福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2023年11月17日

元会員の逮捕に関する会長談話

会長談話

 当会の会員であった立野憲司(たての けんじ)弁護士(2023年3月31日に第一東京弁護士会に登録換え)が、当会所属期間中に、依頼者からの預り金約840万円を業務上横領したとして、2023年11月16日、逮捕されたとの報道に接しました。
 当会としては、元会員が業務上横領事件で逮捕されたことについて、極めて重大なこととして厳粛に受けとめています。
 被疑事実の真偽につきましては今後の捜査及び裁判の進展を待つことになりますが、仮に事実であるとすれば、弁護士の職務に対する社会的信頼を著しく傷つけるものであり、到底許されるものではありません。
 当会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の職務を全うするため、会員一人一人に対してあらためて弁護士としての自覚と倫理意識の徹底を求めるとともに、所属会員の非行事案に関し迅速かつ適正な処分を行い、弁護士及び弁護士会に対する社会の皆さまからの信頼の回復及び向上に努力する所存です。
                     

2023年11月17日
                          福岡県弁護士会
                           会長  大神 昌憲

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2023年11月20日

「送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針について」に対する会長声明

声明

 2023年8月4日、出入国在留管理庁は、「送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針について」(以下「対応方針」といいます。)を発表し、斎藤健前法務大臣が臨時記者会見を行いました。また、小泉龍司法務大臣も、同年9月13日の初登庁記者会見にて、前法務大臣の見解を引き継ぐ考えを示し、「よく実態を見ながら、その制度の包摂性も必要でありますけれども、より多くの子どもたちを救えるように、その家族も一緒に救えるよう」に対応していきたいと述べました。
 この対応方針では、①2023年6月に改正された出入国管理及び難民認定に関する法律(以下「改正入管法」といいます。)の施行時までに、②日本で出生して、小学校、中学校又は高校で教育を受けており、引き続き日本で生活していくことを真に希望している③子どもと、④その家族を対象に、家族一体として在留特別許可をして在留資格(基本的には、子どもは「留学」、親には子どもを監護養育するために就労可能な「特定活動」)を与えるとしています。
 これにより日本に在留する在留資格のない子どもとその家族の一部に在留資格が認められることで、これまで長期にわたり自由を制限されてきた子どもと家族が、普通の生活を送れるようになることを歓迎します。 しかしながら、対応方針には、次のような問題点があります。
1 恒常的、原則的な措置として行い、在留特別許可のガイドラインにも明記すべきこと(前記①の点について)
 対応方針では、改正入管法の施行後には、送還忌避者である親の迅速な強制送還が進み、在留資格のないまま在留が長期化する子どもが減少することを前提として、改正入管法の施行時までに既に在留が長期化した子どもに対し、「今回限り」の一時的、例外的、恩恵的な措置として行うように読めます。
 しかしながら、改正入管法の施行後においても、親の失業等による在留資格の喪失に伴い、子どもが在留資格を失う事態は想定されます。
 そもそも、国が子どもの最善の利益を考慮する義務、家族生活を尊重する義務は、子どもの権利条約や自由権規約に定められた国際法上の義務であって、今回の対応は、国が行うべき当然の措置といえます。そして、この点は、改正入管法の参議院付帯決議でも「在留特別許可のガイドラインの策定に当たっては、子どもの利益や家族の結合、日本人又は特別永住者との婚姻関係や無国籍性への十分な配慮を行うこと」とされているところですので、恒常的、原則的な措置として行い、在留特別許可のガイドラインにも明記すべきです。
2 対象範囲が狭いことについて
(1)本邦で出生したことを要件とすべきではないこと(前記②の点について)
 対応方針によると、「本邦で出生し」たことを在留特別許可の要件としています。しかしながら、日本で生まれた子どもと、幼少期に日本に来た子どもで、日本への定着性に違いはありません。「本邦で出生し」たことについては、要件から削除するべきです。
(2)18歳以上の者についても対象とすべきこと(前記③の点について)
 対応方針は、「子ども」、つまり18歳未満の者を対象にしています。しかし、日本で幼少期を過ごし、成人した者は、より一層、日本に定着性を有し、生活基盤を築いているはずです。日本で幼少期を過ごした18歳以上の者に対しても、在留特別許可を認めるべきです。
(3)諦めて帰国した子どもも対象とすべきこと(前記③の点について)
 対応方針によると、2022年末時点の本邦で生まれ育った在留資格のない子ども201人のうち、「自らの意思で帰国した者を除き」、少なくとも7割に在留特別許可をすることが見込まれるとされています。しかし、自らの意思で帰国した者の中には、これまでの国際人権条約に反する我が国の運用の結果、家族との別離を避けるために、日本への在留を諦めて帰国した者が含まれているはずであり、その救済も図られるべきです。
(4)祖父母やきょうだいについても対象とすべきこと(前記④の点について)
 対応方針では、「対象は、...子どもとその家族」、「家族一体として在留特別許可を」するとされ、父母以外の祖父母やきょうだいの扱いについては不透明となっています。斎藤前法務大臣の臨時記者会見では、対応方針の原則から外れるケースについては「諸般の事情を総合的に勘案して在留特別許可をする場合もある」と述べられていますが、家族結合の観点からは明確に対象とし、在留資格を付与すべきです。
3 親の事情を考慮すべきでないこと
対応方針によると、「親に看過し難い消極事情」がある場合、具体的には、不法入国・不法上陸、偽造在留カード行使や偽装結婚等の出入国在留管理行政の根幹に関わる違反、薬物使用や売春等の反社会性の高い違反、懲役1年超の実刑、複数回の前科を有している場合には、対応方針に基づく在留特別許可の対象から除くとあります。
 しかしながら、日本に定着性を有する子どもは、等しく保護すべきであって、子どもには何の責任もない親の事情によって、差別することがあってはならず、父母の地位、活動等によるあらゆる形態の差別を禁じた子どもの権利条約に違反します。親の不法入国や前科など、親の事情によって対象外とする要件は、いずれも削除すべきです。
 そして、このように子どもに特別在留許可が与えられる場合には、「看過し難い消極事由」のある親のみを強制送還して子どもと分離することも避けるべきです。そもそも、刑事事件については処罰が終わっています。また、対応方針では「看過し難い消極事情」の例として複数回の前科も想定していますが、この点は改正入管法50条1項が在留特別許可の除外事由としている事由に比べても広すぎます。そして、同項が、除外事由がある場合でも「本邦への在留を許可しないことが人道上の配慮に欠ける特別な事情がある」ときには在留特別許可をすることができるとしていることを考えると、上記のような場合には子どもの利益や家族の結合という特別に配慮すべき事情があるものとして、出来る限り親にも同時に在留特別許可が認められるべきです。
 以上のとおり、当会は、全ての子どもが国際人権条約によって認められた基本的人権が尊重されるよう、法務省及び出入国在留管理庁において、これらのことを考慮し、対応方針の実施等について、適切な対応をとるよう求めます。

2023年(令和5年)11月17日

福岡県弁護士会     

会長 大 神 昌 憲

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