少年付添人日誌弁護士会月報「付添人日誌」より転載したものです。

付添人日誌(2・4月号)
付添人実務研修

1 はじめに

今回は、新規登録弁護士が受講する「付添人実務研修」と、私が昨年、修習させていただいた少年事件について、ご報告させていただきます。

2 付添人実務研修について

まず、付添人実務研修についてですが、この研修は、新規登録会員の登録研修でありまして、少年事件の手続等について、解説をしていただくというものです。

研修を受けるまで、特に手続き面についてはわからないことだらけでしたが、手続きの流れだけでなく、それぞれの段階において考慮すべき点なども記載されたレジュメを配布していただき、それに基づいて、実際の事件を参考にしながら、実践的な講義をしていただけたため、とてもわかりやすく、勉強になりました。

今後は、自身が付添人として活動していくことになるのですが、私には、今回の研修に加え、もう一つ、付添人活動の基礎となるべき経験がありますので、簡潔にご報告したいと思います。昨年、司法修習生だった頃に、経験させていただいた事案です。

3 修習生のときに経験した事案について

(1) 事案の概要

本件は、いわゆる「振り込め詐欺」の事件であり、当該少年は、「出し子の手配を行った」として検挙されたというものでした。

少年の付添人には、69期の武寛兼弁護士が選任され、当時、武先生の所属する法律事務所において弁護修習をしていた私に、武先生が声をかけてくださったというのが、私が関わるきっかけでした。

(2) 付添活動

私は、少年鑑別所における接見に4回同行させていただき、保護司のかたとの面談にも同席させていただきました。裁判所に事件記録・社会記録の閲覧にも行きました。私は同行できませんでしたが、武先生は、保護者との打ち合わせ、少年の雇用主への働きかけ、被害弁償に関する被害者とのやりとり等、多くの付添人活動をされていました。

この事件は、県外での逮捕・勾留を経て福岡家裁に送致されてきたものであったため、被疑者段階から関与することができず、とにかく時間がありませんでした。この限られた時間にこれほどの活動を行うのかと、大変驚いたのをよく覚えております。

(3) 少年審判において

少年審判においては、武先生の働きかけもあって、保護者のみならず、保護司・雇用主も出席しました。

当該少年は、これほど自分のことを想ってくれている人たちがいるのだと、心より感じたのではないかと思いました。審判の結果は、第一種少年院送致となりましたが、この付添人活動や審判を通じ、少年が更生してくれるのではないかと、大いに期待させられるものとなりました。

(4) 家庭裁判所修習にて

その後、私は、家庭裁判所での選択修習を通じ、当該少年の審判記録を改めて閲覧し、また、審判を行った裁判官から、当該事案に関するお話を聞く機会に恵まれました。一つの事案について、これほど深く関わることができたというのは、大変貴重な経験であり、私自身の付添人活動の礎となるものだったと感じている次第です。

4 おわりに

今後、実際に付添人として活動していくことになりますが、これまでに学んだことを活かしながら、そして、周囲の先生方に助けてもらいながら、懸命に取り組んでまいりたいと思います。

最後になりましたが、修習の際に、難しい少年事件であったにもかかわらず、お声かけいただき、ご指導を賜りました武寛兼先生には、この場を借りて御礼申し上げます。

金子 慶史

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