少年付添人日誌弁護士会月報「付添人日誌」より転載したものです。

付添人日誌「初めての少年付添人活動」(26・6月号)

1 事案の概要

私が付添人として担当したのは、通っていた中学校での授業中、教師から注意を受けたことをきっかけに教師に暴行を加えけがをさせたという、14歳の少年の傷害非行事件でした。少年には児童相談所での保護歴がありました。

サポート弁護士の先生に当番出動の要請があり、一緒に警察署にいる少年に接見に出向きました。それから、事実上の被疑者弁護活動を経て、家裁送致後付添人として少年の審判に関わることになりました。

少年は、過去無免許運転をして補導されたなど、14歳ながら、非行の程度が進んでいるようでした。一見すると幼くかわいらしい印象の少年でしたが話をするうちに規範意識の乏しさが顕著で厳しい処分もありうるかもしれないと思い、始まった付添人活動でした。

2 活動内容

(1) 早速中学校に連絡をとり少年の学校生活の様子や事件のことについて話を聞きに行きました。

少年は、学校で度々問題行動をおこし学校側も対応に苦慮していたようでしたが、少年が染髪やピアスの着用をやめるなど生活態度の改善がみられたというお話を聞くことができました。担任の先生は、少年に理解のある先生で、「中学卒業まで面倒をみる」、「少年に会いに行って話をする」ということを言ってくれました。正直なところ、学校を訪問するまでは、少年について学校側がどのように考えているのか、事実上学校側から少年の受け入れを拒絶されたらどうしようと不安に思っていましたが、話を聞いて、少しだけほっとしました。

担任の先生の話を少年に伝えたところ、少年も先生には好意的な感情を抱いていることが分かり、学校に通って非行を改めることも可能ではないかと考えはじめました。

(2) 次に少年の家庭環境については家族仲も悪くなく、家にはきちんと帰るなど一見問題がなさそうでした。

ただ、ご両親との面談を経て(あくまでも付添人の目から見た印象でしたが)、父親が少年の非行に対してやや寛容ではないかと感じました。

そうして少年の自宅に家庭訪問に伺うと、家庭における父親の存在感から少年が父親の影響を強く受けているであろうことが分かりました。家庭訪問を踏まえ少年の環境を変えることが現実的に可能か、その可能性も探りましたが、結局は両親のもとで生活を続けることを前提に、審判までにどこまで両親と少年が非行と向き合い変わることができるかが大事だと、活動方針を定めました。調査官も少年と両親次第で試験観察処分が十分考えられるとの意見でした。

(3) 少年事件は、短時間でも少年に会いに行くべき、と聞いていた私は、可能な限り、鑑別所に足を運びました。少年は、これまでの行動をふり返り、自分なりに考え、こちらの問いかけに一生懸命に答えてくれていたようでしたが、深い話まではできませんでした。思えば、私は少年に対して上からの目線で、お説教するようにしゃべっていたのかもしれません。そして両親に対しては、少年の監督についての話はするものの、それ以上特別の働きかけはできませんでした。

3 審判

審判では、少年が自分の言葉でこれからの決意を語り、それを両親、担任の先生、児童相談所の職員が見守りました。結局審判結果は少年院送致となりましたが、少年は気丈にも受け止めていたようでした。
少年と話し、私のほうが泣きそうになりました。少年の付添人として少年に寄り添うことができたのか、親への働きかけや関係機関との連携など付添人としてまだやれることがあったのではないかと考えます。今も時々ふりかえり、反省を生かして少年事件と向き合っています。

小 出 真 実

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