福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2022年1月号 月報

今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021

月報記事

【イベント概要】

2021年11月28日(日)、福岡県弁護士会館において、「来たれ、リーガル女子!in福岡2021」が開催されました。

2018年に、内閣府の男女共同参画推進事業の一環として、学生・保護者・教員向けシンポジウム「来たれ、リーガル女子!」~女性の弁護士・裁判官・検察官に会ってみよう!~が西南学院大学法科大学院棟で開催されて以降、毎年、福岡では本イベントが行われています。今年は4回目の開催で、会場参加とオンライン(zoom)参加を併用して行われました。

本イベントの目的は、その題名にも表れているように、女性の法曹人口(当会の立場からすると、特に女性弁護士数)を増やすことにあります。2021年3月31日時点で、全国単位会の女性弁護士の割合は平均19.3%です。当会に目を向けると、女性弁護士数は1418名中259名であり、微増しているものの、その割合は18.3%となお低い状態です。このような現状を踏まえ、将来の進路を考える女子中高生及びその保護者に対して、普段の生活ではあまり接することのない女性法曹と触れ合う機会を設け、将来の有力な選択肢として法曹を考えてもらうべく、今年度から立ち上がった男女共同参画推進本部を中心に準備し、開催しました。

当日は、第1部・パネルディスカッション、第2部・法曹になるための進路説明、第3部・グループセッションの順に実施されました。

第1部・パネルディスカッション

「弁護士のリアル」と題し、原田直子先生にコーディネーターを務めていただき、パネリストの仲地彩子先生と私が、質問に答えていくという形式で進められました。原田先生から、弁護士を目指した経緯、弁護士としてのやりがい、ライフワークバランスなどについて質問がありました。

仲地先生は弁護士登録に至るまでに留学や大学講師等、本当に様々な体験をされており、原田先生が仰っていたように正に「波乱万丈」な内容でした。他方、私は、法曹資格を有する者の多くが辿ったであろうルート(大学法学部進学→法科大学院進学→司法試験受験)で弁護士登録をしており、法曹においては珍しくない部類です。

参加者アンケートからも、多様な進路ややりがいを感じてもらうことができ、中高生にとって、将来の選択肢を考える上で非常に良い機会になったのではないかと思いました。少し紹介します。

「コーディネーターの方のテンポが良く、弁護士お二方の話をスムーズに聞くことができて面白かったです。また、自分以外の方が法律に関心を持ったきっかけを伺ったり、業務内容や、育児に関する話、挫折や苦しいことを糧にするという話はとても役に立ちました。」
「『自分自身で決めた方針が自分に返ってくる』という、面白い仕事だなと、関心が高まりました。私も人の心に寄り添えるようになりたいと思いました。」
「法曹に関わる人はプライベートも犠牲にしてお仕事をしているというイメージがあったので、イメージよりプライベートに自由な時間があるという事を知れたのは参考になりました。」
「法曹を目指す人でもそれぞれの道のりがあることがわかりました。自分なりのやり方で法曹を目指していいんだと思い、安心しました。」

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第2部・法曹になるための進路説明

私は、第3部の打合せのため、会場の様子を直接見ることはできませんでしたが、福岡の大学教員の先生方と宇加治恭子先生による進路説明では、大学以降の進路について、方法論を具体的に示されていたようです。

参加者アンケートによれば、次のように非常に好評でした。
「法科大学院や法曹コースについてよく知れたと思います。」
「法曹への道が2年も短くなる法曹コースというものがあるんだと知れて、良かったです。」
「具体的にどうすればいいかなど、今後目指すべき場所がはっきりした。」

第3部・グループセッション

弁護士及び裁判官又は検察官を講師として、8名程度のグループに分かれて中高生からの質問に答える形式で行われました。今回は全部で5グループに分かれ、うち2グループはオンラインで行われました。

私は、弁護士及び裁判官が講師を務める会場実施のグループに参加しました。私が参加したグループでは、滅多に交流することができない裁判官への関心が強かった印象で、少々寂しい気もしました。裁判傍聴にも行ったという中高生が複数おり、意識の高さに非常に驚きました。

質疑応答の時間には、業務の内容、一日のスケジュール、やりがいを感じるときはどんなときか、大変だなと感じるときはどんなときか、モチベーションを維持する方法、メンタルの維持について工夫していること、法曹になるためにどのような準備をしたらよいか等、様々な質問がなされました。法曹と直接話をすることで、参加した中高生が少しでも法曹を身近に感じ、将来、法曹(特に当会所属の弁護士)になることを選択してくれたとしたら、非常に嬉しく思います。

参加者アンケートの回答も嬉しいものばかりでしたので、少し紹介します。

「法学部に行くことに関して、友達と真剣に話し合ったりしたことがなかったので、今回リーガル女子に参加してみて年代を問わずこんなにも多くの学生が法律に興味を持って将来について考えているのだと刺激を受けました。」
「グループの弁護士の先生方が本当に面白く、自分に合わせて質問に親身に答えてくださっていたのが本当に嬉しかったです。」
「弁護士の方と裁判官の方がとても優しく笑顔でお話ししてくださったので、初めは緊張していましたが、段々緊張がほぐれてきてとても話しやすかったです。」
「お話の中で、やっぱり自分は法曹になりたいなという気持ちになった。」
「今まで疑問に思っていたこと、パネルディスカッションを聞いて気になったことなどを、現役の弁護士、検察官の方から聞けて、充実した時間が過ごせた。」
「プライベートの話や1日の流れなど裁判官や弁護士の仕事についての話を聞けて裁判官や弁護士についての理解を深めることができました。」

さらに、参加者アンケートから参加の前後で法曹に対するイメージが変わったかという質問に対しては、様々な嬉しい回答がありました。

「参加前は、硬いイメージを持っていたが、仕事とプライベートの切り替えを持った自立したかっこいい大人の女性というイメージに変わりました。」
「真面目で少し怖そうなイメージだったが、皆さんとても優しく、先生のような法曹になりたいと思いました。」
「常に論理的に物事を考え、仕事に明け暮れているイメージがありました。女性が少ない職業なので、法曹界で活躍されている女性は強く勇ましい方ばかりだと思っていました。しかし実際は、子育てや趣味の時間を持ち自分らしく働いているキラキラした方ばかりでした。」
「エリートで雲の上の人だというイメージがあった。しかし良い意味で普通の人なのだと感じた。」
「色々な経歴からの弁護士の道がある事に驚きました。その経歴が弁護士としての活動での基盤になっていると伺って、経験することの大切さを改めて考えさせられました。」
「司法試験や法科大学院での勉強など、現実はそんなに甘くはないこともわかりました。しかし、実際に弁護士の方がやりがいを感じた瞬間のお話などを聞いて、とても印象的に感じたし、自分もそんな経験をしてみたいという気持ちになったので、改めて弁護士になりたいと思いました。」

福岡県弁護士会 今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021
最後に

真剣な眼差しの中高生を前にして緊張しましたが、私自身、改めて法曹として頑張ろうと思える大変貴重な機会となりました。本イベントを企画・準備・運営してくださった先生方・関係者の方々には感謝申し上げるとともに、今後も本イベントの開催が継続され、本イベントをきっかけとして多数の法曹が誕生してほしいと思います。

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