福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2019年10月号 月報

あさかぜ基金だより

月報記事

会員 西原 宗佑(71期)

8月26日と27日の2日間、私たちあさかぜの所員は、九弁連執行部の対馬訪問に同行して、対馬に行ってきました。

まず驚いたのが、福岡と対馬は非常に近く、飛行機ではあっという間に対馬に着いたことでした。福岡からは飛行機でわずか30分です。しかし、フェリーでは5時間半程掛かりますし、台風等で欠航すれば、まさに離島です。

あさかぜ所員は、対馬ひまわり基金法律事務所を訪問し、あさかぜOBの若林毅弁護士(68期)から対馬の現状や対馬での弁護士業務についてレクチャーを受けました。

対馬で受任している仕事は、家事事件がもっとも多く、不動産関係、金銭支払請求事件、交通事故や破産管財人、不在者財産管理など多種多様であることが分かりました。もっとも、債務整理や刑事事件は比較的少ないということでした。離島は債務整理が多いというイメージがありましたので、少しばかり意外でした。

そして、島は範囲が狭く、また人間関係も狭いため、利益相反が頻繁に生じるので、弁護士が島に定着するのはとても難しいということでした。

長崎地方裁判所厳原支部

その後、対馬ひまわり事務所を出て、九弁連執行部と長崎地方裁判所厳原支部で合流し、支部長であり、また壱岐支部での裁判官も兼務している久田淳一裁判官に会いました。裁判官の話で印象的だったのが、対馬と壱岐では事件の性質が異なるということでした。対馬は、裁判までする当事者はあまり多くはなく、理屈だけではない紛争解決を考える島民性である一方で、壱岐は、権利意識の高い当事者が多く、紛争性の高い事件が多いそうです。久田裁判官は、若林弁護士が対馬の島民のために一生懸命働いていることを賞賛されていました。私も、離島に赴任したときには、若林弁護士のように裁判官や島民から認められるような存在になりたいと思いました。

法テラス対馬

次に、法テラス対馬の事務所を訪問し、現在法テラス対馬の所長をしている金澤万里子弁護士(67期)から話を聞きました。法テラスは、ひまわり基金法律事務所と異なり、債務整理の案件が多いということでしたので、法テラスとひまわり基金法律事務所とで依頼者層の棲み分けができているのかもしれません。また、金澤弁護士は、対馬での弁護士をアピールするために、地元のお祭りに参加して、法テラスでブースを出し、島民の方々との交流を深めようと熱心に努力しているとのことでした。さらに、金澤弁護士は、対馬の状況を知るために、着任してすぐに島中の交番を回り、警察官の話を聞くように努めたそうです。私も島に行ったときには、このような積極性を身につけようと思ったことでした。

対馬市商工会・対馬市長

対馬市商工会や対馬市長にも訪問できました。いずれも話題に上がったのは、韓国人観光客の激減でした。昨年は、韓国人観光客は40万人を突破し、約76億円の観光効果を生み出していたとのことで、この経済効果ですから、今回の激減が与える対馬への打撃は計り知れないと市長も嘆いていました。

まとめ

今回の訪問は、私たちあさかぜ所員にとっても貴重な経験でした。実際に現地に行かなければ分からない多くのことを知り、また、私たちの赴任のための課題がいくつも見つけられた対馬訪問でした。

余談ですが、2日目は、対馬で50年に1度といわれるほどの大雨に見舞われ、飛行機が飛ばなくなるかもしれない事態が発生しました。幸い私の乗る飛行機は予定通り動きましたため、帰ってくることができましたが、一時は対馬から出られない可能性もあり、ひやひやしました。私たちは、島の天候についても50年に1度の貴重な経験をすることができました。

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