福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2012年11月 9日

投票価値の較差是正を求める会長声明

声明

 2012年10月17日、最高裁判所大法廷は、2009年8月30日施行の衆議院議員総選挙に続き、2010年7月11日施行の参議院議員通常選挙においても、各選挙区間で最大5倍の投票価値の較差が生じたことについて、「投票価値の不均衡は、投票価値の平等の重要性に照らしてもはや看過し得ない程度に達しており、これを正当化すべき特別の理由も見いだせない以上、違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態に至っていたというほかはない」との判決を言い渡した。
そして、衆議院と参議院の権限及び議員の任期等における差異は、それぞれの議院に特色のある機能を発揮させることによって、国会を公正かつ効果的に国民を代表する機関たらしめようとするところにあるのであるから、参議院議員の選挙であること自体から直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難いとした上で、現行の仕組みに依拠する結果、その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、上記仕組み自体を見直す必要があるとして、違憲の宣言にとどまらず、より積極的に現行の選挙制度の仕組み自体の見直しをも要請している。
そもそも、投票価値の平等、即ち議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等は、憲法上の要請であり(憲法14条1項、44条)、
「国権の最高機関」(憲法41条)たる国会に国民の意思を的確に反映するための重要な条件であって、議会制民主主義、ひいては国民主権を支える要である。
 一連の最高裁判所判決は、遅々として進まない投票価値の較差是正をめぐる選挙区割にメスを入れたといってよい。
 特に、田原睦夫裁判官の反対意見において指摘されているように、福岡県は議員一人あたりの選挙人数の較差が4倍を超える5選挙区のうちのひとつである。当会にとって、今回の最高裁判所判決は他県にも増して意義深いものである。
当会は、今回の最高裁判所判決を重く受け止め、国会に対し、速やかに公職選挙法等関連法を改正し、衆議院議員総選挙のみならず参議院議員通常選挙における投票価値の較差を是正するための措置をとることを強く求めるものである。

    
                      2012年(平成24年)11月 9日                                                    
                     福岡県弁護士会会長  古賀和孝   

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