福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2005年9月28日

会 務 報 告

副会長日記

副会長 藤 尾 順 司

一 六月二八日、裁判官評価アンケートの集計の結果を福岡高等裁判所、福岡地方裁判所及び福岡家庭裁判所に提出しました。今回、四回目となる裁判官評価アンケートは、担当者の懸命な努力の結果、会員数の三分の一に当たる二三三通(前回は一七〇通)を集めることができました。

二 この時期に裁判官評価アンケートを裁判所に提出したのには理由があります。二〇〇四年から裁判官の人事評価制度が実施されています。これは、(1)評価権者及び評価基準を明確化・透明化し、(2)評価のための判断材料を充実・明確化し、(3)評価内容の本人開示と本人に不服がある場合の適切な手続を設ける、というものです。評価権者(所長など)は各裁判官の評価書を作成しますが、これに裁判官の意見も反映させるため個々の裁判官との面談システムが設けられました。六月から面談が始まるため、それに合わせて弁護士会が情報を提供しようということなのです。

三 なぜ、こんなに弁護士会が裁判官評価アンケートに力を入れて取り組むのだろうかと思われるかもしれません。従来、裁判官の人事評価は裁判所内部だけで行われてきましたが、今回の改革により、人事評価において外部情報に配慮しなければならないという制度を設けました。裁判官に関する外部情報を最も多く持っているのは弁護士です。その意味で弁護士は、外部情報を提供すべき社会的な責務を負っていると言えます。
  さらに、裁判官評価アンケートは個々の裁判官にとっても意味があります。裁判官は、自分の裁判が他の裁判官と比較してどういう評価を受けるのか知る機会はなかったのですが、裁判官評価アンケートは、自分の裁判に改善すべき点がなかったか検証する材料を提供することになるからです。実際、ある裁判官が昨年のアンケート結果を開示請求してみたところ、思っていたよりも点数が低かったためショックを受けられたそうです。しかし、その裁判官の今回の評価は以前と比べて点数が上がっていたそうです。昨年の結果から何か得る点があったのかもしれません。こうした意義も重要ですので、今回、裁判官に開示請求をしていただくため、裁判官宛に開示請求のご案内をすることにしました。

四 まだ始まったばかりの制度ですので、限界もあります。裁判所は、公式には、外部情報とは顕名のあるもので、具体的事実を摘示したものでなければならないとして、裁判官評価アンケートは外部情報に含まれないという立場に立っているからです。
  しかし、社会では、地位や職業にかかわらず、外部の評価を受ける時代になりつつあります。大学の教授も学生から評価される時代になっています。ハワイ州では、一九九三年から裁判官評価制度が実施されているそうです。むしろ、外部評価を積極的に取り入れて活かしていくことが求められているのではないでしょうか。前述の司法シンポで、福岡の裁判官評価アンケートは先進的な取組みとして高い評価を受けました。さらに信頼を増していくためには、裁判官評価アンケートの精度を高めていく必要があります。そのためには何よりも多くのアンケートを集める必要があります。アンケートに回答するのは大変、負担だと思いますが、この制度を充実させるために、これまで以上にアンケートにご協力をお願いします。

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