福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2016年7月 1日

憲法リレーエッセイ 「憲法違反の安保法の市民集会及びパレード」のご報告

憲法リレーエッセイ

会員 永松 裕幹(63期)

平成28年6月11日午後2時、中央市民センターに於いて「憲法違反の安保法の廃止を求める市民集会及びパレード」(主催:当会、共催:日弁連、九弁連)が開催されましたので、ご報告させていただきます。

本市民集会及びパレードは、当会が5月25日の定期総会で「憲法違反の安保法制の廃止ならびに運用停止を求める決議」を決議し、日弁連が5月27日の定期総会で「安保法制に反対し、立憲主義・民主主義を回復するための宣言」を決議したことに続き、本年度の人権擁護大会のプレシンポジウムとして行われました。

まず、原田直子会長から開会のご挨拶があり、安保法の廃止を求める当会の取り組み等についてご紹介いただきました。

そして、西南学院大学法学部国際関係法学科(政治学)の田村元彦准教授を講師にお迎えし、「安保法制でどうなるの?私たちの社会」とのご講演をしていただきました。

田村先生のご講演は、福岡・九州における多くの市民運動に携わってこられたご経験に基づいたお話を中心に、法学・政治学の観点から安保法制や現在の日本の政治の問題点を多岐にわたって鋭く指摘されるもので、大変興味深い内容でした。

ご講演では、2002年の「福岡市愛国心通知表問題」(福岡市立小学校の内69校が、「愛国心」を3段階評価する通知表を採用したことに対する抗議運動)について、詳しくお話がありました。そして、そのご経験や人間関係が、その後の様々な運動や、安保法制に反対する福岡の学生団体「FYM」(Fukuoka Youth Movement。中心メンバーには田村先生のゼミの学生がいて、学者や当会会員及び報道記者等多くの方々と関わりを有している)等の活動へ繋がったとのことでした。

また、田村先生は、権力を持っている側は、一枚岩で着々と布石を打ってくるのに対し、「弱者は分断され、孤立した戦いを強いられる」ことを強く指摘されました。そのうえで、現代の日本の社会は、国際的には開けて豊かである一方で、国内的には抑圧的な監視社会になってきており、若い世代の未来が奪われているのではないかとの強い危機感を表明され、これに対抗するために社会的弱者同士の繋がりや運動の継続性が重要である旨述べられました。会場に集まった多くの会員や市民の皆さんも、このことに共感されている様子でした。

ご講演の後は、九州大学大学院で政治学を学ばれている小幡あゆみさんと当会の原田美紀会員が登壇され、田村先生とのパネルディスカッションをしていただきました。

まず、小幡さんから、ご自身をはじめ学生の皆さんがどのような問題意識から安保法制反対の運動を展開していったのかということ等をお話しいただきました。

その後、原田会員にまとめていただいた会場からの質問事項について、田村先生と小幡さんにお答えいただきました。市民が声を上げる方法にはどのようなものがあるのかという質問に対して、田村先生が「メディアの良い記事や番組は、直接褒めて欲しい。現場の記者は、読者・視聴者から送られてくる手紙やメールに励まされている。」と答えられたことが、特に印象に残りました。

最後に、井下顕副会長より閉会のご挨拶をいただき、市民集会は、盛会の内に終了しました。

その後、30度近い暑さにもかかわらず、多くの会員・市民が参加して、中央市民センターから北天神まで1時間弱にわたってパレードを行い、沿道を行く人々に対し、安保法制の違憲性をアピールしました。

弁護士会による憲法違反の安保法の廃止を求める運動に、一会員として、今後も関わっていかなければならないという思いを強くした一日となりました。

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