福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2008年10月22日

福岡県弁護士会会長日記

会長日記

                         会 長 田邉宜克 (31期)


【徳永賢一先生ご逝去】

6月19日の日弁連理事会中に、元会長徳永賢一先生ご逝去の報に接した。先生は、木曜会の創立メンバーとして会務運営民主化の先頭に立ち、上田国賠訴訟の弁護団の中心を担い、当番弁護士制度創設時の刑事弁護委員長として、当番弁護士出動第1号も務められた大先達であった。日弁連理事の重責は認識しつつも会長職を優先することとし、理事会を途中退席して福岡に戻り、翌20日の告別式に参列して弔辞を献じた。まさに巨星墜つの感あり。
心から徳永賢一先生のご冥福をお祈り申し上げます。


【東北弁連ブロック大会(7月4日)】

九弁連理事として、東北弁連ブロック大会に出席した。
この大会では、司法試験合格者数を年間3000人程度とする政策の変更を求める決議が提案された。審議会意見書が想定した法曹需要の増加の見通しがないこと、裁判官・検察官の増加を含む司法の基盤整備が十分に講じられないまま弁護士人口のみが急増するのは需要との間のアンバランスを生じさせていること、OJTの不足や過当競争により質の低下を招来すること、合格者数を2100人で凍結しても10年後には弁護士数は約4万人に達すること、過疎偏在問題は相当程度改善されていること等の理由から、合格者数を2100人で凍結し、法曹需要の増加・法曹の質の確保の視点から法曹人口のあり方を具体的に検証したうえで、適正な年間合格者数を決めるよう求めるものであった。他方、会場からは「本当に法曹需要はないのか、一般市民が弁護士に頼みたくても頼めない、弁護士が事件依頼を忙しい等で断っている実状にあるのではないか。」「中小企業の法的需要は調査でも相当程度存在しているではないか。」「法曹の質の低下は、未だ検証されていない。」「弁護士過疎問題が現に存在するのに、合格者数減少を打ち出すのでは市民の理解は得られない。既得権保護との非難を免れない。」「ロースクールの学生のことも考えるべきである。」等々の反対意見が出た。裁決は2:1で賛成多数であったが、もう少し、議論の時間が必要だったと思えた。本月報発行時には、既に、合格者数についての日弁連理事会の提言が発表されているはずである。当会でも、本格的に法曹人口についての議論を始めなければならない。
なお、東北弁連では、大会終了後懇親会までの間の約90分に日弁連執行部と会員との意見交換会が実施されている。日弁会長・副会長が全員揃って、国選弁護・裁判員裁判・法テラスとスタッフ弁護士・法曹人口問題について説明し、会員と直接質疑応答するというもので、会員と日弁連の距離を近づける機会として有意義であった。

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                          会 長 田邉宜克 (31期)


【スタッフ弁護士と刑事弁護態勢】

7月29日に「スタッフ弁護士の配置」の件で、全員協議会を開催した。執行部8人以外の出席会員は11名と少数に止まった(積極的反対意見なし)。参加者が少数なのは、会員総体も積極的に反対しない意向であると捉えるべきか。
スタッフ弁護士についての議論は、当会の被疑者被告人国選対応態勢確立の重要性を再確認させる場でもあった。札幌弁護士会は、本年3月末に「被疑者国選対象事件の拡大及び裁判員裁判が一部の会員で担うべきものでないことを共通認識とし、会員の総力で09年態勢を確立する。現時点ではスタッフ弁護士を招聘しない。」との常議員会決議を挙げた。当会においても「被疑者国選対象事件の拡大及び裁判員裁判が一部の会員で担うべきものでないこと」は、当然に「共通認識」であるはずであり、「会員の総力で対応態勢を確立すべき」ことも同様である。筑豊地区や壱岐対馬等の被疑者国選選任の「万が一の場合」に備えた安全装置としてスタッフ弁護士が配置されても、弁護士としての上記基本姿勢に毫も影響はないはずであり、この機会に今一度、国選弁護の原点に帰って、我々弁護士の責務を自覚すべきであると思う。
筑豊地区のバックアップ体制を確実にするために少なくとも40名余の福岡部会員が必要であるとすれば、執筆日現在で福岡本庁事件に専念できる被疑者国選登録福岡部会員数は、240名を割り込む。当会は、「国選弁護拡大ニュース」を連続して発行し、未登録会員に個別に登録要請の手紙を差し上げ、更には、担当者が対象会員に電話や個別訪問をして登録をお願いするなど、被疑者・被告人国選弁護登録拡大運動に全力で取り組んでいるが、未だ充分ではない。一人でも多くの会員の登録を切にお願いする次第である。


【あさかぜ基金法律事務所】

9月からいよいよ、過疎地対応弁護士養成事務所である「あさかぜ基金法律事務所」が活動を開始する。九弁連の事業ではあるが、その運営は、実質的に当会の責務である。正副の指導担当弁護士が、被養成弁護士の指導にあたるが、当会会員全員で育て上げる気概を持つ必要がある。指導担当弁護士以外の会員からもお声かけいただき、被養成弁護士と共同して各種の事件を受任し、できるだけ多く事件処理を共にする中で「養成」することが一番である。
同様に、9月から新スキームで養成されるスタッフ弁護士が、当会に配属される。司法修習終了後、すぐに当会に登録し、あおぞら法律事務所で弁護士活動をスタートする。当地での1年余の養成期間を経て、過疎地に赴任することになるが、当会の一員として、会員が協力して育て上げることが求められている。
更に、法テラス福岡地方事務所や北九州支所のスタッフ弁護士も登録後1年余しか経ていない弁護士であることに変わりない。委員会活動を通じて、あるいは、国選事件や扶助の処理について多くの会員がアドバイスするなどして、合計3名のスタッフ弁護士を当会の仲間として、力を合わせて育て上げる意識が必要である。
多くの会員の理解とご協力をお願いしたい。

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