福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2016年10月号 月報

あさかぜ基金だより ~卒業と新たな船出~

月報記事

豊前ひまわり基金法律事務所 所長弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 元所員
西村 幸太郎(66期)

豊前地域における開所

この度、大変お世話になりました「あさかぜ」を退所し、平成28年10月3日より、「豊前ひまわり基金法律事務所」に赴任することになりました。

養成期間を終え、これからが本番です。あさかぜでの学びを活かし、これまで以上に、市民の司法アクセスの向上に努めます。そして、必ずや、「いつでも、どこでも、だれでも法的サービスを受けられる社会」を実現するための一助となってみせます。

あらためまして、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。

あさかぜにおける学びの数々

豊前地域(豊前市・築上町・上毛町・吉富町)は、6万人以上の人口を抱えながら、30年以上に亘り常設の法律事務所がない、いわゆる弁護士過疎偏在地域です。あさかぜは、まさにこのような地域のため、市民のアクセス障害を突き崩す人材を輩出する事務所です。私も、3年あまり、多くの先輩弁護士のご指導をいただきながら、日々勉強させていただきました。感謝の念に堪えません。

「準備書面は弁護士の製品である。その質には、徹底的にこだわらなければならない。」「納期を意識すべし。スピード感が重要。65点、70点で形を作って、依頼者と共同で修正していくべし。」など、事件処理の心構え。顧客志向の重要性。「経営の苦悩に共感できる弁護士になれ。経営者の苦悩がわからない弁護士に、経営者からの依頼はこない。」など、事務所経営の重要性。さらには、「結局、弁護士としてどのように生きていき、どのような事務所を作ろうとしているか次第。試行錯誤しながら、何かを見付けてほしい。」など、弁護士人生全体における指針。・・・私の弁護士としての基礎は、このような学びのひとつひとつによって醸成されたものです。

これらが、ひいては市民の法的サービス向上につながるものと、確信しております。

私のこれまで/これから

溯ること十数年あまり。黒人差別と闘う弁護士の姿を描いた「評決のとき」(法廷作家ジョン・グリシャムの処女作)の最終弁論。これをきっかけに、私は、法曹界に興味を抱きました。「誰かのためになりたい」「人の心を動かす仕事をしたい」。そんな素朴な正義感をくすぶられたからです。

大学時代、卒業論文。司法制度改革をテーマに執筆。司法アクセスの向上が喫緊の課題であることを学びます。それなら私が、自らその役に立ちたい。そう思うようになります。

念願の弁護士になれたとき。なにより嬉しかったのは、弁護士過疎偏在問題に正面から取り組む事務所に入所できたことです。もちろん、辛いこともなかったわけではありません。しかし、この3年間の弁護士人生は、自身の血肉として、私自身を形作っており、一生の宝です。

これからいよいよ、弁護士過疎偏在地域に飛び込み、自分の力が試されます。どれだけ市民の力になれるか。それは私次第。初心を忘れず、これまで以上に、市民に対する法的サービスを提供できるよう、邁進してまいります。

結びに代えて

熱が入り、少々饒舌になってしまったかもしれません。しかし、志を高く、プロとして、弁護士として、1人の人間として、なおいっそう精進していきたい。改めてそう思います。

とはいえ、私も若輩の弁護士に過ぎません。諸先生方のご協力をいただくことも、多々あろうかと思います。今後とも暖かいご支援・ご協力をいただけるよう、何卒よろしくお願いいたします。

最後に、豊前地域にお越しの際は、ぜひ事務所にもお立ち寄りください。心よりお待ちしております。

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