され、教育の憲法と言われるほど重要なもので、準憲法的性格を有しています。そこで、拙速な審議をやめて国民に開かれた議論を尽くすために、今回の法案を一旦廃案とした上で、あらためて衆参両議院に「教育基本法調査会」を設置して、改正の要否を含めた十分かつ慎重な調査と討議を求める声明を出しました。同法案は5月22日現在衆議院の特別委員会で審議中です。

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