福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2020年12月号 月報

あさかぜ基金だより

月報記事

あさかぜ基金法律事務所 所員 安河内 涼介(72期)

都市型公設事務所

あさかぜは、九弁連が設置した都市型公設事務所です。都市型公設事務所は全国に十数カ所設けられており、事務所ごとに様々な特色をもっています。刑事事件とりわけ裁判員裁判に力を注いでいる事務所(北千住パブリックなど)や成年後見業務を数多く行っている事務所(岡山パブリック)もあります。そのような中、あさかぜは、司法過疎地域で弁護士業務を行う弁護士の養成に特化した事務所で、これまであさかぜから九州各地の司法過疎地に多くの弁護士が赴任していきました。

あさかぜの受任事件

あさかぜは、公設事務所であるという性質上、顧問契約を締結することはできません。依頼者は法テラスや県弁護士会からの相談者が大半です。

扱う事件は、いわゆる「マチ弁」が取り扱うものとなりますが、その中でも、債務整理、遺産分割、相続放棄などの家事事件、刑事国選事件が多くを占めます。

もっとも、あさかぜは、司法過疎地域で弁護士業務を行う弁護士の養成を目的とした養成事務所であるため、養成期間の約2年間に幅広い事件を経験できるような体制が用意されています。具体的には、有志であさかぜに協力している先生方から事件の紹介を受けて共同受任をしたり、県外の先生方やあさかぜ出身の先生から事件の紹介を受けたりしています。共同受任事件・紹介事件では、交通事故、労働、消費者、強制執行などの事件を受任することができ、事件の種類はバラエティに富んでいます。このようにして、わたしたち所員は、養成期間中に数多くの類型の事件を受任し、きたるべき司法過疎地域への赴任に向けて研鑽を積んでいます。

庶務

あさかぜでは、様々な庶務があります。私が入所して最初に行ったのは、弁護士法人の変更登記手続でした。弁護士法人は、弁護士法上、社員の変更があった場合には登記しなければならないのですが、あさかぜは弁護士法人なので、所員の交代があると変更登記手続をしなければなりません。そのため、私は、過去の申請書類を参照したり、法務局へ問い合わせたりしながら、登記の申請をしました。

また、あさかぜで、私は事務員の採用担当者となり、事務員の採用活動を行っております。初めての経験ではありましたが、あさかぜに入ってから、ハローワークへの求人申し込みや、書類選考・採用面接も行いました。

さらに、あさかぜでは、ホームページの更新等も、最も期の若い弁護士がその担当者となり、業者を使わず行っております。現在は、私が担当者となり、インターネット等で方法を検索しながら四苦八苦してホームページの更新等を行っています。

その他、事務局の就業規則の作成等、労務管理についても、所員が執り行う必要があります。

こうした事務所の庶務も、きたるべき司法過疎地域への赴任に向けて、事務所運営に関わる様々な事務を学ぶ機会となるため、重要な業務の一つとなります。

今後の抱負

あさかぜには、現在、田中秀憲弁護士、西原宗佑弁護士、私と同じ72期の石井智裕弁護士・佐古井啓太弁護士と私の計5名の弁護士が在籍しています。西原宗佑弁護士は、12月に壱岐ひまわり基金法律事務所に赴任することが決まっておりますし、いずれも、ゆくゆくはあさかぜを出て、九弁連管内の司法過疎地に赴くことになります。

私は、あさかぜに所属して、もう約10月経過しています。1年、2年と経たないうちに赴任する可能性が高いものと思います。こうして自分を振り返ると、折り返し地点が迫ってきていることに、我ながら驚いてしまいます。あさかぜのOBで現在赴任している先輩弁護士を見ていると、いかにも頼もしく、まだまだとても及ばず心配してしまいます。あと1年程度で、本当に一人前の弁護士になれるのかどうか、いささか不安に駆られるところではありますが、あさかぜでの日々の業務を通じ、事務所経営・事件処理を学び、一つ一つ積み重ねていきたいと思います。

未熟な点も多い私ですが、これからも引き続き、より一層のご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

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