福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2016年3月号 月報

あさかぜ基金だより ~新入所員のご挨拶~

月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 若 林 毅(68期)

京都生まれ京都育ち

この2月にあさかぜ基金法律事務所に入所しました、所員弁護士の若林毅と申します。

私は、京都生まれの京都育ちであり、大津での修習まで関西で過ごしました。京都という土地柄、歴史や名所めぐりは好きですが、決して「いけず」な性格ではありません。

このたび、縁あって、福岡の地で弁護士としての第一歩を踏み出すことになりました。

信用金庫時代

私は、関西の大学を卒業したあと地元京都の信用金庫に勤めていました。

信用金庫では、融資係や渉外係(いわゆる外回り)の職務を経験しました。地域密着型の金融機関である信用金庫の仕事は、顧客との距離感も近く意義深いものがありました。とりわけ、外回りの仕事は、雨の日も風の日も雪の日も、スーパーカブに乗ってお客様のもとへ馳せ参じる過酷なものでしたが、たびたび訪問する中で、次第に信頼関係が生まれ、人と人とのつきあいが感じられる仕事でした。

しかしながら、そうした仕事をする中で、やりがいを感じつつも、一方で、お金を扱ううえでジレンマの多い仕事でもあり、このままこの仕事を続けていいものか思い悩みはじめていました。

そこで、若気の至りもあって一念発起し、信用金庫を辞め、一路、四国八十八カ所の霊場を歩いてめぐるお遍路の旅に出ました。なお、退職金は金融機関らしく、小切手で手渡されました。

歩き遍路

歩き遍路は、信用金庫で外回りをしていたときと同様に、雨の日も台風の日も歩き続ける過酷なものでした。日も暮れて真っ暗な山間の集落で野良犬に追いかけられたり、バス停の待合室で野宿したりもしました。

しかしながら、いま振り返ってみると、道中、さまざまな悩みや問題を抱えた多くの老若男女の人々と出会うこととなった、人生の分岐点となる旅でした。帰るところがなく、何年も霊場をまわっている人、親族と仲たがいして法事に出ずにお遍路をしている人など、人の数だけ遍路をする理由がそこにはありました。また、そんな歩き遍路を食事などでもてなし、「お接待」してくださる地元の方々の温かいご支援に何度も助けられました。

そういったいろいろな出会いを通じて、私は、次第に悩みごとやトラブルを抱えた人たちの問題を解決し、人生の再スタートをする手助けをしたいと思うようになりました。そして、40日間1200キロの旅を終えるころには、弁護士を目ざす決意が固まっていました。

あさかぜとの出会い

司法試験の勉強を進めるなかで、日本の中にも司法サービスが行き届いていない地域があることを知り、実際にも法的問題をかかえた親族が住んでいた地域に弁護士がおらず問題の解決に苦労した経験から、弁護士過疎・偏在問題に興味を持つようになりました。そして、弁護士過疎地域に赴任する弁護士を養成する事務所である、あさかぜ基金法律事務所の存在を知り、経験豊富な先輩弁護士と一緒に事件をたくさん担当でき、弁護士として大きく飛躍ができる環境にあると思い、入所させていただくことになりました。

おわりに

九州には旅行で訪れたことがあるくらいで、縁があまりないと思っていたのですが、大津での弁護修習先の弁護士と旧知の人にお会いしたり、所員の河野弁護士(67期)と共通の知人がいたり、大学時代の友人が単身赴任で福岡に来ていたり、縁は異なもの、不思議なものということを実感しています。

あさかぜ基金法律事務所へ入所することになったのも一つの縁です。

ここから、福岡そして九州の弁護士過疎地域へと一つ一つの縁を紡いで、研鑽を深めていきたいと考えています。今後とも、なにとぞよろしくご指導お願いします。

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