福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2005年9月22日

北九州矯正センター構想に反対し、少年鑑別所の適地への移転を求める声明

声明

2005(平成17)年9月22日

福岡県弁護士会 会 長  川 副 正 敏

 当会は、2004(平成16)年5月26日開催の定期総会において、小倉刑務所跡地に医療刑務所・小倉少年鑑別所・福岡拘置所小倉支所の3施設を移転させるという「北九州矯正センター構想に反対し、少年鑑別所の適地への移転を求める決議」を採択し、対策本部を設置して、その実現のための活動を展開してきた。\n 他方、本年度の国の予算において、小倉少年鑑別所を小倉刑務所跡地に移転するための費用が計上され、法務省は同跡地の付近住民にこの移転計画の説明を行ったが、住民が強く反対したことから、当初の予\定は変更を余儀なくされたものの、法務省はあくまでもこれを実施するとの前提のもとに、当会を含め、引き続き関係各方面への働きかけを行っている状況にある。
 確かに、現在の少年鑑別所施設が老朽化しているうえ、近隣高層住宅から俯瞰されるなど、少年の人権上も問題があることから、移転・建替の必要があること自体は理解できる。しかし、そのことのゆえに少年鑑別所を刑務所と同一敷地内等に移転させることは到底容認できないとの当会の立場に何ら変わりはない。その理由は以下のとおりである。
 第1に、少年の健全な育成を理念とする少年法の趣旨からすれば、少年鑑別所は刑務所などの成人に関する施設とは隔絶して設置されるべきものである。
 第2に、同じ少年に対する施設であっても、少年鑑別所は少年に対する処遇決定のためにその資質等を調査鑑別する施設であり、教育的な更生を目的とする少年院とも明らかにその性格を異にするものである。もとより刑に処せられた者を拘禁する施設である刑務所とは全く別個の目的を持つ施設である。したがって、これらの施設とは画然と区別すべきものである。
 第3に、少年鑑別所を刑務所と同一敷地内に隣接設置させることは、少年鑑別所に収容される少年に多大な悪影響を与え、あるいはそのような偏見を助長する事態が生じる可能性が大きい。\nしたがって、法務省は少年鑑別所の小倉刑務所跡地への移転計画を撤回し、それ以外の適切な移転先を早急に確保すべきである。
 当会としては、今後とも、小倉少年鑑別所の小倉刑務所跡地への移転に強く反対し、引き続き適地への移転を求める運動を行う決意である。

                                                  以 上

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