福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2016年2月号 月報

『全国一斉奨学金問題ホットライン』

月報記事

生存権の擁護と支援のための緊急対策本部員 阿比留  真由美(66期)

平成27年11月18日13時から19時、日本弁護士連合会及び各弁護士会主催『全国一斉奨学金問題ホットライン』が開催されました。

奨学金問題を抱える相談者(主債務者・連帯保証人・親族等)から、各弁護士会の担当者が電話で相談を受け、当会では、生存権緊急対策本部の委員4名が担当しました。

教育費の高騰及び経済的困窮者の増加に伴い、進学費用を奨学金に頼る人が増加しましたが、労働環境の悪化や就職困難、収入の不安定さにより、奨学金債務の返済に窮する人が増加しています。特に、独立行政法人日本学生支援機構は返済困窮者への対応が厳しく、返済免除・猶予の条件も制限し、返済に窮する若者及びその家族が経済的・精神的に追い詰められています。

当会に対する相談件数は、合計26件であり、返済期限の猶予・減額返済等の方法を知りたい、延滞金が多いため返済しても減らない、奨学金の取立てが厳しいなどの相談が多く、日本学生支援機構や制度自体に対して不満を持たれている方もいらっしゃいました。

病気や低収入で返済が不可能、連帯保証人が父母というケースが多く、高齢の父母が返済するも延滞金が多いため返済しても一向に減らない、連帯保証人に迷惑を掛けられず、自宅を手放せないなどの理由から破産できないという方もいらっしゃいました。

本企画を通じ、猶予及び免除条件の緩和や給付制への移行など、奨学金制度の変更に向けて活動する必要性を強く感じました。

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